年が明けてから、ジョージア州に住んでいるアメリカ人と話をしたので、今回は「正月とクリスマスの期間」をテーマに書いていこう。
ーー日本の年末はわりと忙しくて、文字通り「心が亡くなる」というレベル。12月25日にクリスマスツリーを片付けると、気持ちはすぐにキリスト教から神道にスイッチして、玄関にしめ飾りが飾られる。
*12月13日が「正月事始め」で、この日から正月の準備が始まるから、この日以降ならいつでもしめ飾りをつけてヨシ。ただし、29日は「二重の苦」ということで縁起が悪いから、この日は避けるべし。
うわっ、なつかしい。
日本にいたころ、年末になるとスーパーやドラッグストアで一斉にしめ飾りと鏡餅が並べられるから、最初は「これは何だろう?」って不思議に思ったっけ。
ーーでも、今日は1月19日で、日本ではしめ飾り、アメリカではクリスマスツリーが片付けられて、うきうきムードはもう完全に消えているよね。
そうでもないのよ。確かに生活は平常モードになったけど、ウチではまだクリスマスツリーを片付けてないからww
ーーえ? まだ家に飾ってあるの?
そういや、「片付ける」って英語で何と言うの?
「put away」でOK。
ーーサンクス。それにしても、それは遅すぎない?
12月25日にイエス・キリストが生まれて、1月6日に東方から3人の博士(賢者)がやって来てイエスの誕生を祝福した。キリスト教ではその1月6日を「公現祭(こうげんさい)」と呼んでいて、その日までがクリスマスの期間だから、6日を目安にツリーを片付けると聞いた。
日本人のボクとしては、クリスマスの期間は25日で終了と勝手に思っていたから、年が明けても続いていると知って意外な気がした。
伝統的にはそれが正解。だから、ヨーロッパでは6日ごろに片付けることが多いけど、アメリカでは各家庭ごとに決めるから、そのタイミングはバラバラなのよ。
ーーなるほど。最終的には自分で決めると。
そゆこと。
1月6日、3人の賢人が救世主であるイエスに会うために訪れた。
日本人にとって正月はビッグイベントで、新年の神様を迎えるにはそれなりの準備をしないといけない。だから12月13日の「正月事始め」から準備が始まる。
一方、キリスト教文化圏では、12月25日の約1ヶ月前にアドベント(待降節:キリスト誕生を待ち望む期間)というクリスマスの準備期間がある。知人のドイツ人によると、アドベントが始まると、気持ち的にはクリスマスモードに突入する。
正月事始めから、神様が元のところへ帰るまでの期間(=新年の神が家に滞在している期間)を「松の内」という。その期間が過ぎると正月も終了となり、日常生活が始まる。
松の内が終わるとしめ飾りを片付けるが、その日は1月7日や15日など地域によって異なる。
伊勢神宮のある伊勢志摩地域には、しめ縄を一年中飾る風習がある。
アメリカでクリスマス期間が終わり、飾りが取り外されたクリスマスツリーが大量に捨てられている。
まるでツリーの墓場。
しめ飾りは神様の宿る「ホーリーアイテム」だから、松の内が終わって外した後、一般ゴミとして捨ててはいけない。神社に持っていくと、しめ飾りやお守りなどを燃やす儀式(左義長やどんど焼きなど)をしてくれる。
それができず、燃えるゴミとして処分する場合は、塩をかけて清めるとよい。
一方、クリスマスツリーにはそのような神聖さはまったくなく、“お役ごめん”になったらアメリカ人は普通に燃えるゴミとして捨ててしまう。
行政がクリスマスツリーを片付ける日があるから、各家庭ではその日にツリーを指定された場所に出しておけば、後は勝手に処分してくれる。
しめ飾りやツリーが無くなれば、正月やクリスマスのムードも完全に無くなる。
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