「世界一魅力的な都市」に東京が選ばれた理由は“ギャップ”

 

いま世界の人たちにとって、魅力的な国や都市はどこなのか?
アメリカの旅行専門誌『コンデナスト・トラベラー』が行った読者投票で、「世界で最も魅力的な国」に選ばれたベストスリーはこんな国だ。
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・オーストラリア
・カナダ
・日本

以上はヨーロッパを除いたランキングで、ヨーロッパで最も魅力的な国のベストスリーは以下の国になる。

・イタリア
・クロアチア
・フランス

そして、「世界で最も魅力的な大都市」は東京は第1位に選ばれ、2位がシンガポール、3位がシドニーとなった。
東京が世界一になったのはこれで6回目。このランキングではここ数年、東京は2位や3位が多く、上位ランクの常連だった。
『コンデナスト・トラベラー』の説明によると、外国人から見て、東京の魅力はこんなところにある。

「古い寺院の隣に近未来的な高層ビルがあり、世界的な一流レストランと隠れ家的なラーメン屋が隣り合わせになっている。そんな奥深さを持つ都市は本当に少ない。
浅草寺や上野公園の美術館は、外国人観光客を引きつける定番スポットである一方で、東京は常に進化している。新しく開発された麻布台ヒルズの周辺には、ギャラリーや美術館などエキサイティングな施設がたくさんある。
また、下北沢や谷中の静かで落ち着いた住宅街では、古き良き東京を垣間見ることができ、緑豊かな六義園(日本庭園)へ行けば、ギラギラしたネオンから逃れることができる。」

フランスを代表する民族学者で、日本に何度も訪れたレヴィ=ストロースはこう言った。

「私がとても素晴らしいと思うのは、日本が最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を維持し続けていることができるということです。」

東京の魅力について、小池知事は神社仏閣をはじめとする優れた伝統文化と、アニメなど最新のポップカルチャー、いわば「伝統」と「革新」が共存していることを挙げた。これはレヴィ=ストロースの言葉と重なる。日本人から見ても、新旧のハイブリッドが東京や日本の大きな魅力になっていると感じるはずだ。

知人の中国人もその一人。
東京旅行から静岡に戻ってきた彼女に感想を聞くと、「ギャップ」がとても印象的だったと言う。
秋葉原はエンタメ要素満載で、音と色の洪水はとても刺激的で楽しかった。その後に明治神宮に行ったら、まったくの別世界でその落差に驚いた。静寂と清潔に包まれた明治神宮を歩いていると、心身がリフレッシュしたことを感じ、実は秋葉原で疲れていたことに気がついた。彼女は中国では、一度もそんな経験をしたことはなかった。

ニューヨーク出身のアメリカ人も同じようなことを話していた。
NYにはセントラルパークという巨大な公園があって、そこで市民は散歩やサイクリング、日光浴などをして自然を楽しむことができる。でも、明治神宮の森では「神聖さ」を感じたから、セントラルパークの自然とはまったく違うと言う。
たしかに明治神宮には、水着で日光浴ができるようなリラックスした雰囲気はない。
緑豊かな公園のある首都は世界中にあるが、こんな「ギャップ萌え」のような独特の魅力を持つ首都はTOKYOだけだろう。

それと、『コンデナスト・トラベラー』のサイトでは触れられていなかったが、外国人旅行者にとって東京が魅力的な理由にはきっとアレもある。

 

トップ画像の亀戸天神社&スカイツリーのコラボは、友人のバングラデシュ人のお気に入り。彼女が東京を旅行することになって、外国人観光客に人気のスポットを調べていたら、ここを見つけた。

 

知人のリトアニア人(東ヨーロッパの国)は旅行が大好物。
彼女はこれまでアメリカ、イタリア、フランス、イギリス、ドイツなど欧米を中心に世界各地に旅行したり、住んだりした経験がある。
そんな経験豊富な彼女にヨーロッパの治安についてたずねると、一般的な傾向として、地方はすごく良いけれど、都市部に行くと危険になってそのギャップが大きいから、国全体として治安が良いかどうかは答えにくいという。
ここでいう「危険」というのは、殺人や傷害といった重大事件のことではなく、スリやひったくりなどが多いということ。命をとられることはないが、油断していると貴重品を奪われる。
だから、そのリトアニア人は日本では東京、大阪、名古屋といった大都市でも治安が良いことに驚いた。

彼女が日本に住んでいたリトアニア人と東京を旅行したとき、「ここではそんなことしなくていいから」と友人に苦笑いされて、初めて誰もリュックを前に抱えていないことに気がついた。ヨーロッパでは、都市でリュックを背負って歩き回ることは危険で、特に地下鉄では自殺行為。だから、東京でも自然と防衛本能が作動してしまったけど、ここでその格好をすると浮いてしまう。
彼女は日本を旅行していて、初めて来た大都市でも何の心配もなく、夜に一人で出歩くことができた。女性の旅行者にとって、これは大きな魅力らしい。

東京やほかの都市について、訪日外国人がよく称賛することには「信じられないほど清潔!」というものもある。それについてはこの記事をどうぞ。

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きょう11月26日は東京の誕生日。
1868年のこの日に、明治天皇が江戸城に入って名前を「東京城」と改めて皇居にした。江戸が終わって、この日から東京の歴史がスタートした。ことになる
神社の後ろにスカイツリーが見えるように、「伝統」と「革新」が共存しているところが世界に誇れる東京のストロングポイントだ。

 

 

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4 件のコメント

  • 私は去年の夏と今年の秋に東京に行きました。
    私が日本に行く目的は主に野球と関連があります。野球を見て、球場を探訪するのが主な目的です。しかし、一般的な旅行目的もあるので、野球以外には有名なところを観光します。
    他国に来たようではありません。(笑)
    多くの韓国人が日本に旅行する理由も私と似たような理由でしょう(もちろん彼らは野球にはあまり関心がありません)。なぜ彼らは日本旅行が好きなのでしょうか?
    他国でありながら母国のような説明しにくい感情を持つからです。韓国の近代は日本によって形成されたので、建物の形や人々の行動も互いによく似ています。そんな姿のため、私も知らないうちに日本を(日本旅行が)好きになるのです。でも、韓国人はなぜか理由がわかりません。(笑)

  • >建物の形や人々の行動も互いによく似ています。
    わたしも韓国で同じことを感じました。中国では街なかでも、強い油のにおいがしていましたが、韓国は日本と同じでにおいがありません。
    だから、路地裏を歩くと、「昭和の町並みみたいだな」と思いました。

  • > 東京を旅行したとき、「ここではそんなことしなくていいから」と友人に苦笑いされて、初めて誰もリュックを前に抱えていないことに気がついた。

    ただしその反対に、日本では、多くの人がリュックを前に抱えている場合があります。それは通勤電車の中です。混んだ通勤電車内で背中に大きなリュックを背負っていると他の人の邪魔になることが多いので、リュックを前に抱えて自分で見て邪魔にならない方へ向けやすくするか、もしくは手にぶら下げて持つのがマナーです。そのように電車内アナウンスでも促されます。
    これはおそらく日本だけのマナーでしょう。もしも機会があったら外国人にも教えてあげてください。

  • そうだったはずです。
    韓国の近代化は日本統治時代に行われ、大韓民国の建国とその後産業化を導いた朴正熙大統領も日本陸軍士官学校を卒業した人物で、日本統治時代に日本の教育を受けた人物だからです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。