愛国心もホドホドに 日本・韓国・中国で、自国の旗を掲げて怒られた件

国旗はその国を象徴するもので、国民にとっては誇りや愛国心を刺激する大切なアイテム。外国人が富士山を登ると、自国の旗と一緒に写真を撮ることが多いのは、きっとそうした背景があるからだ。
国旗には重い意味があるから、それを掲げる行為は、時と場合によって他人を不快にさせることもある。富士山なら問題ないとしても、それをしてはいけない場所が日本にある。
数年前、あるコソボ人が広島の原爆死没者慰霊碑の前で、両手で自国の国旗を広げて記念写真を撮り、ネットに投稿したところ、

「This is f〇〇ked!」
(これは最低の行為だ!)

「Wow, what an idiot」
(何というバカ野郎だ)

と批判が殺到した。

8月6日の広島:慰霊碑の前での行為に、外国人から批判殺到

 

富士山で母国の国旗を広がるベトナム人

 

自分が大切に思うものが、相手も大切に思うとは限らない。むしろ、そういう思いが込められているからこそ、挑発行為になってしまうこともある。
最近、韓国の有名観光地・済州にある牛島のビーチに中国の五星紅旗が立てられたことで、韓国の人々が怒ったと中央日報が報じた。(2025.07.14)

「済州は中国の領地か」…牛島のビーチに立てられた中国の五星紅旗

ここを訪れたある韓国人は、なんで中国の旗があるのか理解できず、「独島(竹島)は我が領土だと言いながら、実際には牛島を中国に差し出しているようで不安を感じた」とネットに投稿した。すると、ネット民もショックを受け、

「なぜ旗を抜かなかったのか」
「済州はいつから中国人の島になったのか」
「制裁がないからこんなことが起きる」
「信じられない光景だ」

といった怒りのコメントが次々と書き込まれ、炎上状態となった。それだけでは怒りが収まらず、ビーチのある自治体に直接苦情を言う人もいた。

この旗を立てたのは、近くのカフェで働く中国国籍のスタッフ(朝鮮族らしい)だった。
このスタッフは、牛島に訪れる中国人観光客が多いため、写真スポットとして国旗を立てたと説明している。実際、たくさんの中国人観光客が、国旗と一緒に写真を撮るために並んでいたという。
スタッフは「この旗を見て中国人観光客がもっと来るなら、牛島にも良いことではないか」とまったく反省する様子がない。

この海岸は公有地だったため、自治体は店には旗を撤去するよう指示し、従わなければ賠償金を課す予定だ。
国を愛する気持ちは尊いが、他国にいるときは現地の人々の気持ちも尊重し、配慮する必要があるなんてことは、いま韓国人は中国に言えそうにない。
韓国メディア「毎日経済新聞」に残念な記事があった。( 2025-07-30)

백두산 천지서 애국가 부르며 태극기 흔든 유튜버…중국 공안 조사받아

中国と北朝鮮の国境にある白頭山(中国名:長白山)の頂上には、「天池」と呼ばれる美しい湖がある。そこへ行った韓国のユーチューバーが、韓国の国旗(太極旗)を振りながら国歌を歌っていたところ、現地の人に国旗を奪われ、中国の公安に連行された。
周囲の中国人は、「そういうことをしてはいけない」「ここは中国の領土だ」と不快感を示したが、行為を止められたユーチューバーは不満そうな顔をしていたという。
(このメンタルは「牛島にも良いことではないか」と言い放った中国人と似ている。)
その後、彼は公安で「同じことは二度としない」と誓約書にサインして解放されたが、韓国旗は返却されなかった。

これには中国のユーザー民もあきれ、

「いつから韓国人の山になったのか」
「まったく制裁がないからこんなことが起きる」
「信じられない光景だ」

といった反応を示したと思われる。

 

日本人も他国で迷惑行為をして、現地の人々を怒らせることがあるけれど、国旗を掲げるケースは聞いたことがない。日本人は中国人や韓国人ほど愛国心が強くなく、国旗に対する関心も低いためだろう。
愛国心はTPOに合わせて適度に発揮したほうがいい。
日本人は韓国人や中国人の国旗や国家を大切に思う気持ちを知り、韓国人と中国人は日本人の配慮(空気を読む能力)を学ぶと、きっとちょうどよくなる。

 

 

世界の人たちは国際舞台での「国旗掲揚・国歌斉唱」をどう思う?

日本と中国・インドの違い 国歌や国旗をめぐって校長が自殺するなんて…

江戸時代、世界中で日本にだけ、オランダ国旗が掲げられていた理由

世界の国旗:アメリカ人やタイ人にとって「国旗の意味」とは?

製紙法の伝播(西伝) いつ中国から日本・イスラーム圏・ヨーロッパへ?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメントする

目次