「もう我々には後がない」 批判だけの韓国左派に保守派が怒り

 

2018年に韓国最高裁が徴用工訴訟で、日本企業へ賠償を命じる判決を下したことで、「ギィィ~」と地獄へ通じる扉が開かれた。
この問題は1965年の請求権協定で、日韓両政府がすでに解決を確認したはずだ。
日本はこのとき天文学的な経済支援金をわたしたのに、いまになってそれをひっくり返すなんて”裏切り”はあり得ない。それにこれは国際法にも違反している。
…と主張する日本を無視して、文前政権はこの問題の解決に乗り出さなかったために、日韓関係はズルズルと戦後最悪という泥沼に沈んでいく。
このままでは韓国にある日本企業の資産現金化はまったなしで、そうなったら日韓関係はサヨナラだ。

でも、きょねん誕生した尹 錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「死なせるもんかっ」と、元徴用工問題の解決で本気を見せたことから日韓関係は息を吹き返す。
検察総長を務めたこともある尹大統領は”法による統治”を重んじる。
とりあえず韓国企業からお金を集めて原告側にわたすという解決案を提示すると、これは日韓合意や国際法にも合っていたから、日本も手を結んでいま両国関係は好転する気配を見せている。

でも、この案には日本企業の謝罪や賠償がない。
だから、これでは解決になっていないと、韓国のおもに野党など左派リベラルの人たちが大反対して、たとえばハンギョレ新聞はこんな糾弾記事を載せた。(2023-03-22)

韓国最大野党「新乙巳条約に匹敵する対日外交」…国政調査を本格的に検討

乙巳(いつし)条約ってのは、1905年に日本が韓国を保護国にした「第二次日韓協約」のこと。
韓国リベラル界の”ボス”である最大野党の『共に民主党』は、尹政権と日本が同意した解決案は国家を譲り渡した21世紀の「乙巳条約」で、「対日屈辱外交を絶対容認できない」と叫ぶ。
で、尹大統領と岸田首相の会談について本格的な調査を行うと。
でも、2017年に北京で文大統領が中国を「高い峰」、韓国を「小さな国」と呼んだことは屈辱的ではないらしい。
乙巳条約が結ばれたことに対して、当時の韓国紙(皇城新聞)は「犬豚にも及ばぬ我が政府の大臣」と激怒した。
いま韓国のリベラル勢力も、きっと尹政権に同じことを思っている。
一方、こう言われた与党の議員は「外交を政争の種にして国益を無視しているのは民主党の方だ」と逆非難だ。

この解決案をもとに、日韓関係を改善させて国益を得ようとする保守派と、これを「対日屈辱」と呼んで猛反発するリベラル派。
そんな勢力に元日本大使がこう怒る。

中央日報(2023.03.23)

では代案は何か。日本を非難して詰め寄り、ひたすら待っていればいつかは日本が韓国の溜飲が下がるくらいの謝罪をする可能性があるというのか。こちらの交渉が上手なら、いわゆる戦犯企業が「我々が間違っていた。過ちに対して贖罪する気持ちで補償する」と言う可能性があるというのか。

【時論】韓日関係改善が始動、逆行してはならない

どっちの可能性もゼロだ。

 

左派リベラルは韓国の「一方的求愛」、対日低姿勢外交、基本がなっていない、と政府与党を猛烈に非難するだけで、「我々ならこうする!」という具体的な解決案は何も言わない。
文前政権が「過去5年間に韓日関係を最悪の状態のまま放置してきた」という元大使の指摘はイグザクトリー。
いまの野党が与党だったとき、自分たちが何もしなかったから、状況はどんどん悪化していき、現金化爆弾が炸裂して、日韓が仲良く吹き飛ぶ直前まできてしまった。

自分たちの責任は天空に置いて、野党はこれまでは日本、いまは韓国政府を全力で批判する。
日本をひたすら非難しても事態が好転することはなかったし、このままでは座して死を待つだけ。
尹政権の”交渉下手”をやり玉に挙げる彼らは、自分たちが与党だったときは最悪の状態を放置していた。
ちなみに日本には、「他人の批判に全集中する人に限って仕事ができない」というゴールデンルールがある。

野党は代案を提示しないで、「絶対容認できない!」と叫んで反対するだけ。
それで国民の感情はスカッとするだろうけど、生活が豊かになることはない。
政権を批判するだけのカンタンな仕事です、という野党は世界中にいるだろうけど、いまの「共に民主党」のダブルスタンダードは特にむごい。

「最も大きな問題は再び韓日関係改善の契機を作るのは難しいだろうという点」と語る元日本大使は、いまがラストチャンスと考えている。
そのとおりで、もしいまの路線が失敗したら、また新しいきっかけを作り出すのは絶望的だ。
「もう我々にはあとがない」と訴える元大使にとって、やっと動き出したいまの状況が逆行することは耐えられない。
これは日本も同じで、尹政権でないと関係改善はできないと考えているはずだ。

「勝手もいいですけど、ジャマだけはせんでくださいよ!」という保守派の声に、韓国の左派リベラルが「誠意ある呼応」を見せるかというと、きっとそうではなく、逆に全力でつぶしにかかる。
でも、批判や破壊の先にある未来については具体的なイメージは持っていないから、代案を出すことはできない。
「新乙巳条約」とかいうワードを作り出すいまの野党を見ていると、最悪のタイミングで最悪の選択をする予感しかない。

 

 

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2 件のコメント

  • 韓国の左派はリベラル(liberal)ではありません。
    彼らは社会主義者、共産主義者です。彼らがとりわけ「反日」に執着する理由も、まさに北韓という世界最高の共産集団との連携のためです。
    彼らが望んでいるのは「日本の本当の謝罪」ではありません。それは表向きの名分に過ぎません。彼らは「反日」を食べて生きる人々です。

  • 日本のメディアでは、韓国の野党やハンギョレ新聞などを「左派」、「リベラル」と言うことが多いですね。
    社会主義者、共産主義者というのは日本だとかなり強い表現です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。