歴史問題と経済の分野はしっかり切り離して、それぞれ別々に対応していく。
日本に対する韓国のそんな外交方針を「ツートラック」という。
でもこれは、慰安婦・元徴用工問題などで日本に謝罪を要求すると同時に、経済協力も求めちゃうという、韓国にとって一方的に都合のいい発想だから、ツートラック戦略の日本での受けは最っ低といっていいほど悪い。
反日を政治カードに利用しながら、日本には通貨スワップ協定の締結(=事実上の韓国支援)を希望するというのは、「そんなこといいな、できたらいいな」というドラえもんレベルの夢物話だ。
でも韓国・文政権は歴史と経済のどっちも手放せないから、日本に対してはその”完全分離”にこだわっている。
その理由はこの2つが結びつくと、たとえばこんなデメリットがあるからだ。
中央日報日本語版の記事(2021.05.25)
悪化した韓日関係が経済交流に悪影響「交易額11.9%減少」
韓日関係が地獄のように悪化しても、経済関係は一切影響を受けずに、日本からの利益を受けつづけたい。
ここ数年の「戦後最悪」と言われる政治的対立がそれを許すはずもなく、文政権の掲げるツートラック戦略は目見に見えて通じなくなっている。
現在の関係悪化の引き金を引いたのは韓国だ。
2018年に韓国最高裁が日本製鉄に元徴用工への賠償を命じたことで、地獄の門が開かれた。
1965年に日韓両政府が解決を確認したことで、この問題はすでに終わっているにもかかわらず、これを白紙に戻して賠償金を請求する。
これは国際法に違反することで、国際社会の一員なら考えられない。
でもいまの韓国ならアリエール。
日本政府への謝罪や賠償要求ならこれまでもあったけど、一般企業に賠償を求めたことはそれとは次元が違う。
日本企業は巻き込まないような「ツートラック」をしていれば、いまほどの関係悪化はなかったはず。
一線を越えた韓国に対する日本企業の態度は明確だ。
韓国経済研究院によると、関係が本格的に悪化した19~20年とそれ以前(17~18年)を比較した結果、韓日の交易額は11.9%減った。だけでなく、韓国にお金を使う日本企業も減少。
日本の製造業による純投資額は全体的には、17~18年から19~20年には47.8%増えたにもかかわらず、韓国への直接投資は同じ期間で62.1%も減った。
単純に考えれば韓国に投資しても儲かる見通しが立たないから、その分を他の国に投入したのだろう。
関係悪化にともなう韓国経済が受けた打撃は、19~20年の生産誘発額が約1160億円、付加価値誘発額が約570億円のマイナス、さらに国内で1万3300人分の雇用減少につながったという。
これが明らかになって韓国経済界が青ざめる。
韓経連のチュ・グァンホ経済政策室長は「両国の交易萎縮は政治・外交紛争が経済葛藤に転移した様相」としながら「韓日政府が早急な関係正常化に向けて努力すべきだ」と明らかにした。
日韓の政治対立が経済に大きな悪影響を及ぼしたのは明白で、ツートラックなんて、現実的には全く機能していなかったことがわかる。
最近の韓国さんは、半導体部品が手に入らなくて困っている。
それで韓国政府が協力を求めたのは日本ルネサスだった。
中央日報日本語版の記事(2021.05.26)
韓国政府、ドイツ・日本など車載用半導体企業に供給協力の公文書
そんなお願いをする前に、2年前に日本企業へ何をしたか思い出してほしい。
韓国で反日感情が高まっていたころ、いくつもの自治体が日本製品の不買条例を可決し、日本政府が猛烈に抗議した。
毎日新聞の記事(2019年9月6日)
日本政府「不当な非難で遺憾」と抗議、韓国の「戦犯企業」不買条例
韓国社会に大きな経済的利益をもたらし、多くの韓国人を雇用した日本企業に対するひとつの応えが「ボイコット運動」だ。
しかも一般国民ではなくて、地方自治体がこんな反日活動をしていたというのがヒドイ。
このときは近いうちに、韓国は必ずこの報いを受けることになると確信していた。
これはむずかしい予測ではなくて、日本人なら誰だってわかることだ。
韓国には、自分が起こした問題は自分で解決することを意味する「結者解之」という素晴らしいことばがある。
この考え方からすると、「韓日政府が早急な関係正常化に向けて努力すべき」ではなくて、約束を破って関係悪化をもたらした韓国政府がまずは全力で努力すべき。
「ツートラック」とか言ってる場合じゃない。
日本企業なら「嫌韓」ではなくて、利益で動くはず。
企業が明らかに手を引き始めているということは、韓国にとってはかなり不吉なサインだ。
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