いま日本には約300万人の外国人が住んでいて、なかでもベトナム人が多い。
個人の思いはそれぞれあるとしても、多文化共生を選択した日本では外国人との付き合いが大事になってくる。
今年の成人式で、岡山県の総社市(そうじゃし)が市内のベトナム人を招待したのもその流れで、市長の片岡聡一さんはこうツイート。
「ベトナムの二十歳の方々。晴れ着を喜んでくれました。総社市民の協力で着ることが出来ました。とても似合ってます。おめでとうございます!」
日本の伝統衣装を着たベトナム人女性のなかには、感激して涙を浮かべる人もいたとか。
これからベトナム人(特にグエンさん)と接点を持つ人も出てくるだろうし、今回は両国の歴史で「誇れること」を知っていこう。
ベトナムってこんな国。
面積:32万9,241平方キロメートル(日本の約9割)
人口:約9,762万人(日本の約8割)
首都:ハノイ
民族:キン族(越人)約86%、他に53の少数民族
ソース:外務省ホームページ「ベトナム社会主義共和国 基礎データ」
「このまえ参加した会議で、発表した日本人の言っていることが意味不明で困りました」
そんなグチを言えるほど日本語ペラペラのベトナム人女性と、そこまでじゃないけど、日常会話は問題なくできるベトナム人男性と一緒に、最近ガストでご飯を食べた。
久しぶりに会った彼らはまず、「明けましておめでとうございます」とニコニコして言う。
1月の終わりに新年のあいさつを聞くのは、日本人的には時期ハズレ感がハンパないのだけど、2023年のベトナム正月は先日の1月22日だったから、彼らにとってはこれは自然で当然のこと。
ベトナム語で正月は「テト(Tết)」といって、ボクは高校の世界史の授業で初めてこの言葉を知った。
ベトナム戦争が行なわれていた1968年1月30日、北ベトナム軍が南ベトナム&アメリカ軍に対して、各地で一斉に奇襲を仕掛ける。
これが世界史でならう「テト攻勢」だ。
この戦闘の様子がテレビで放送されると、「この戦争はもうすぐ終わる。我々の勝利で!」と知られされていたアメリカ国民は大きなショックを受けて、これがきっかけになって反戦運動が盛り上がる。
国民の支持を失ったアメリカは戦争継続がむずかしくなる一方、北ベトナムは有利に戦局を進めることができるようになったから、結果的に「テト攻勢」はベトナム戦争における重要なターニングポイントとなった。
「日本>アメリカ」が「日本<アメリカ」に変わった、太平洋戦争でのミッドウェー海戦のようなもの。
そんなことでボクは高校で「テト」という言葉を知って、てっきりベトナムの地名かと思っていたら、ある時ベトナム語で正月のことだと知る。
ベトナムに関係ない日本人なら、この順番でテトの意味を知る人が多いと思われる。
2人のベトナム人はテト攻勢について聞いたことはあるけど、くわしいことは知らないらしい。
ベトナム戦争について話をしていると、男のほうがキメ顔でこう言う。
「知ってますか?中国とアメリカを撃退した国は世界でベトナムだけなんです」
そんな言葉を聞いた女性も、「そうそう」とややドヤ顔で誇らしげなようす。
でもそれは歴史的事実だから、こっちも「イグザクトリー」としか言えない。
ベトナム北部は前漢の武帝の時代、紀元前111年に中国に併合されてから、10世紀はじめに独立するまで、1000年近くも中国に支配される状態が続いた。
907年に唐が滅亡した中国では、次々と王朝が生まれては倒される「五代十国」の混乱状態となって、それをチャンスにベトナム人が中国勢力を追い出して自由を手に入れる。
20世紀のベトナム戦争についても、北ベトナム軍が勝利して南北を統一することに成功したから、彼らのドヤ顔はとても正しい。
そんな国は世界でベトナムだけだから、その歴史はたしかに誇りに値する。(ベトナムの歴史)
では今度はこっちのターン。
中国とアメリカを撃退した世界で唯一の国がベトナムなら、日本は世界最古の国なのだ。
中国文明やメソポタミア文明などの世界四大文明があるから、人類史で初めて成立した国はもちろん日本じゃない。
でも、現在まで続く国という意味なら、世界最高ではないが最古と言ってヨシ。
「いまの天皇は126代目で、古代から令和まで一度も途切れたことがないんだよ。ふっふっふ」と言うと、「えっ、そうなんですか!」「長い歴史があるとは思っていましたけど、日本の皇室はそんなに古いんですね」と驚く2人。
ここで大事なポイントは「だれが世界一と認めたのか?」ってこと。
一般人が主観的に、「我が国の〇〇は世界一ィィィィーーーーッ!」と叫んでも何の意味もない。
ということで信頼性は保証済みのギネス記録を見てみると、日本の天皇家を、紀元前660年の神武天皇の即位から現在までつづく世界最古の王家(Oldest ruling house)と紹介されている。
a direct descendant of Jimmu Tenno, whose reign was traditionally from 660 BCE to 581 BCE – but more probably dates as far back as c. 40 BCE to c. 10 BCE.
神武天皇は伝説上の人物だから、皇室の起源はおそらく紀元前40年~10年ごろまでさかのぼるという。
それでも2000年も続く王朝なんて、世界には日本以外に無い。
明治時代に来日したアメリカ人女性のシドモアも、日本とヨーロッパの君主を比較してこう言った。
欧州の君主や権勢を誇る王族は、日本の統治者・天皇に比較すると成り上がり者にすぎません。皇室は紀元前六六〇年に初代神武天皇が即位して以来とぎれることなき系統を保っています。後代へ下って、現在の天帝の子孫、睦仁(明治天皇)は歴代系図から一二二代目となります
「シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)」
中国とアメリカを撃退した「最強の国」がベトナムなら、日本は現存する「世界最古の国」なのだ。
それについては、2人のベトナム人も「イグザクトリー」と納得のようす。
愛国心の強いベトナム人はこういう話を聞くときっと喜ぶから、(少なくともベトナム人犯罪の話題よりは)、ベトナム人と接する機会があったらぜひ、話してみてください。
ベトナムの国民的英雄&”テロリスト”の「ヴォー・ティ・サウ」
写真の人たちは「・・・中国とアメリカを撃退した・・・」と想いのかけらすらないので、歴史をちゃんと勉強してください。
この写真の人たちのインタビュー記事があるのでしょうか?
もしそうなら、どんな思いだったのか知りたいです。
ぜひ読んでみたいので、ここでその情報をシェアしてください。