彼女「良い知らせと悪い知らせがあるんだけど…」
彼氏「何だい?」
彼女「わたし、あなたと別れたいの」
彼氏「そうか…。で、悪い知らせって何?」
そんなアメリカン・ジョーク風で言うと、最近、お酒について日本で良い知らせと悪い知らせがあった。良い知らせというのは、先日、ユネスコの無形文化遺産に「伝統的酒造り 日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術」が登録される見通しになったこと。
日本の酒づくりは500年以上前に原型ができ、杜氏(とうじ)や蔵人が専門的な知識と技術を積み重ねて後世に伝え、日本酒の伝統を発展させてきた。各地の風土や素材のうまみを生かして、日本酒、焼酎、泡盛などさまざまな種類の酒をつくり出したことも高く評価された。
で、悪いニュースというのは、先日東京であった裁判の内容だ。
昨年の4月、あるタクシーがベロンベロンに酔っ払った30代の男性客を乗せて走り出したところ、男性が「気持ち悪い」と言い出し、タクシーの外に出て吐くことになった。運転手が車を停めてドアを開けると、シートベルトをしていなかった男性は転げ落ちて、後ろから走ってきた車にひかれて死亡した。
この件について開かれた裁判で裁判長はタクシー運転手の過失を認め、禁錮1年6カ月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
「自分はあの時、どうするべきだったのか?」と運転手は自問自答を続けているという。
この事件ではなく、事故にネット民の感想は?
・これで有罪はたまらんな
・ヤバそうなやつはとっさに予約表示に切り替えろ
・もうちょっと、泥酔者に厳しい社会でもいい気がするよな
・袋があってもさ、ゲロ吐いてるやつと車内にいるのは耐えられないよな
・むしろ被害者なのに前科者になっちゃうのかよ。
ネットの反応を見るかぎり、日本では運転手に同情する人が多そうだけど、アメリカ人はどうなのか?
ジョージア州出身のアメリカ人に聞くと、
「日本らしい不幸な出来事だと思うね。アメリカなら? その可能性はゼロではないけど、まず起こりえない」
と言う。
アメリカは一般的に飲酒に対してとても厳しく、公共の場で酒を飲むことが禁止されている。(すべての州や都市でそうかはわからない)
だから、彼は日本に来て、飲酒がとてもオープンで酔っ払いに寛容なことに驚いた。アメリカにいたころは、千鳥足で歩く酔っ払いなんて人生で数回しか見たことがなかったのに、日本に住み始めると、半年でその記録を抜いてしまった。
アメリカではまっすぐ歩けないほど酒を飲む人間は、まともな判断力や自制心のない「ダメ人間」と見られ、軽蔑の対象になるらしい。
だから、日本に比べると、アメリカでは街中で泥酔した人を見かけない。もちろん、これは治安が悪いから、という理由もある。そんな人間がタクシーを利用しようとしても、きっと運転手は乗車拒否するから、酔っ払った客がドアから転げ落ちてひかれて死亡する事件は想像できないらしい。
彼は運転手に同情的で、飲酒に甘すぎる日本の社会には批判的だ。
そんな話の流れから、大阪に住んでいた彼の友人が経験した「人生最悪の瞬間」の話を聞いた。
ある週末の深夜、そのアメリカ人男性が電車の席に座って出発を待っていると、20代のオシャレをしたきれいな女性が飛び込んできた。その直後に電車が動き出すと、青い顔をした彼女はその場にしゃがみ込む。「急いで走って体調が悪くなったのか?」と心配になって声をかけようとしたら、「グエっ」という不気味な音と同時に、彼女の口から大量のおう吐物が出てきた。
手すりを持って下を向く女性の足元には、汚物にまみれた液体が広がっている。彼にはできることも掛ける言葉もなく、ほかの乗客と同じようにぼうぜんとその惨状を見ていた。
目を背けても、強烈な悪臭からは逃れられない。
若い女性はずっとしゃがんでいて、目的の駅に着くとヨロヨロと立ち上がって電車から出ていった。入ってくる乗客は床に広がる「汚物の池」を見て驚いて、あわててよけて中に入ってくる。
このアメリカ人男性が日本に住んでいて、これ以上に不快な経験はないと言う。
ボクの友人のアメリカ人も街なかで、酔っ払いがゲエゲエ言って吐いている光景を何度か目撃したから、来日外国人の感想あるあるの「礼儀正しい日本人」や「きれいな街」というイメージの例外を知っている。
アメリカは飲酒に対して厳しく、その意味では健全な社会だから、あの光景を「最悪に不快」と言うアメリカ人の気持ちは日本人にはちょっと理解できないかも。
しかし、日本の伝統的な酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されるのは確定的だから、お酒についてはこれからも良い知らせと悪い知らせが続くはず。
【今日の気温は100度】アメリカ人が日本で困る“単位の違い”
アメリカって、飲酒とタバコには非常に厳しいですよね。私も若い頃、アメリカのレストランでバーボンウィスキーを飲んでいたら、ウェイトレスのお姉さんに「あなたまだ若いんだから、そんなに強い酒を飲んでちゃ駄目よ」ってなぜだか注意されてしまいました。見ず知らずなのに!
そんなアメリカ人が、どうしてマリファナ等麻薬には比較的寛容なのですかね? わけが分からんなぁ。タバコや酒に比べたら、マリファナの方が色々な面でずっと有害だと思うのですが。
アメリカはお酒やタバコに厳しく、麻薬にやさしいですね。文化の違いでしょうけど、私も疑問です。