幻の国「台湾民主国」とは?
まずは歴史クイズを解いてほしい。
次の3つの文の内容で、間違っているところを見つけてくれ。
朝鮮半島をめぐって日本と清が対立し、1894年に戦争がはじまって日本が勝利した。
翌年に下関条約が結ばれ、清は朝鮮の独立を認め、日本に台湾を譲りわたした。
この決定によって、日本は何の抵抗も受けずに台湾を占領し、統治を開始した。
答えは、「何の抵抗も受けず」という点で、実際には、この過程で「台湾民主国」が建国されている。
台湾民主国は、かなり美化して言うと「アジア最初の共和政国家」になる。
中立的に言うと、たった5ヶ月で滅亡した「幻の国」。
無慈悲に言うと、すぐに消え、歴史にほとんど影響を与えなかった「雑魚国」だ。
台湾民主国は歴史にその名を残しているが、国家としての実態はほとんどなく、ネタのような国だ。
しかし、日本との関係はあり、間違いなく存在していたから、知っておく価値はある。
ちなみに、アジア最初のガチな共和政国家は、1912年に辛亥革命で成立した中華民国とされている。

台湾民主国の国旗
1.建国の背景:聞いてないよ〜
台湾民主国が建国された直接的な原因は、下関条約で清が日本に台湾の譲渡を認めたことにある。
このとき、台湾にいた人たちは、当事者であるにもかかわらず、この重大な決定を事前に知らされていなかった。
清王朝の時代、台湾は「化外の地」と呼ばれていた。
この言葉には、「中華文明の外側にあり、野蛮な人間が住んでいるところ」といった差別的なニュアンスがある。
中央政府は台湾島にほとんど価値を認めず、軽視していたから、何も知らせずに勝手に譲渡を決めたのだろう。
台湾の統治をまかされていた清朝の役人たちは、この決定を知って衝撃を受け、日本の支配下に入ることを強く拒絶する。
そこで日本に抵抗するため、もう破れかぶれだったと思うが、最終手段として彼らは台湾島に独立国家を樹立することにした。
こうして1895年5月、清の地方統治官だった唐景崧(とうけいすう)を初代総統として、独自の元号や国旗も制定され、「台湾民主国」が誕生した。
2.日本との戦い :口だけ番長
建国のさいに発表された独立宣言には、「わが台湾同胞は誓って倭(日本)に屈せず、戦って死を選ぶ」という勇ましい言葉が刻まれていて、台湾民主国は徹底抗戦のかまえを見せた。
もちろん、これは「負けフラグ」だ。それも屈辱的な。
日本軍が台湾北部に上陸を開始すると、唐景崧総統はあっさりと台湾を見捨ててしまう。
彼は老婆に変装し、大量の公金を持って、ドイツ船に乗り込んで対岸の厦門(アモイ)へ逃げ出した。
トップが敵前逃亡し、北部の防衛線は総崩れになる。
その後、拠点を南部の台南に移し、劉永福(りゅうえいふく)が第二代総統に就任し、日本軍に対する抵抗を続けた。
しかし、近代的な装備と訓練を受け、「ボス」である清を倒した日本軍に比べ、台湾軍はあまりにも貧弱だった。
圧倒的な戦力差の前に敗退を重ね、10月には劉永福もまた中国本土へと逃げ出してしまう。
こうして台湾民主国は完全に滅亡した。
「倭に屈せず、戦って死を選ぶ」と叫んで多くの兵士を死なせ、自分だけは(金を持って)逃げ延びる。
口だけ番長にもほどがある。
清の役人らしい、清々しいまでのクソメンタルだ。
3.滅亡の理由 :孤立無援
たった5ヶ月で台湾民主国が崩壊した理由には、大きく3つの要因が挙げられる。
国際的な「孤立無援」
台湾民主国は西洋列強に支援を求めたが、相手にする国は一つもなかった。
清国でさえ、日本との条約違反になることを恐れて「ガン無視」していたのだから、台湾民主国に味方しようとする国が現れるわけがない。
どんなに大声で「独立しました!」と叫んでも、どの国からも認められなかったら、独立国家とはいえない。
指導層の覚悟の欠如
唐景崧や劉永福といった指導者たちは、そもそも台湾で生まれ育った人間ではなく、清朝から派遣されてきた役人や将軍だ。
そんな彼らが台湾島に深い愛着をもち、土地と人びとを守るために命を懸けて、最後まで戦い抜くという覚悟はなかった。
それは、形勢が不利になると、すぐに逃げ出したことからも明らかだ。
現地有力者たちの離反
現地で強い影響力を持っていた台湾人の富裕層や外国人商人は、台湾民主国の指導者たちのふがいなさや、兵士による略奪などを目の当たりにした。
彼らは台湾民主国の動きを観察し、「これはダメだ」と見切りをつける。
自分たちの財産や立場、そして地域の治安を守るため、彼らは日本軍に道案内をするなど積極的に協力した。
日本は彼らの功績を高く評価し、その後にはじまった台湾統治で厚遇したことは言うまでもない。
台湾民主国:滅亡が約束された国
「台湾民主国」は日清戦争の敗北によって、急につくられた国で、指導者は無責任で無能、そして卑怯者だった。
支援する国はなく、台湾の人たちにも見限られ、強大な日本を相手にしたのだから、半年ももたないで崩壊するのは必然だった。

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