北米大陸|レイフが初めて到達し、ガボットが初上陸。コロンブスは何をした?

過去は変わらないけれど、歴史はよく変わる。

新しい事実が発見されたり、時代が変わって人びとの意識が進化したりすると、歴史が上書きされることは珍しくない。

個人的に「北米大陸とコロンブス」の関係性がこの数年で大きく変化し、先日さらに情報がアップデートされたので、これからそのことを書いていこう。

 

昭和の時代、学校の歴史の授業で「コロンブスがアメリカ大陸を発見した」と教わったから、素直にそう信じていた。しかし大人になってから、「発見した」という表現は、ヨーロッパ中心の「上から目線」の見方であることを知った。

ヨーロッパ人と出会う前から、そこにはすでに先住民が暮らし、独自の文化を築いていたのだから、「コロンブスはアメリカ大陸に“到達”した」という言い方のほうが適切ではないか――。
そんな見方が主流になり、教科書の表現も改められた。

それ以来、北米大陸(現在のアメリカやカナダ)に上陸した初めてのヨーロッパ人はコロンブスであると認識していたが、アメリカ人の知人から、その情報は二重の意味で間違っていることを教えられた。

アメリカ大陸に到達した初のヨーロッパ人は別の人物で、そもそもコロンブスは北米大陸に上陸さえしていなかったのだ。
では、彼は一体何をしたのか?

目次

最初に北米大陸に到達したヨーロッパ人は「エリクソン」

数年前、歴史にくわしいアメリカ人と話をしていた際、

「アメリカ大陸に初めて到達したヨーロッパ人がコロンブス? おいおい、何周遅れの話をしているんだ?」

と言われ、初めて「レイフ・エリクソン」(970年頃 – 1020年頃)という人物を知った。

 

北米に上陸するレイフ・エリクソン(AIによるイメージ)

 

彼は北欧のヴァイキングで、コロンブスが航海を始める約500年ほど前、仲間ととも現在のカナダ東海岸のあたりに到達していたのだ。

彼らはそこを「ヴィンランド」と名付けた。
現在では、ヴァイキングの住居跡が発見され、彼らが一時的な定住を試みたことも判明している。

つまり、「北米大陸に到達した初のヨーロッパ人」という栄誉は、コロンブスではなくエリクソンに与えられるべきものなのだ。

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大航海時代、最初に北米大陸に上陸したのは「カボット」

では、15世紀にはじまった大航海時代において、最初に北米大陸に上陸したヨーロッパ人は誰なのか。

それもやはりコロンブスではなく、イタリア出身でイングランド王の命を受けて航海に出た探検家、ジョン・カボットだった。

 

ジョン・カボット

 

コロンブスが最初の航海を終えた5年後の1497年、カボットは北大西洋を横断し、カナダ東海岸の近くに上陸した。

これは、11世紀のレイフ・エリクソンら一行がヴィンランドに到達して以来のことで、カボットは、大航海時代に北米大陸に足を踏み入れた「最初のヨーロッパ人」となった。

1997年、その記念すべき一歩から500周年を迎えたとき、カナダとイギリスは合同で記念式典を開き、ニューファンドランド島のボナビスタ岬を「公式な」上陸地点として指定している。

For the 500th-anniversary celebrations, the governments of Canada and the United Kingdom designated Cape Bonavista in Newfoundland as the “official” landing place.

John Cabot

カボットの探検と上陸によって、後にイギリスが北米大陸へ進出する基礎が築かれることになった。

コロンブスがしたのは「新大陸の存在を広めた」こと

ここまでの話をまとめると、以下のようになる。

北米大陸に最初に到達したヨーロッパ人は、ヴァイキングのレイフ・エリクソン。
大航海時代に初めて北米大陸に上陸したヨーロッパ人は、ジョン・カボット。

それなら、歴史上で最も有名と言っていい探検家、クリストファー・コロンブスは、一体何をしたのか。

実際のところ、彼が到達&上陸したのは、現在のカリブ海の島々、そして中南米の一部だけ。
つまり、現在のアメリカ合衆国やカナダのある「北米大陸」を、彼は見たことすらなかったたのだ。

コロンブスの最大の功績は、大西洋のはるか向こうに、「それまでヨーロッパ人が知らなかった広大な陸地がある」という事実を、ヨーロッパ世界に広く紹介したことにある。

結果的に、彼の航海が引き金となって、ヨーロッパ各国は海を渡ってアメリカ大陸へ進出(侵略)し、歴史を大きく動かしたのだ。
コロンブスは北米大陸を「発見」することも、「到達」することもしていなかった。
しかし、生きて戻れるか分からない航海に挑み、新大陸の存在を世界に伝えた功績は大きい。

もっとも、アメリカ大陸の住民からしたら、これは「終わりの始まり」だ。
異なる文明圏との接触したことで、コレラ、マラリア、ペスト、天然痘、結核といった感染症がもたらされ、免疫のなかった先住民は大量に死亡し、ヨーロッパ人に土地を奪われてしまったのだから。

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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