【自業自得】韓国産シャインマスカットが今ピンチの理由 

 

日本と韓国が好きな人たちが集まるSNSグループで、最近、韓国へ行った日本人がこんな投稿をした。

「今年はシャインマスカットがすごく安い! 二房で10000ウォン(約1090円)! いま韓国へ行くなら絶対買いです」

これを見た瞬間、「このオススメ情報はまずい」とボクの中で誰かがささやいた。

「ぶどうの王様」と呼ばれる極上の味のシャインマスカットは、日本のぶどう農家などが30年以上かけて開発した品種だ。
この日本の宝がいつの間にか海外へ持ち出され、韓国では「SHINE MUSCAT」、中国では「陽光バラ」の名で、本家の4分の1ほどの値段で販売されていたことがわかった。さらに、韓国は「SHINE MUSCAT」をタイや香港などへ輸出していることもあり、農林水産省の試算によると、日本の損害額は年間100億円に上る。

しかし、シャインマスカットの苗木が流出したのは、『種苗法』が改正される前のことだから、違法行為にはあたらない。日本の認識が甘かったことは否定できないが、今は法を整備したから、もうそんなスキはないはず。
苗木をこっそり持ち出し、栽培するのは“合法”だったかもしれないが、やり方としてはアンダーグラウンドで、人として胸を張れる行為ではない。
イヤな予想は的中し、上のノー天気な投稿にはすぐに批判コメントが付けられ、削除された。

 

韓国メディア「MBN」の報道によると、この「SHINE MUSCAT」がいまピンチを迎えている。(2024-09-23)

‘귀족 과일’로 불리던 한국산 샤인머스캣, 중국서 인기 주춤

機械翻訳:「貴族の果物」と呼ばれた韓国産シャインマスカット、中国で人気急降下

韓国が中国へ輸出しているぶどうは2021年にピークに達したが、それと比較すると、昨年23年の輸出額は約6分の1に急減した。
中国に輸出したぶどうの90%がシャインマスカットだったから、中国で人気だった「貴族の果物」が急にダメ貴族になったことがわかる。

その原因として、韓国の専門家は農家の露骨な「儲け主義」を指摘した。
シャインマスカットは1本の枝に1房栽培するべきだったのに、ぶどう農家は(目先の)利益を優先し、2房、3房栽培するようになった。そんな強引な栽培をしても、シャインマスカットは見た目はあまり変化しないらしい。
しかし、品質を後回しにして栽培量を増やせば、当然、中身の劣化は避けられない。
その結果、外見は貴族でも、中身はそこらの庶民と同じになったため、味が落ちて中国人の熱が一気に冷め、中国産シャインマスカットにシフトするようになったという。
韓国産シャインマスカットの値段は日本産と中国産の間にあり、消費者は「味で選べば日本」、「値段なら中国」となるため、「SHINE MUSCAT」はアジアの市場でも苦戦しているという。これが「すごく安い!」の理由にあるはずだ。

このニュースに対して、日本のネットユーザーの感想を見ると、

「盗んだ物の品質維持ができなかっただけ」
「悪銭身につかずってやつだな」

と、冷ややかな目で見る人がほとんどだ。
しかし、韓国のネットユーザーも「最近のシャインマスカットは本当に甘さがなくなった」、「日本が開発したものをコピーするだけだからこうなった」と農家の“自業自得”を責める人が多い。
これに「日本が先にわが国から文化を盗んだ」といった意見もあったが、「そういう時代遅れの意見にはうんざりする」や「権利意識の低いことがわが国の大きな問題だ」といった反論にかき消された。

 

知り合いの20代・30代の韓国人から話を聞くと、ここ15年ほどで、韓国社会では「権利意識」が激変している。
その大きな理由にあるのが中国の“活躍”だ。
中国企業が韓国のゲームやアニメを「パクって」、もうけていることは韓国でも知られていて、それを非難する人がとても多い。だから、韓国が同じことをするのは本当に恥ずかしいと言う。
それに、今の若い世代には自信がある。
韓国文化は世界的に高く評価されていることからも分かるように、韓国人には独自の良さを開発する能力があると確信している。しかし、古い世代の人はそういう努力をしないで、優れたものを安易にコピーしようとすることが多い。
韓国の農家には、彼らが非難している世代の人が活躍中のはずだ。

韓国産のシャインマスカットがこれから本当に輝くためには、品質の向上が最大の課題になっている。それができなければ、おそらく日本産や中国産との競争に勝てず、淘汰されていく。
これからは単なる「コピー」を脱し、独自性が試されることになる。
古い世代の意識が変わったら、韓国全体が変化することになり、日本にとってもウィンウィンだ。

 

 

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2 件のコメント

  • シャインマスカットが、日本がオリジンであることはこのブログで知りました。 今、ほとんどの韓国人は私のようにただ韓国で栽培に成功したと聞いています。非道徳的だと思いますが、法的に問題がないので日本としては対応が難しいでしょう。
    私も感じているのですが、現在韓国のシャインマスカットは糖度が以前のようではなく(落ちていて)、値段はぐっと安くなっています。簡単に得た代価を払っていますね。 生産家も消費者も..

  • 中国や韓国に流出したといっても、日本人が持ち出したかもしれません。
    その経緯はくわしく分かっていませんから。
    日本人の認識は甘かったと思います。いまは苗木を厳しく管理して、法律もつくったのでいいと思いますが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。