20代のアメリカ人女性と学校生活の話をしていて、彼女が通っていた高校には託児所があったと聞いてビックリした。アメリカでは10代で妊娠・出産することが多く(日本に比べれば)、それを理由に退学しないですむように託児所を設置する高校もある。
全体的にはそんな女子高生や高校は少数だけど、その話を聞いて驚く人はいないほど、アメリカ社会では一般的になっているらしい。
さて、今回は、10年ほど前まで日本の小中学校で英語を教えていて、今はカルフォルニア州に住んでいる30代のアメリカ人女性に聞いた話を紹介しよう。
ーー日本で働いていて、価値観や文化の違いで「イヤだな」って思ったことはある?
給料が安いとか、職場にイヤな人がいるっていう不満は人類共通よね。「日本で」ってことなら、男尊女卑の雰囲気を感じたことかな。日本へ行く前から、儒教の影響でそんなことがあると聞いてたけど、職員室で先生たちが会話の中で、「OL」という言葉を使っていてビックリした。
だって、「office lady」は女性に対して上から目線で侮辱的でしょ。でも、女性の先生は何も気にしていないようだったから、それにも良い印象はなかった。
ーーOLね。初めてその日本語を聞いて、「終える」とか「Oh, hell」と誤解した外国人もいたな。
それは一昔前、平成のニオイがする。日本でも「女性への蔑視だ、差別だ」という非難があがって、最近は聞かなくなった。でも年配の人なら、もともと差別的な意味はなかったし、とくに気にしないで「OL」を使うかもしれない。
*昔は「ビジネス・ガール(BG)」という言葉があった。しかし、それだと外国人に「売春婦」を連想させるということで、1964年に週刊誌がそれに代わる呼び名を募集して「OL」爆誕した。
それも死語になった今、どう呼ぶのか調べたら、役割に応じて、ビジネスプロフェッショナル、オフィスワーカー、アシスタントと言うらしい。BGからOLへ変化して、たぶんこれが最終形態。
でも、わたしはまだマシ。日本の民間企業で働いていた友人から、「OL」とは別次元のゾッとする話を聞いたことがあるのよ。
ーー「え? なになに?」って、ハードル(期待値)を上げて大丈夫? 微妙な空気を丸投げされても困るんだけど。
その会社ではほとんどの場合、女性がお茶をつくって席まで持っていくことになっていて、彼女はそれをおかしいと思っていた。「そういうものだから」と不満を感じない女性たちにも不満だった。あるとき飲み会の場で、年配で影響力のありそうな男性社員に聞いてみたら、彼はこう言ったんだって。
「そりゃやっぱり、女性がいれてくれた茶のほうがおいしいからね」
それを聞いた彼女はドン引きしたんだって。
ーーまずは、ハードルを越えてよかった。日本人で男のボクでも、それを聞いて背筋が寒くなった。そのおっさんの脳の進化は昭和で止まっていて、平成にも達していない。
この人は一般的じゃない?
ーーそんな昭和脳は例外中の例外で、今の日本では絶滅が期待される危惧種。その人はまったく一般的じゃないし、その事例は日米の文化の違いでもない。でも、そういう話はインパクトがあるから、海外のSNSで「日本では〜」と紹介されてひとり歩きして、「男尊女卑」の誤解が広がるんだろうな。
コメント
コメント一覧 (2件)
> だって、「office lady」は女性に対して上から目線で侮辱的でしょ。
そうですかねぇ? どうしてそれが「上から目線で侮辱的」なんですか? officeは単なる場所を表す単語で、ladyも決して侮辱を意味する単語じゃありません。英語がネイティブでない外国人には、そのようなニュアンスが「つきまとう」理由を説明してあげないと分らないと思いますが。
昔、私がアメリカで暫く暮らしていた時には、女性の事務員はだいたいsecretaryとかassistantって言われてました。性別を意味する語は入ってませんでしたね。
ちなみに、「ビジネス・ガール」が非常に拙い意味の単語であることは、私も知っています。この語に限らずですが、「~ビジネス」「~ジョブ」という語には注意した方がいい単語が多いですね。
この辺は感覚の違いでしょうね。
「office lady」と聞いたら、英語圏の特に女性はきっと嫌な顔をします。日本でも差別的という理由で、死語になりましたし。