【東京 VS ソウル】世界の都市ランキングで上位だったのは…

「日本が相手ならジャンケンでも負けられない。」

そう言われるほど、韓国では日本に対して強いライバル意識がある。そこまでのテンションではなくても、韓国を意識している日本人も多い。

日韓の違いや特徴は、それぞれの国の首都に表れている。
10年ほど前、当時20代だった知人の韓国人女性が東京に住んでいて、彼女をたよって韓国から友だちが何人も日本にやって来た。東京を旅行した友人たちの感想をまとめると、「サービス精神や清潔さでは東京はソウルの上位互換で、Wi-Fi環境や電車・地下鉄の便利さではソウルが東京を上回っている」というこんな感じだ。
こんな韓国人の感想は、2025年の今でもあまり変わっていないはず。

では、日韓以外の外国人が、東京とソウルを比べたらどうなるのか?
最近、イギリスの調査会社「オックスフォード・エコノミクス」が「世界の都市ランキング2025(Global Cities Index 2025)」を発表した。
韓国メディアの朝鮮日報は「東京は何位?」と日本を意識しつつ、次のように報じている。(2025/06/03)

世界15位・アジア2位の都市ソウル、生活の質は129位 「世界の都市ランキング2025」

世界の主要都市1000か所のうち、トップ10は以下の通り。

1位:ニューヨーク
2位:ロンドン
3位:パリ
4位:サンノゼ(アメリカ)
5位:シアトル
6位:メルボルン
7位:シドニー
8位:ボストン
9位:東京
10位:サンフランシスコ

くわしい結果は「Global Cities Index 2025」を見てもらうとして、トップ10のうちアジアの都市は東京だけで、他はすべて欧米の都市(オーストラリアも含む)だ。
これらの都市は、世界経済への貢献度が高く、教育やビジネスの中心地として機能している。インフラも整備されていて、全体的に生活の質も高い。
ただ、このランキングを見て、次のようにツッコむ外国人もいた。

「ニューヨークにどれだけホームレスがいると思ってんだよ。何が“the greatest city ”だ」
「このランキングを作ったのはアメリカ人じゃないか?」

 

アジアに限定すると、ソウルが15位、シンガポールは21位で、アジアの都市でトップ50に入ったのは3か国だけ。東京とソウルでワンツーフィニッシュを決めているから、外国人から見ると「似たような都市」と思われても不思議ではない。
ソウルは1年前の41位から15位へと大きく順位を上げた一方、東京は4位から9位に下がっている。このままの流れが続けば、近いうちにソウルが東京を追い越しそうだ。
しかし、『平家物語』にある「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」の言葉どおり、勢いがあって栄えている者もいつかは衰える。
この世界の都市ランキングで特に重視されるのは経済力だ。近年はGDP成長率が高いインドやインドネシアの都市が台頭しているから、それらの新星が東京やソウルを追い抜く未来が見えなくもない。

 

ソウルと東京をもう少しくわしく見てみよう。
ソウルで評価が高かったのは「人的資本」。世界的にも有名な大学がいくつもあり、サムスンやLG、起亜(キア)といった多国籍企業の本社があり、ビジネス活動も活発に行なわれている。
しかし、次のような点で評価を下げた。

・韓国全体の経済が近年は低迷していて、少子高齢化も進んでいるため、今後はこれまでのような経済成長は見込まれない。
・住宅価格が上がっていて、家賃が所得に対して大きな割合を占めており、市民の生活を圧迫している。
・空気の質が悪く、夏は猛暑、冬は大雪になることがあり、暮らしにくさの原因となっている。

このため、ソウルの「環境部門」は世界514位、「生活の質」は129位と低く、これらの分野が全体的な評価を下げた。

東京が高く評価された点はソウルと同じ、は、教育レベルの高さとビジネスの中心地であること。ただし、東京は「生活の質」で26位、「環境部門」で399位と、どちらもソウルを上回っていて、総合順位では東京のほうが6つ上だった。
生活の質が高い理由は、インフラが整っていて、高度な医療が受けやすいことなどがあるだろう。足を引っ張ったのは、地震や台風などの自然災害が発生しやすいことで、これが環境評価を下げる要因となった。

 

国全体で見ると、韓国では第二の都市・釜山が281位、全州が314位で、ソウルにばかり「おいしいところ」が集中しているのが分かる。もしソウルが離脱したら、大韓民国は国力を大きく失って、大寒民国になりそう。「東京は何位?」と日本に目を向けるよりも、ソウルとそれ以外の都市との格差を気にしたほうがいい。
一方、日本では大阪と京都がそろって100位にいる。首都との格差は韓国ほど大きくなく、国全体がバランスよく発展してそうだ。
ソウルが国中の「養分」を吸い取って成長しているからこそ、東京と張り合えている、とも言える。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • > 「東京は何位?」と日本に目を向けるよりも、ソウルとそれ以外の都市との格差を気にしたほうがいい。

    また酷なことを。そんなの無理に決まってるでしょ。
    後ろを見ずに、日本(東京)に追いつき追い越すことを目標に頑張って来たのですから。今でもそれは変わってないはずです。
    Youtubeとか見ると分りますよ。ソウル以外の韓国の都市の話は動画に全然出てきません。

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