「戦士クレイジー・ホース、最後の戦いに挑む」
なんていうとラノベのタイトルみたいなんだが、これは1877年の1月8日、モンタナ州であった歴史の事実。
クレイジー・ホースとはアメリカ先住民、ラコタ・スー族の一支族、オグララ族に属するパヤブヤ族の戦士のこと。
まぁ、アメリカ史で最も有名なインディアンの戦士、と覚えておけばいいですよ。
(彼は部族の酋長ではない。)
1492年にコロンブスがアメリカ大陸を見つけやがってから、大量のヨーロッパ人がこの新大陸へやって来るようになる。
でもその地には、はるか昔から住んでいる先住民の人たちがいた。
するとビリヤードの玉のように、ニューカマーの白人が彼らインディアンと衝突し、土地をめぐる争いがぼっ発するのは避けられない。
そもそもインディアンには「土地を売り買いする」という概念や習慣がなかったから、それを前提にヨーロッパ人が話をしてもまったくかみ合わないのだ。
そんな白人と先住民との間で、17~19世紀にわたって行われた争いをインディアン戦争という。
といっても銃さえ知らなかったインディアンが、圧倒的な攻撃力を持つ白人の入植者と戦っても勝てるはずもなし。
インディアン戦争とは実際のところ、全体的にみればヨーロッパ人による民族浄化や虐殺だ。
その悲劇の象徴にカスター中佐率いる米第7騎兵隊が、インディアンを殺しまくった1868年のウォシタ川の戦いや、このまえ記事に書いたウンデット・ニーの虐殺がある。
といっても、インディアンがいつも一方的に被害者だったわけでもなくて、白人に対してかなり残酷な行為もしている。
そして、輝かしい勝利もあった。
それがブラックヒルズ戦争(1876年~1877年)の中であったリトルビッグホーンの戦いだ。
1876年の6月、スー族やシャイアン族など1000人以上のインディアンが、宗教行事のサン・ダンスのためにモンタナ州のリトルビッグホーン川の近くに集結していた。
それを先ほどのカスターが発見。
早く攻撃を仕掛けたいカスターに副官は「慎重にいきましょう」とアドバイスし、ジョン大佐は「カスター君、あんまり欲張るもんじゃないよ」と言う。
はい、フラグいただきました。
こうした助言を無視して突撃したカスターらは、インディアンの返り討ちにあい、第7連隊の騎兵211名は全滅する。
カスターが発した最後の言葉は「万歳!野郎ども、奴らを片づけて本隊に戻ろうぜ!」だったとか。
ウォシタ川での虐殺を考えれば、ふさわしい終わり方だ。
このリトル・ビッグホーンの戦いで、味方を勝利に導いたクレージー・ホースはインディアンと敵からも大きな尊敬を集めたという。
the Battle of the Little Bighorn in 1876, in which he led a war party to victory, earned him great respect from both his enemies and his own people.
クレージー・ホース。と思われていたこの写真、実は別人らしい。
でも、こんな感じの人物だったのはたしか。
そんな彼も翌年1877年の1月8日、アメリカ騎兵との最後の戦いを挑むも勝利は得られず。
その後、冬の寒さと飢えで弱っていく仲間を見て、クレイジー・ホースは降伏を決めた。
そしてその年の9月、白人兵に刺殺されて英雄戦士は伝説になった。
現在のアメリカ社会でクレージー・ホースは、「ネイティブ・アメリカンの戦士の中で最も有名で象徴的な存在」(the most notable and iconic of Native American warriors)という位置付けをされている。
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