2016年を代表するアメリカ映画に「ラ・ラ・ランド」ってのがある。
3,000万ドルの予算で制作されたこのロマンティックなミュージカル映画は全世界で大ヒットして、4億4,600万ドルの興行収入をたたき出した。
ゴールデングローブ賞で7部門、英国アカデミー賞では6部門を受賞したという記録的お化け映画で、映画監督の新海誠氏はこう絶賛する。
「大いに堪能しました。夢を追う過程にいる男女の、すがるような自信と傲慢と不安と。一度だけの恋と。音楽と映画の特別な瞬間が何度もありました」
希望とロマンにあふれたこの映画のタイトル「ラ・ラ・ランド」には「現実から遊離した精神状態」という意味がある。
厳しい現実で生きていれば、たまには夢の世界にダイブして心をリフレッシュしてもいい。
でも、この逆はいけない。
特に国家のリーダーが現実的な認識をなくして、ファンタジー世界の住民になったら大変だ。
韓国で文在寅(ムン・ジェイン)大統領の夢が暴走している。
きょねんサッカーの韓国代表が平壌で北朝鮮代表と試合をおこなった。
韓国メディアの報道によると、この試合をふくめて北朝鮮側の対応はかなりむごく、韓国選手はホテルでは監禁状態にされて、試合中は北朝鮮の選手から何度も暴力的な行為を受けた。
ソン・フンミン選手は試合をふり返って、「けがすることなく帰ってきただけでも幸いだった」と言う。
自国の代表選手と関係者が散々な目に合わされた試合のすぐあとに、文大統領は駐韓外交団に「2032年の五輪のソウル・平壌共催を支持してほしい」と言う。
この大統領の頭の中には北朝鮮との友好親善しかないのだ。
そんな大統領を朝鮮日報がコラム(2020/01/26)でこう批判する。
おとといの国務会議で五輪共催案が議決されると、国際人権団体の幹部は「文在寅大統領は『ラ・ラ・ランド』で暮らしている」と言った。映画『ラ・ラ・ランド』のように夢の世界に浸っているという意味だ。
【萬物相】ラ・ラ・ランド
他にも客観的には韓国経済が悪化しているにもかかわらす、文大統領は自信たっぷりにこう話す。
「最低賃金引き上げは90%の人々が肯定的に見ている」
「青年失業率が非常に低くなった」
「経済協力開発機構〈OECD〉加盟国の中で韓国はかなりの高成長国」
朝鮮日報に言わせれば、「すべて『ラ・ラ・ランド』でのセリフ」だ。
新海監督に言わせれば、「夢を追う過程にいる」のかも。
朝鮮日報をはじめ韓国の保守派の人たちは現実世界にいるから、核開発をやめない北朝鮮との友好親善には否定的だ。
いま大事なことは北朝鮮に核を放棄させることで、そのためにはラブコールより制裁をふくめた厳しい対応が必要。
でも、そんな朝鮮日報や保守派の人たちも「反日」になると、ラ・ラ・ランドの住民になってしまう。
少し前の記事で、日韓の大学生による交流活動で「従軍慰安婦問題」について討論したところ、日本の女子大学生が土下座して謝罪したという悲しい出来事を書いた。
韓国の学生はこんな結末を期待していたわけではなくて、土下座する女子大学生を見て戸惑ったという。
交流で慰安婦問題を取り上げたことが間違いだった。
この日韓の最大の外交問題は2015年の合意で解決した。
くわしい内容は外務省ホームページに書いてある。
今回の発表により,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。
にもかかわらず、このあと韓国側は国連で慰安婦を「性奴隷」と呼んで日本を非難する。
両国の外務大臣が世界を前に握手をしたのだから、この合意が破られることはない。
と現実世界の人間なら思う。
合意に基づき安倍首相は心からのお詫びを表明して、政府は韓国側に10億円をわたした。
日本は約束したことをすべて守ったのだから、今度は当然、韓国が誠意を見せる番だ。
そんな韓国側では、先ほどの最悪な韓日学生交流を経験した韓国人記者が、慰安婦合意についてコラム「日本から謝罪を受ける韓国の意志と戦略」(2016年01月04日)でこう書いている。
「謝罪が成立するかどうかは、むしろ謝罪を受ける側の意志と戦略にかかっていることが多い。」
「今回の慰安婦交渉は、真の謝罪をする気がない相手と綱引きした結果で、どちらにせよ完勝は不可能だった。」
「そのような謝罪でも受け入れて、今後の韓日関係をどのように国益に合わせ導いていくかは、私たちが決断する問題だ。」
まず日本を「真の謝罪をする気がない相手」と決めつける態度が無礼千万。
それよりおかしいのは、「謝罪が成立するかどうかは(韓国側の)意志と戦略にかかっている」とスーパー上から目線でものを言うことだ。
いまさら韓国側がどう思っても、この問題は解決済みでもう動かない。
韓国側がしないといけないことは、合意に基づいて日本大使館前の慰安婦像を撤去することだ。
「私たちが決断する問題」なんて何も残っていない。
このコラムから4年がたったいまも、韓国は日本との合意を守っていない。
このあと韓国側は、元徴用工問題でも日本との約束と国際法を破ってしまった。
そしてまた日本に謝罪を要求するというミステリー。
朝鮮日報と同じく、「親北一辺倒」の文大統領に批判的な中央日報が記事(2019.10.02)でこう書く。
「韓国は日本に賠償を要求せず、日本はしっかりとした謝罪をしなければならない」という中央ホールディングスの洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)会長の提案を中心にディスカッションが行われた。
<中央日報・CSISフォーラム>「韓国は賠償を要求せず、日本ははっきりとした謝罪を」
「約束を破った側が守った側に反省や謝罪を求める」という発想は倒錯したファンタジーでの話で、現実世界の認識ではない。
徴用工訴訟問題の解決も慰安婦問題と同じで、韓国が現実を受け入れて約束を守るしかない。
こんな自分勝手なことを言うから、「ウリナラファンタジー」なんて言葉が作られてしまう。
ウリナラファンタジーとは、自分たちに都合の良い夢想的・非現実的な主張をする韓国を揶揄して生まれた言葉である。
文大統領を「すべて『ラ・ラ・ランド』でのセリフ」と非難した韓国メディアも、反日になるとラ・ラ・ランド(現実から遊離した精神状態)になってしまう。
でも全員が「反日ラ・ラ・ランド」の住民というわけでもなくて、絶滅危惧種に指定してもいいほどの激レアだけど、文政権に合意を守って問題を解決するように求める韓国人もいる。
さて、勝つのは現実かファンタジーか?
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>日本の女子大学生が土下座して謝罪したという悲しい出来事を書いた。
ブログ主は、それを「悲しい出来事」と評価してしまうのですか?
私にしてみれば「馬鹿げた、けしからん出来事」としか思えないですが。韓国に一方的な主張をされたことに対し、そのような行動を女子大学生にとらせてしまう、日本の間違った教育にも腹が立ちます。
>韓国の学生はこんな結末を期待していたわけではなくて、土下座する女子大学生を見て戸惑ったという。
それ、本当ですか? 元記事にそんなこと書いてありましたか?
多少は戸惑ったかもしれないが、結局は韓国人学生たちが土下座した女子大学生達に一層の非難をかぶせて、それで終会になったのではないですか?
そのような行動をとった日本人女子大学生達を思いやるほどのデリカシーが、彼らにあるとは思えないですが。
これは自分の生まれる前のことで女子大学生には何の責任もありません。
なのに、そうせざるを得なくなったのは悲しいことですね。
そういう人を責める気はありません。
こういうときにしっかり言い返せるよう日本もしっかり教育をするべきでしたが。
疑問を感じたことは確認できるようにソースを明示してあります。
朝鮮日報のコラム「日本から謝罪を受ける韓国の意志と戦略」を読めばわかります。