【悪魔の証明】強制徴用の立証資料を出せ→日本企業「ない!」

 

このまえベトナム人とドイツ人の女性と話をしてたら、幽霊の話題になった。
どのぐらいの日本人が幽霊の存在を信じているのか、ネットを見てみると、日本の20歳~59歳の男女を対象にアンケート調査で 57.4%が「信じる」と回答したという。
(これで子供も含めたら 80%ぐらいになる予感。)
ベトナム人が「わたしも幽霊はいると思うし、ベトナムで霊の存在を信じる人は多いと思う」と言うと、「いまネットで見たら、ドイツ人の80%は信じていない。わたしも幽霊なんていないと思う」とドイツ人が反対のことを言う。
するとベトナム人が、

「でも、幽霊は存在しないと証明した人はダレもはいない。だから、”いない”と断言することもできないでしょ?」

と言って笑う。
まーこれはただの言葉遊びだ。
でも、「無い(存在しない)ことを証明する」というのは本当にむずかしい。

「悪魔がいないと言うのなら、それを証明してみせろ」と相手に迫ること、つまり現実的には不可能な要求をすることを「悪魔の証明」という。
裁判では基本的に、「わたしはアイツからこんなヒドイことをされて、これだけの被害を受けた!」と主張する者がそれを証明しないといけない。
「わたしが被害を受けたのは事実!オマエがそれを証明しろ!」と相手に要求するのは無茶苦茶な逆ギレだ。
ということで裁判で立証責任(証明責任)は、ふつうはそれを言い出した側(原告)にある。
「おまえがしていないと主張するのなら、それを証明しろ」と迫るのは、立証責任を逆転させた無責任なやり方で、不可能なことを要求されたら「悪魔の証明」だ。
「スタップ細胞はあります! ”ない”という人はそれを証明してください!」なんて理論はアクロバティックにもほどがある。

 

さて、話は日韓でこじまくっている徴用工訴訟問題だ。
韓国の原告側は当時、朝鮮人の徴用工が日本に強制連行され、奴隷のような重労働をさせられたと主張し、それを支持する韓国メディアは「強制徴用」と表現している。
でも、日本の立場はまったく違う。
法律にもとづいて国民を動員する「徴用」はほかの国でも行われたもので、日本がしたことに「強制連行」や「奴隷労働」なんて実態はなく、国際法に何ら違反していないと韓国側の主張を否定する。
日本のメディアが単に「徴用」と書くところにも、韓国側の認識との違いが分かる。

この問題について最近、三菱重工業などこの訴訟に関係する日本企業がとんでもない無茶ぶりをされた。

中央日報(2023.05.12)

韓国裁判所「強制徴用立証資料を出せ」…三菱「ないものをどうやって出せと?」

韓国の裁判所が三菱重工業に、「徴用被害者が日帝強占期当時に勤めたという事実を立証する資料」の提出を求めた。
対して三菱側は「持っていない資料をどのように提出するのか」と反論したという。
原告側は被害を受けたと主張するが、それを証明する根拠はなく、日本企業に証拠の提出を求めた格好になる。

もともと日本サイドは強制連行や奴隷労働なんて「ない」と言っていたわけで、もし「あった」という者がいたら、その人が証明しないといけないはず。
否定する側に立証義務はないのだから。
「強制徴用」を立証する資料を出せと言われて、「どうやって出せと?」と三菱が反論するのもアタリマエ。
そいうのは原告側のすることだ。
日本側に「悪魔の証明」のような要求をするのを見ると、「強制連行」や「奴隷労働」はますますあやしくなる。

それにもし、戦前・戦中の三菱重工業で働いていた事実が出てきちゃうと、原告側が困るかもしれない。
というのは以前、こんなケースがあった。

産経新聞(2021.1.20)

徴用工だった父の給料袋が物語る現実 明細には手当の数々

朝鮮半島から来て、兵庫県の日本企業で働いていた父親の給料袋を今も家族が保管していた。
それに記された明細によると、「半島出身労働者にもきちんと給料が支払われていた実情が見てとれる」という。
韓国の裁判所から「強制徴用の立証資料を出せ」と命じられた三菱側が、手当の数々のある明細なんかを提出したら、「強制連行」や「奴隷労働」が否定されかねない。
隣国さんにはこんなブーメラン現象が多々あるのだ。

 

 

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2 件のコメント

  • 「徴用」はありました。
    日帝に併合された朝鮮だったので、日帝による統治の一つである徴用によって多くの朝鮮労働者が日本の工場に行って働いたのはfactです。しかし、「奴隷労働」はありませんでした。 給料をもらって仕事をしました。韓国人は国をきちんと運営できず、他国に併合された恥辱を記憶して、二度とそのような屈辱を受けないと考えなければなりません。
    日帝が敗れてから78年目です。 これ以上日帝に賠償を要求してはいけません。 日本は敗れて歴史の中に消えました。韓日は共に手を取り合って未来に向かって進まなければなりません。

    先日、プロ野球選手の張勲(チャンフン 日本名:張本勲)が朝鮮日報とのインタビューを行いました。”いつまで日本に「謝れ」「お金を出せ」繰り返さなければなりませんか? 恥ずかしいです. その時は私たちが力がなくて日本に統治されたのです。 私たちに力がなかったからです。これからは私たちもプライドを持って日本と対等に手をつないで隣国として行ってはいけませんか。”

    多くの韓国人がチャンさんの言葉に共感しました。

  • 張本勲さんのインタビューはわたしも読んで感動しました。
    謝罪や賠償金の請求を「恥ずかしい」と言うのは勇気が言ったはずです。
    こんなこともなかなか言えません。

    「文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が隣国(日本)を敵に回した時、私たち在日韓国人はとてもつらかったです。その分、今、韓日関係の雪解けを進めてくれている尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領には感謝しています」

    こういう言葉に共感する韓国人がいることは希望です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。