日本人だけが使う「トランプ」 和製英語になったわけ

 

今月20日、アメリカでトランプ大統領が誕生した。
その初日から、史上最多となる 26の大統領令を出し、さっそくアメリカの常識をぶっ壊し、まさにブルドーザーのような行動力を発揮している。
アメリカ人とトランプさんの話をしていると、彼の名前を聞いたり言ったりすると、どうしてもカードゲームの「トランプ」が頭をよぎって仕方ない。でも、アメリカ人に聞いたら、そんなことはないと言う。
それで初めて知ったのだけど、ジョーカーを含むあの 53枚のカードを「トランプ」と呼ぶのは世界で日本人だけだった。

 

カードゲームは古代中国で生まれ、それが西方に伝わり、イスラム世界からヨーロッパに広まったという説が有力。
日本には戦国時代に伝わり、当時はポルトガル語の「carta」から「カルタ」と呼ばれた。
それから時代が流れ、明治時代に英米式のカードゲームが伝わる。西洋人がそれでは遊んでいるとき、「切り札」の意味でよく「トランプ(trump)!」と言っていた。
麻雀で「ロン!」と叫ぶような感じか?

それを聞いた日本人が「なるほど、あのカードや遊びは『トランプ』って言うのか」と思い、それが日本で定着したと考えられている。
「carta」を「カルタ」と呼んだのは正解だったが、これは完全に勘違いだった。
「トランプ」は特殊な和製英語で、英語では「プレイング・カード」や単に「カード」と呼ばれている。だから、カードゲームの意味で「トランプしようぜ!」と言うと、外国人はきっと迷宮に迷い込む。

英語で「トランプ」は、名詞では「切り札」や「好漢」、動詞では「切り札を切る」や「打ち負かす」という意味がある。それで、かつてヒラリー・クリントンが「Love trumps hate(愛は憎しみに勝る)」とトランプ氏を批判した。
カードゲームとは関係がないから、外国人が「トランプ」と聞いてカードゲームを連想することはない。

ちなみに、「trump up」だと「でっちあげる」という意味になる。
そういえば、トランプ大統領も「アメリカの黄金期が始まる」と言ったのはいいとして、グリーンランドやパナマ運河を欲しいとか、どこまで本当かわからないことを言っていた。
まぁ、アメリカのことはアメリカ人にまかせて、日本国民として気になるのは、石破首相が日本のトランプになるかどうかだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。