近代化に貢献 vs 経済侵奪 日韓で逆転する渋沢栄一の評価

 

あさっての3日から、日本のおカネの歴史が変わる。
今回、新しく発行される一万円札のデザインには、実業家の渋沢栄一が選ばれた。
幕末に生まれた彼はパリで開催された万国博覧会を見学し、ヨーロッパ社会の発展を肌で感じ、日本も近代化しなければならないと強く思った。
明治時代になると渋沢は大蔵省で働いた後、経済人となって「第一国立銀行(現:みずほ銀行)」を設立し、東京ガス、東洋紡、東京海上保険、帝国ホテルといったさまざまな企業の設立にもかかわった。
「近代日本経済の父」と呼ばれ、新一万円札に選ばれるのも納得の人物。

そんな渋沢栄一について、韓国通のジャーナリスト、黒田勝弘さんが産経新聞のコラム『ソウルからヨボセヨ』でこう書いた。(2024/6/15)

今回、一万円札の渋沢登場で韓国が自らの歴史をどれだけ冷静かつ客観的に見られるか、興味深い。

新一万円札の渋沢栄一に韓国はどう反応する

 

日本のお札と韓国との相性はあまり良くない。
千円札のデザインだった伊藤博文は初代韓国統監だったことから、韓国では「朝鮮侵略の元凶」として嫌われている。
一万円の福沢諭吉は『脱亜論』の中で、日本は中国や朝鮮といった“悪友”と縁を切り、西洋の文明国と付き合うべきだと述べた。これによって韓国では、全国紙の中央日報によれば「侵略戦争正当化した日本右翼の元祖」とされている。

渋沢は朝鮮半島にわたり、大韓帝国皇帝・高宗と経済改革について話し合った結果、紙幣を発行することが決定された。
その当時、韓国にはまだ中央銀行や紙幣が無かったのだ。
それで、渋沢が頭取を務めていた日本の第一銀行釜山支店が、1902年に韓国初の紙幣を発行した。
そのデザインは渋沢栄一だった。
渋沢が描かれたこの紙幣は今でも、ソウルにある「韓国銀行貨幣博物館」で展示されている。
また彼は、「京仁鉄道」をはじめとする数々の近代化事業を手掛けた。
渋沢の功績について、コラムで黒田氏は「韓国の経済発展に大いに寄与した」と表現し、日本でも一般的にそう認識されているが、韓国の歴史観では「侵略」とされている。

韓国では以前、伊藤博文が描かれた千円札が登場した時、「わが国を侵略、支配した元凶」と大騒をぎした。
それを知っている黒田氏は、今回の一万円札に対して韓国が冷静でいられるのか、それともまた騒ぎ出すのか、興味深く観察するつもりだという。

しかし、さっそく“答え”がでた。

中央日報の記事(2024/07/1)

日本の新紙幣に韓国経済侵奪の渋沢栄一で波紋…「歴史修正小細工」

渋沢は韓国に鉄道を敷設し、日帝強占期(日本統治時代)には「京城電気」(現在の韓国電力)の社長を務め、「経済侵奪」で先に立った。また、利権侵奪のために紙幣発行を主導し、そこに自分の顔を描かせて韓国に恥辱を抱かせた人物でもある。

これが、韓国から見た渋沢栄一のイメージだ。
第一銀行が発行したから、彼は頭取である自分を新紙幣のデザインにしたと思われる。
でも、この時は韓国が日本の保護国になる前で、朝鮮政府が認めていなかったら、こんなことはきっとできなかった。
利権侵奪のために紙幣発行を主導したという点については、渋沢に相談した高宗の意見をぜひ聞いてみたい。
まぁ、結果だけを見れば、初の紙幣のデザインが日本人だったというのは「韓国に恥辱を抱かせた」と感じることは理解できる。

日本の韓国ウォッシャーにはおなじみのソ・ギョンドク教授は、渋沢が描かれた一万円札を発行する日本について、

「日帝植民支配を受けた韓国に対する配慮がないだけでなく、歴史を修正しようとする典型的な小細工戦略だ」

と批判した。

一方、この記事に対する『ヤフコメ』で、多くの共感を集めたのはこんな意見だ。

・英国のように天皇陛下にしたらいいと思います。
・韓国の経済発展にも寄与したの間違いでは?鉄道を敷き、電力網を整備したのでしょう。
・鉄道は日本の投資家が金を出したんだが。万年赤字で、赤字を新規の投資で補填する有様で。

これは、寄せられたコメントを AIが要約したもの。

・日本が朝鮮半島に経済地盤を築いたと思われます
・嫌なら1万円札を持たずに全て5000円、千円札で持てばよいのです

実際のところ、多くの日本人がこう思っている。

日本にとっては日韓の近代化に貢献した人物でも、韓国からしたら経済侵奪の元凶となる。
韓国側に「冷静かつ客観的」でいることを求めるのは、最初から無理なことだったのだ。

 

 

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2 件のコメント

  • まあ韓国人がどう思おうと、日本を通じて西洋の近代法体系・政治体制や市場経済を取り入れたのは事実ですからねぇ。
    国民情緒に反するからと併合時代を全否定すれば、行き着く先は前近代的な朝鮮王朝回帰でしょう。
    因みに韓国人が言う所の日帝の積弊精算に成功した事例が北朝鮮(実質は金氏朝鮮王朝)です。

    つい最近ブルームバーグから株式市場の透明性が中国以下という評価を受けたのも、取引の信頼性より権力者の意向優先な裁判結果やルール変更など、OECD加盟国とは思えない行為が複数有った訳で…。

  • 日本が朝鮮を収奪したという話は事実ではありません。むしろ、日本は朝鮮の近代化を推進し、SOC基盤を設け、大韓民国の建国後、急速な経済発展を遂げるのに貢献しました。
    大韓民国建国後も、日本は隣国から韓国の経済発展を支援した助力者でした。
    韓国人が恥じるべきことは、自ら近代化を成し遂げることができず、日本によって行われたという事実です。異民族によって統治されなければならなかったその歴史を恥じるべきです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。