いま世界最高の国はどこなのか?
アメリカのU.S二ューズ&ワールド・レポート誌が発表した「Best Countries 2024 Rankings」のトップ10を見ると、漢字の国が1つだけある。
1位:スイス
2位:日本
3位:アメリカ
4位:カナダ
5位:オーストラリア
6位:スウェーデン
7位:ドイツ
8位:イギリス
9位:ニュージーランド
10位:デンマーク
このランキングには冒険的要素(Adventure)、生活の質(Quality of Life)、市民の権利(Social Purpose)など10項目があり、それらを総合して順位が決められる。
ちなみに、「冒険的要素」というのは、日常生活から離れてストレスを軽減させ、幸福感を向上させられる環境があることを指す。魅力的な観光地が多くあれば、この指数は高くなる。
アジアの国を見ると、14位にシンガポール、16位に中国、そして18位に韓国があって、全体的に東アジアの順位が高い。
では、このランキングを見てネット民は何を思ったか?
・まぁ客として日本にくるなら良い国なんだろうけど
・こういうランキング見てると、日本がなければ必ず白人系の国が上位を独占してしまうね
・この手の調査で日本のランクが妙に低い理由を調べたら、教会が無いって理由で大幅減点されてたのを見たなぁ
・でも日本の平均賃金は韓国以下だよ
・1度韓国と同じ方法で算出すればおもしろいのにな
では次に、日本が特に高く評価されたポイントを3つ挙げよう。
◯ 起業家精神(Entrepreneurship)
現代のデジタル時代では、政府が他国との競争で「勝つる産業」を見つけることで、国は繁栄し、国民の生活は豊かになる。それを実現している国は、人びとが教育を受け、先進性の気性を持つ革新的な国とみなされる。
日本はそんな起業家精神で、
・教育を受けた人の割合が高い。
・技術的な専門性が高い。
・デジタル・インフラが発達している。
といった点で高い評価を受けた。
◯ 文化的影響力(Cultural Influence)
文化的な影響力を持つ国には次のような要素がある。
・素晴らしい料理とファッションがあり、暮らしやすい。
・その国の製品には独特の魅力があって、多くの人が手を伸ばす。
・その国の音楽、テレビ番組、映画は他国に広まり、世界的な話題の1つとなる。ファッションやエンターテインメントなどの分野で世界をリードしている。
日本は以上の観点で高い評価を受け、影響力のある文化を持つ国と見なされた。
ちょうど先日、アメリカのテレビ界で最高の栄誉とされるエミー賞で、真田広之さんが主演・プロデュースした『SHOGUN 将軍』が作品賞、監督賞、主演男優賞など、史上最多の18冠という快挙を達成した。
『SHOGUN』の制作で真田さんがこだわったのは「本物の日本」。
外国人のスタッフや出演者のために、日本の歴史や文化について説明した約900ページのマニュアルを読ませ、日本を正しく理解してもらった。セリフの70%は日本語だという。
そんな日本らしさが評価されたというのは、日本人としてうれしい。
◯ 国力(Power)
世界で力のある国は常にニュースの見出しに登場し、世界経済に大きな影響を与える。そうした国々の外交政策や軍事予算は他国から強い関心を持たれ、よく確認されている。
これらの国々は世界の舞台で、経済や政治的な影響力を誇示している。
日本の経済的影響力は大きく、強力な国際同盟(きっと日米同盟)があるため、その国力を高く評価された。
ちなみに、日本で最も評価の低かった項目は「ビジネスの開放度(Open for Business)」だ。
海外の企業が他国に進出する際、事業コストや人件費、法人税の高い国は避けられる。日本には、そこに引っかかる部分が多いらしい。
国力・文化的影響力・起業家精神といった日本国の強みを見ると、全体的に教育レベルの高さがカギになっている。
2023年までの国別ノーベル賞(自然科学分野)ランキングで日本では世界5位、アジアでは断トツのナンバーワンだ。
それに日本は教育水準のボトムラインも高い。昔から識字率が高く、幕末に訪れたドイツ人のヴェルナーはそれを目の当たりにしてこう驚いた。
「民衆教育についてわれわれが観察したところによれば、読み書きが全然できない文盲は全体の1パーセントにすぎない。世界の他のどこの国が、自国についてこのようなことを主張できようか?」
「エルベ号艦長幕末記 (新人物往来社) ラインホルト・ヴェルナー」
日本は、そこに住む人たちから叩かれることも多いが、こうした歴史的遺産をもとに、いま世界で2番目に最高な国なのだ。
よかったら、こちらの記事もどうぞ。
2016年世界の幸せな国ランキング:日本やブータンの順位と問題
> 日本が特に高く評価されたポイントを3つ挙げよう。
> ◯ 起業家精神(Entrepreneurship)
> ◯ 文化的影響力(Cultural Influence)
> ◯ 国力(Power)
うーん、2番目と3番目はともかく、他国に比べて日本で「起業家精神」がそれほど「高い」と言えますかね? 新たに企業を目指して成功している人はごく僅かで、他国に比べてそれほど成功率が高いとは思いませんが。新規市場の開拓・発展には規制緩和が必要だと、常に指摘されているところでもあるし。
> 日本はそんな起業家精神で、
> ・教育を受けた人の割合が高い。
> ・技術的な専門性が高い。
> ・デジタル・インフラが発達している。
> といった点で高い評価を受けた。
それらの条件は、確かに、起業家精神を高めるのに有効であるかもしれません。でもそれ以外に、起業家を目指す国民性とか、既存の市場を守るための規制の強さとか、必ずしも日本が優位にあるとは言えない項目の影響も大だと思います。世界の最先端レベルで高齢化が進みつつある日本では、「起業家精神」を備えた人は今後も減少せざるを得ないでしょう。
そんなことよりも、日本が他国に比べて勝っていて高く評価できる点は、
〇 社会が安全・安定であること(これはある意味「起業家精神」に対極の状態です)
〇 国民の間で経済的格差が少ないこと(あくまで「他国に比べて」です)
〇 医療保険など全国民を対象とした社会福祉が整備されていること
だと思います。