アメリカの第16代大統領リンカーンは、こんなイケメンなセリフを言った。
「敵が友となる時、敵を滅ぼしたと言えないかね?」
(Do I not destroy my enemies when I make them my friends?)
8月5日は、まさにそんな美しい出来事があった日だ。1995年のこの日、ベトナムとアメリカが過去の恨みを越えて和解し、国交を結んだ。
1964年、アメリカのジョンソン大統領が、ベトナムのトンキン湾でアメリカ軍の駆逐艦が北ベトナム軍から魚雷攻撃を受けたと発表し、アメリカは報復として北ベトナムを爆撃した。こうして地獄(ベトナム戦争)の扉が開かれた。
※トンキン湾事件は「アメリカがでっち上げた」とも言われている。くわしいことはリンク先で確認してほしい。
アメリカがベトナム戦争に参戦した理由は、よく「ドミノ理論」で説明される。
ひとつのドミノ牌が倒れると、ほかのドミノ牌も倒れるように、ベトナムが共産主義国になれば、隣国もそうなり、東南アジアに共産主義が広がることをアメリカは恐れた。それで、北ベトナムを叩き潰そうとした。
しかし最終的には、アメリカ軍は北ベトナム軍に敗れ、インドシナ半島から撤退する。1975年に、アメリカが支援していた南ベトナムの首都サイゴンが陥落し、戦争は終結した。約10年間で、ベトナム側では軍人と民間人のあわせて300万人が死亡し、アメリカ側では約5万8000人が亡くなったとされる。
この戦争でアメリカとベトナムの国交は断絶されたが、さまざまな交渉の末、1995年8月5日、両国の関係は正常化した。
現在、ベトナムはアメリカに対して最も好意的な国の一つとなっている。共産主義国の中で、そんな国はベトナムだけだ。
Vietnam, one of the countries with the most favorable public opinion regarding the U.S., is the only communist country to have such a favorable view.
「ドミノ理論」については半分当たった。ラオスは社会主義国になり、カンボジアがポル・ポト時代に共産化したが、それ以上、東南アジアで共産主義が広がることはなかった。
ベトナムは中国の領土や影響力を拡大するのを抑える役割を果たし、「対中国」においてアメリカの潜在的な同盟国となっている。
アメリカとベトナムは、完全に敵を滅ぼすことができたと言える。
ちなみに、北ベトナムは戦争に勝利した後、南ベトナム政府の負債(1億4000万ドル)を引き継ぎ、アメリカに支払った。国家間の約束はそれほど重いのだ。

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