【安全大国】日本にいると、タイ人だって“平和ボケ”する

 

数日前、イスラエルがイランの首都テヘランにミサイル攻撃を行った。
友人のイラン人がそれを目撃して、イラン軍の基地から何度も爆発音が聞こえ、イラン軍が迎撃ミサイルを発射しているのが見えた! と興奮気味にSNSに書き込んだ。
ボクがその投稿を見て、「マジで! その動画を撮ったの?」とコメントすると、彼から「治安維持の理由でそれはできない」との返信があった。

イスラエル軍の攻撃を受けている動画を国民がネットにアップすると、イラン警察に逮捕され、人生が左右されるような重い罪に問われるらしい。
日本人の旅行者がその場面を見たら、すぐにスマホを取り出して録画し、SNSに「世紀の瞬間を見た!」と投稿していた気がする。
彼の話を聞いて、花火大会と同じレベルで考えていた自分の「平和ボケ」が恥ずかしくなった。

 

しかし、このレベルの詐欺に引っかかるほどボケてはいない。

 

日本に住んでいると、知らない間に平和ボケしてしまう外国人もいる。これから、そんな2人のタイ人を紹介しよう。

 

1人目のタイ人は30代の男性だ。
彼は静岡県の日本語学校を卒業した後、そのまま日本の会社で働き、トータルで5年ほど住んでいた。ちなみに、彼が日本で好きな食べ物は蒸したさつまいもで、タイに比べると、甘くて安くて感動的だったらしい。
そんな彼がタイへ一時帰国したときのこと。
久しぶりに帰ってきたということで、彼は母親と妹と一緒にバンコク市内の有名ホテルのバイキングの店に行くことにした。店に入ってテーブルに座った後、さっそく食べ物を取りに行き、戻ってくると母と妹の様子がおかしい。なぜか、自分に怒っているようだ。
原因は、彼がテーブルにスマホを“置きっぱ”にして、料理を取りに行ったことにあった。彼は無意識にそうしたけれど、ここは高級店だし、テーブルに誰かいれば盗まれることはないと考えた。しかし、2人は違って妹から、

「スマホを、よりによって通路側に置くなんて信じられない! テーブルに人がいても、一瞬のスキがあれば盗まれる。お兄ちゃんは日本に住んでいて、完全に感覚がおかしくなった。タイでそんな意識のままだと、きっとトラブルにあう」

と説教された。
そう言われると、確かに昔はこんなに無防備ではなかった。日本に住んでいてすっかり平和ボケしてしまったと思って、妹には何も反論できなかったという。すっかりメンツを失って、彼は「お兄ちゃんはおしまい!」と思った(かもしれない)。

 

2人目は日本の大学に留学していた女子大生で、彼女の経験も似たようなもの。
タイへ一時帰国した時、2人の友だちとお高いビュッフェの店へ行った。食べ物を持ってテーブルに戻ってくると、友人が1人で座ってスマホをいじっている。彼女に気づくと、「じゃあ、次はあなたが見ていてね」と言って、その友人が食べ物を取りに行く。
それを見て、「そうだ。ここでは常に、荷物の見張り役がいないとダメだった」という当たり前のことに気がついた。タイでは、カフェの場所取りでテーブルにバッグを置いたり、レストランで荷物を置いて全員が料理を取りに行ったりするのは常識外れで、危険行為になる。

 

そんな経験をした2人の感想は似ていた。
「いつかタイへ帰国したとき、自分は大丈夫だろうか?」と不安になったけれど、同時に、日本の安全大国っぷりを改めて実感した。頭が平和ボケしていても普通に生活できることは、2人にとって日本の最大の魅力でもある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。