初夏になって田んぼから、カエルの声が聞こえるようになってきた。
これを許せない人もいるらしい。
その声がうるさくて眠れず、苦痛を感じているから騒音対策をしてくれと、田んぼの所有者が「近隣住民」を名乗る人物から苦情を言われた(匿名のメッセージがあった)とSNSに投稿して、ネットがざわついた。
カエルの声は夏の風物詩でも、こういうクレーマーは年中無休で活動するからめんどくさい。
ネットの反応を見ても、このクレームへの共感はゼロ。
・相手にするな
・そのうち田んぼに毒まきそうで怖いな
・引っ越せよ
農家がなければ日本は滅ぶがお前がいなくても日本は滅ばん
・トンデモ系自己中クレーマーが増えて嫌だね
・蛇でも放てばいいのに
感性は人それぞれ違うから、カエルの声で苦情を言う人もいるし、ニューヨーク出身のアメリカ人は日本の静かな夜を嫌がった。
このまえイギリス人とアメリカ人と会ったから、この話をして感想を聞いてみた。
すると、「変なヤツはどこの国にもいるよ」と彼らは鼻で笑う、と思ったら違った。
民主主義社会において、「表現の自由」は絶対に守らないといけないとアメリカ人が言う。
その「近隣住民」が言ってる内容をバカにするのはいいとしても、彼がそれをする権利は保障しないといけない。ただし、その人は相手を間違えている。
田んぼに行って、直接カエルに訴えるべきと言うから、結局このアメリカ人はこのクレームをバカにしていた。
まあそうだろうよ。
でも、このアメリカ人としては、むしろこの”クレーマー”という言葉に文句を言いたいらしい。
というのは、「クレーム(claim)」や「クレーマー(claimer)」という英語は確かにあるけれど、それには「苦情」や「苦情や文句を言う人」という意味はないから。
「claim」は主張する、請求するといった意味で、「文句を言う」はまったく関係ない。
英語の「claimer」は主張する人、請求する人といった意味で悪いニュアンスはない。
日本語のクレーム(苦情を言う)なら英語では「コンプレイン(complain)」、クレーマーなら「コンプレーナー(complainer)」になるという。
日本人が「クレーム」の意味を勝手に「苦情」へ変えたから、「claim」を思い浮かべるアメリカ人にはその日本語が分かりづらい。
もちろんいまは「クレーム≠claim」と分かっている。
空港で荷物がベルトコンベヤーで流れてくる手荷物受取所を、英語で「バゲージクレーム(baggage claim)」という。
あれは荷物について「どういうことだ!」と文句を言うのではなく、「これはオレの荷物だ!」と主張して請求するところ、といった意味らしい。
ということで日本語のクレームクレーマーのほかに、英語の「claim」と「claimer」意味も知っておこう。
そして相手の外国人によって、それぞれ正しく使い分けよう。
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