きょうは12月15日なので、戦後直後の日本におきた重要な変化について書いていこう。
日本人の精神的な武装解除、「神道指令」が出される
日本の降伏によって戦争が終わると、アメリカを中心とした連合国軍(GHQ)がやってきて日本を占領統治した。
彼らGHQがとくに重視したのは、「日本が二度と戦争をしないようにすること」だ。そのため、11945年12月15日に神道指令を出し、神道と国家を分離させて日本人の「牙」を抜こうとした。
なぜ神道が問題になったのか?
戦前の日本では、「国家神道」という特別な仕組みがあった。
政府が神道を実質的に国教としてあつかい、天皇を神格化して、神道を通じて「国のために戦うことが正しい」という考え方を国民に広めたーー。
GHQはこの「国家と神道が一体となっている体制」が軍国主義を生み、日本を戦争へと駆り立てた大きな原因の一つになったと考えた。
GHQは「国家神道」をドイツのナチズムやイタリアのファシズムといった、危険思想と同一視し、神道指令によって、国家と神道とを完全に切り離すことにした。つまり、政教分離をすることで、この「危険思想」を社会から排除しようとした。
神道指令の具体的な中身には、神社に対し、公的な資金援助が止められたことがある。さらに、国家神道にもとづく次の3つの主張を、学校教育など公の場で伝えることを禁じた(Shinto Directive)。
1,天照大神の子孫である天皇は他の統治者より優れている。
2,特別な祖先や遺産があるため、日本人はほかの民族より優れている。
3,日本列島は天照大神の特別な加護を受けているため、ほかの土地(国)より霊的に優れている。
日本人の「精神的な武装解除」
GHQによる改革の目標は、「日本人の精神的な武装解除」にあった。つまり、日本人から「戦争を肯定する考え方」や「軍国主義的な考え方」をなくそうとした。
そのため、GHQは柔道や空手などの武術、敵討ちの物語である「忠臣蔵」の上演、ラジオ体操を禁止し、一時は将棋までも禁止しようとした。
GHQの「日本改造計画」:将棋はOKでも、忠臣蔵は禁止のワケ
この流れの中で神道指令が出され、日本が神道を利用して国民精神を統合したり、戦争を推進したりできないようにした。
神道指令の「その後」と現代の日本
この神道指令は、日本が独立を回復した1952年に効力を失った。しかし、国家と宗教を切り離す「政教分離」という考え方は、日本国憲法にしっかりと組み込まれている。
だから、今でも日本政府が特定の宗教にお金を出したり、特定の宗教活動に口出ししたりすることは禁止されている。
現代の日本人と「戦う意思」
GHQの「神道指令」がもたらした結果は、後の日本の社会や国民の意識に大きな影響を与えた。
それを示す興味深いデータがある。
「精神的な武装解除」には興味深いでデータがある。
国際的な調査機関「WIN/ギャラップ・インターナショナル」が世界63か国・地域を対象に、「もし戦争に巻き込まれたら、自国のために戦う意思はあるか?」という質問をおこない、2015年にその結果を公表した。
以下がその結果だ。
項目 世界平均 日本
戦う意思がある 60% 10%(世界で最も低い)
戦わない 27% 43%
わからない 12% 47%(世界で最も高い)
日本人ほど自国のために戦う人が少なく、「平和を愛する国民」はいないのだ。
ちなみに、「戦う意思がある」と答えた割合が最も高かったのはフィジーとモロッコ(ともに94%)で、ベトナムとパキスタン(84%)が続いた。
ご近所では中国が71%、韓国42%が「国のために戦う」と答えている。
この結果からも、GHQがおこなった「日本を二度と戦争させないための精神的な武装解除」大成功したと言える。

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