「この戦いが終わったら、故郷の田舎へ帰ろうと思うんだ。そこで小さなお店を開いて、後はささやかに暮らすよ」
アニメの戦闘シーンでこう言うキャラの生存率はきっと5%もない。
でも現実世界で、そんな「死亡フラグ」をはね返したような、そして日本人としては見過ごせない事例を発見。
時事通信の記事(2023年04月02日)
イスラム過激派、すし店開く 反体制派支配地―シリア
イスラム過激派の戦闘員が文字どおり、シリアですし店をオープンした。
まず前提を確認しておくと、いまシリアは内戦の最中だ。
シリア政府軍と反体制派によるこの戦いは2011年から続いていて、ここ数十年でもっとも多くの難民を生んだ戦争といわれる。 (シリア内戦)
「政府軍 vs 反体制派」の争いに世界各国が支援に乗り出したのはいいのだが、自国の利益もからんでいるから事態は複雑になる。
そんな内戦を知って、ロシア出身のイスラム過激派の戦闘員が”聖戦”に参加すると決意して、2015年にシリアへ入って反体制派側につき、アサド政権の軍と戦った。
その戦いも最近では戦線が固定化して、戦闘行為も無くなってきた。
シゴトを失ったあるイスラム過激派の戦闘員はいろいろ考えた結果、反体制派の支配地にとどまって、すし屋を始めることにした。
なんでシリアで SUSHIなのか?
オーナーのシャフバノフさん(37)はパキスタンやアフガニスタン、インドネシア、サウジアラビアにいたことがあって、こうした海外経験から、ここには競合店がないからすし店を開くことが最適解と判断した。
そのために必要なしょうゆ、エビ、カニなどはトルコから持ち込んで、「すし職人2人もロシア出身の元戦闘員だ」と記事にある。
ただ、だからといって、このまますし屋のオーナーで一生を終わるつもりはない。
「すし店を開いたからと言って、聖戦を断念したわけではない」と話すシャフバノフさんは、また情勢が変化すれば再び戦場に戻るつもりだ。
だから彼らは、現役の戦闘員のままでスシを握っていることになる。
「イスラム過激派、ロシアの戦闘員、シリア在住、すし職人」の要素を1人の人間がもっているのは世界でも彼らだけ。
以前、日本にいたシリア人と話をしていた時、スシの話題になる。
豚肉やアルコールの無いスシはシリアでもわりと有名で、とてもユニークな食べ物だから市民の受けもいい。
*日本のすし店では、アルコール成分の入った酢やしょう油を使っている場合もある。
ただ、シリアには生肉を食べる習慣がなくて、それはすごく気持ち悪いから抵抗があるという。
だから日本のように、シャリの上にでっかいネタがのっているスシじゃなくて、シリア人が食べやすいようにご飯多めののり巻きが一般的だ。
武器からワサビに持ち替えて、ロシアの戦闘員がすし店をオープンした。
そう報じるこの海外メディアの動画を見ると、やっぱりのり巻き(カリフォルニアロール?)を売り物にしている。
このニュースを知った外国人の感想は?
・Japanese culture spreads literally everywhere 😅
日本文化はホント、世界の隅々にまで広がっているね 😅
・Dude stopped fighting ISIS and started making Sushi. He can write a book about his life.
彼はISISとの戦いをやめて、スシを作り始めた。自分の人生で本を書けるよ。
・So this man is fighting with fish and rice now?
で、この男はいまは魚や米と戦ってるってこと?
・Wasabi is a weapon
ワサビは武器だよ。
・Make sushi not war
戦争じゃなくてスシを作ろう。
イスラム教徒のロシア人戦闘員が始めたこのすし店が、成功するかどうかはインシャアッラー(神の御心のままに)。
でもここなら、絶対に「すしテロ」は起こらない。
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