サンタを処刑? 日本のクリスマス風景に外国人がツッコミ

「決戦のクリスマス」を目前に、東京にあるケンタッキーフライドチキンの店舗で悲劇が起きた。
12月16日に火災が発生したため、24日と25日のチキンの予約にきちんと応じられなくなり、客には返金をおこなうという。
この悲報に日本のネット民の感想は?

・クリスマス中止のお知らせw
・焼き鳥
・今日なんかスーパー行ったら腿肉のローストチキンばっかり
ウーバー配達員だが近所だわ
明日はケンタッキーとドミノピザの配達注文が爆増するのに
・クリスマスは今年はやってこない
・大問題ぢゃんこれ
チキン難民が…

日本にはクリスマスの日にフライドチキンを食べるという独自の文化があって、よく外国人に驚かれ、ツッコまれる。特に欧米のキリスト教徒にとっては、神聖な日にファストフードを食べて喜ぶというのは不思議に感じるらしい。

 

さて、SNS上には日本に興味のある外国人が集まり、日本に関するいろいろなトピックを取り上げ、それについて議論するグループがある。
最近、おそらく欧米人が日本らしいクリスマス風景の写真を見つけ、

「I believe Japan doesn’t yet understand Christmas.」
(日本人はまだクリスマスを理解していないと思う。)

というメッセージとともに投稿した。その写真は、日本の洋服店や雑貨屋のショーウィンドウに、サンタクロースが十字架に磔(はりつけ)にされているというものだ。
ちょうどこんな感じに。

 

 

言うまでもなく、クリスマスはイエス・キリストの誕生日で、十字架に釘付けにされて処刑されるシーンはその正反対。
ちなみに、キリスト教ではイエスは3日後に復活したとされ、それを祝う「イースター(復活祭)」もクリスマスと同じように大切な日となっている(2026年のイースターは4月5日)。
クリスマスではサンタクロース、イースターではうさぎと卵がそのシンボルとなっている。ショップのオーナーもその辺の事情は理解していて、ジョークとしてサンタクロースを十字架に吊るしたと思う。

では、この日本らしいクリスマスの風景を見て、外国人が書き込んだコメントを、日本語に訳して紹介していこう。
以下で出てくる「彼ら」とは日本人のことだ。

 

・彼らはサンタを受け入れなかった。だから拷問をしている。
・贈り物を運んでくれたサンタを十字架に吊るすなんて… あのかわいそうなサンタは、もう日本人からの配達注文を受けつけないだろうね🤣🤣
・サンタはわれわれ人類の贈り物のために死んだ。
・わたしはペイガン(異教徒)として、彼らはキリスト教とクリスマスの意味を完璧に理解していると思う。

※ヨーロッパで、キリスト教が伝わる前からあった信仰は「ペイガニズム」と呼ばれた。ゲルマン人によって広く信仰された「北欧神話」もペイガニズムのひとつだ。
日本でいうなら、神道がペイガニズムになる。

・あの画像を見て、北欧神話に出てくる神・オーディンを思い出した。オーディンは自分自身をユグドラシル(世界樹、生命の木)に吊るしたんだ。

※北欧神話では、オーディンが自身を犠牲にすることで重要な知識と魔術を手に入れたとされている。つまり、オーディンは死んではいない。

 

ユグドラシルに、みずからを吊るすオーディン

 

・サンタが日本人に一体何をしたっていうんだ?
・これはAIの生成画像じゃなくて、本物の写真なの?
・日本人は理解していないわけじゃないんだ。クリスマスの象徴を効果的に使っているだけ😂
・キリスト教徒は「すべてはイエスのおかげ」って主張しているんだから、サンタがイエスになってもいいんじゃない?
・イースターにはうさぎが十字架にかけられるの?

・問題ない。キリスト教徒だってクリスマスを理解してないんだから 🤣
・日本人がサンタを釘付けにして、クリスマスは終わった。誰かルドルフ(トナカイ)に、重労働から解放されたと伝えてくれ。
・実際、まったく逆。 日本人はアメリカ人よりもクリスマスをよく理解している。
・恐ろしいクリスマスだ…。
・わたしは日本を責められない。彼らはアメリカの文化をよく観察し、マネしていた。これはその結果にすぎない。

 

・彼らは創造性とアイデアで、クリスマスをもう一段階、高みに上げた💡
・彼らのイースターのウィンドウディスプレイを見るのが待ちきれない 😆 🤣
・ほとんどの欧米人だってクリスマスを理解していない。
・実は欧米よりも、日本のクリスマスのほうが良い。そこに行って自分で確認してください。彼らにはユーモアのセンスがある。
・完璧に処刑された… 🤣🤣🤣

 

古代ローマ時代に信仰されていた太陽神(向かって左、自由の女神像みたいなやつ)

 

「Japan doesn’t yet understand Christmas」なんて言う外国人もいるけれど、そもそもキリスト教とクリスマスは関係ない可能性が高い。聖書には、イエス・キリストが12月25日に生まれたなんて記述はないのだから。
古代ローマで、12月25日は冬至の日にあたり、「太陽の誕生日」とされ、祭りが開かれていた。キリスト教徒がその習慣をイエスの誕生日とすり替えて、自分たちの祝いの日にしたという説もある(Sol Invictus)。
実際、キリスト教徒が異教(ペイガニズム)の祭りを奪い、自分たちのものにしたのがクリスマスのはじまりだろう。
極東の島国で聖なる日にフライドチキンを食べたり、サンタクロースを「処刑」するくらい、とくに問題はない。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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