日本好き英国人の嘆き タトゥーがあっても「外国人ならシカタナイ」

「やあ、みんな。わたしは半年後、日本に住むことになっていて、今からワクワクしているんだ。それで知識のある人たちに聞きたいのだけど、外国人が日本に住むうえで注意しないといけないことを教えてほしい。」

日本にくわしい外国人が集まるSNSグループに、先日、そんな質問があって先輩たちが色々なアドバイスをしていた。その中で、これはもう鉄板だ。

「Basically, in Japan, there are things that you can not put onsen, beach, pool etc if there is a tattoo.」

「基本的に日本では、タトゥーがあると温泉や海、プールなどに入れないことがある」と言った後、この人は次のように続けた。

あなたも知っているように、欧米では目立つタトゥーがあると、金融、法律、教育、医療などの分野で就職に悪影響を与えることがある。しかし、日本ではタトゥーにヤクザのイメージがついていて、もっと否定的に見られる。これは日本の文化にもとづくもので、特に年齢層の高い人たちはタトゥーを嫌うことが多い。
最近では国際化の影響で、タトゥーへの抵抗感が薄れて、あまり気にしない人も増え、シールで隠せるならOKという施設も増えてきた。
「せっかく日本に来たんだから、温泉を楽しみたい!」と思うのは当然だが、外国人は日本の文化を尊重し、事前に確認しないといけない。

*ちなみに、外国人のアドバイスを読んでいて、タトゥーがあるとMRI検査を拒否されることがあるということを初めて知った。タトゥーの金属成分が発熱して火傷を負う可能性があるため、MRI検査を受けるには事前に医師の許可を得る必要があるらしい。

 

最近、ネットで「タトゥー女将」という新しい言葉を見つけて、何のことかと思って覗いてみたら、栃木県にある海鮮料理店で20代の女将が働いていて、彼女が今SNSで注目を集めているとのこと。

腕に目立つタトゥーが2、3個あるくらいかと思って画像を見たら、実際には肩から指までタトゥーでつながっているレベルで、強烈なビジュアルだった。その腕で包丁を持って大きなマグロをさばいている写真を見たら、彼女がバズっている理由も納得。

ただ、知名度が上がると、有名税もついてきて、ネット上では「タトゥーのある人が作った料理は不潔」、「食べたくない」といった誹謗中傷のコメントも書き込まれた。
しかし、本人は「私はあなたとは別の世界の人」、「それで傷つくくらいなら目の前のお客さんを大事にしよう」と考え、まったく気にしないと言う。

「悪名は無名に勝る」とも言うし、「タトゥーの女性料理人」はキャラとして立っている。それでやっていこうと決意した時点で、一定数に嫌われることは覚悟の上だったはず。目の前のお客さんを大切にし、アンチ以上にファンを作って利益を出せばいいという戦略だろう。

 

「Basically, in Japan〜」とコメントした外国人は、「補足」として、日本人は一般的にタトゥーのある外国人には寛容で、タトゥーのある日本人には厳しい視線を向けることが多いと指摘し、だから外国人ならあまり神経質にならなくていい、少なくとも外出時にすべて隠す必要はないとアドバイスしていた。
この見方には同意。
個人的にもカフェにいて、腕に龍のタトゥーをしている外国人が隣に座っても、ファッションだと思って気にしない。でも、それが日本人なら、絶対に目を合わせないで早く店を出たくなる。
同じ「タトゥーのある人間」でも、日本人と外国人では見方が変わるのは、日本人なら共感するはず。これは自然な感覚だと思っていたけれど、知人のイギリス人はそうは思わなかった。

彼女は日本に5年以上住んでいて、日常生活で不自由なく日本語を話すことができ、日本人の「本音と建前」もだいたい理解できた。
そんな彼女の大きな不満は、日本人が外国人を同じ仲間だと思わないこと。彼女は日本人とどれだけ仲良くなっても、外国人という「別枠」の扱いを受けていると感じることが多かった。日本人から見て、外国人が非常識な言動をしても、「あの人は外国人だから仕方ない」と納得し、何も注意しない様子を見てガッカリしたこともある。

そんなイギリス人とタトゥーの話をしていて、海外の文化を尊重するつもりで「外国人ならいいよ」と言ったら、「そういう言い方は好きじゃない」と強く否定されて、少し驚いたことがある。
日本で育てば、タトゥーに不快感を持つ人が多いということは自然に理解できる。それを承知でタブーを破った人と、異なる文化で育った人では、前者に厳しい目を向けることが公平だと思う。
でも、彼女はタトゥーの有無を含め、日本人が「人種」を理由に、日本人と外国人を別扱いすることを嫌った。日本では、日本人と外国人の壁を無くし、同じ人間として接してくれる人がとても少ないから、日本に馴染もうとしていた彼女は失望感や寂しさを感じていた。

そう嘆かれても、タトゥーのある日本人と外国人を同じように考えるのは難しい。実際、腕にタトゥーのある外国人シェフだとキャラとしては弱いから、「タトゥー女将」のようにバズることはない。

 

“外国人枠”の存在を受け入れて、「日本人はタトゥーのある外国人には寛容だから、気にしなくていいよ〜」と気軽に考える外国人の方が、きっと日本の社会では暮らしやすい。
個人的には、あのイギリス人に指摘されてから、正直タトゥーは仕方ないとしても、「外国人だから(なら)」という言い方はなるべくしないようにしている。

 

 

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 外国人やサッカー選手などの影響でしょうか、日本人の刺青に対する考え方も変わってきましたよ。
    先日、ちょっと理由があって(自宅の給湯器が故障した)、近所の銭湯やスーパー銭湯にしばらく通うことになったのですが。まずスーパー銭湯では「刺青やタトゥーのある方は入浴お断り」となってました。
    だけど街中の銭湯では、全身に見事な刺青の入った人も入浴してました。よちよち歩きの可愛らしい娘さんを一緒に連れて。でも毎日じゃなかったから、多分その日だけお母さんがいなかったのでしょうね。なお、お母さんも肩にタトゥーを入れた人でした。

  • 確かに、タトゥーに対する意識はだんだんと変わってきていると思います。でも、ヤフコメなどを見ると、まだまだ抵抗を感じる人は多いですね。だから、「タトゥー女将」みたいに、お客さんに真摯に対応することで、ギャップを感じて好印象に転じることもあります。

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