昨年あたりからお米が手に入りにくくなったり、価格が上昇したりして、「令和の米騒動」や「米難民」という言葉も耳にするようになった。政府が重い腰を上げて備蓄米を放出したものの、特に目立った効果はなく、米価は15週連続で値上がりし、5キロで4217円と、約1年で価格が2倍以上になってしまった。
SNSを見ていると不満や批判、「犯人」探しの投稿が目立つ。
・この怒りをどこにぶつければいいのかさっぱり分からない
・米農家の人がスーパーで倍の値段で売られてますってラジオで怒ってた
・金持ちの度合いを石高で呼ばれる時代へ
・高いのを買い支えるのはキツイ 責任者出てこい!
・主食の穀物がこんなボッタクリ価格になった国って他にあるの??
周りでは海外米を購入する人や、カレーライスをカレーうどんに変えて食べる人も出てきて、日本人にとって、日本米はぜいたく品になりつつある。学校給食で米が出る機会も減ったというし、日本人の米離れが進んで、食習慣が変わるかもしれない。
コメ価格の高騰は平等で人種や宗教は関係ない。慣れない日本で、ツライ思いをしている外国人も多い。
昨年末、日本の大学に留学しているベトナム人学生と会ったとき、文化の違いから、日本の生活で困っていることがあるか尋ねると、彼女も日本人と同じように物価高に苦しんでいるという。日本とベトナムの価値観の違いとかは、それに比べれば大したことないらしい。
もともとベトナムの物価は安い。2025年4月現在、街の食堂では2〜300円でお腹を満たすことができるし、米の値段は1キロあたり190円、トマト1キロ250円、鶏肉1キロ500円程度だ。
奨学金が増えることはないから、節約スキルを高めて乗り切るしかない。ベトナムの食文化は日本と同じく米が主食で、彼女にとって米なしの生活は考えられない。でも、それを減らすことはできる。問題は、何がその代わりになるかだ。
それを探しているとき、友人のベトナム人留学生から、「いろいろ試してみた結果、サツマイモが一番よかった」という情報をゲット。炊飯器で簡単に焼き芋が作れるし、彼女が食してみたところ、サツマイモは予想以上に腹持ちがよかった。全体的に考えて、米よりサツマイモのほうがコスパがいいことも分かったから、朝、焼き芋をタッパに入れて大学へ行き、昼にそれを食べることが新しいルーティンとなった。
でも、話を聞くと、値段以上に大きな決め手となったのは、日本のサツマイモの予想を超えたおいしさだった。ベトナムのサツマイモに比べて、日本のサツマイモは驚くほど甘く、ネットリとした食感も良くてすぐにファンになってしまったと言う。
ベトナム情報のサイト『VIETJO』にもそんな記事がある。(2017/02/22)
日本産のサツマイモ、価格はベトナム産の20倍も売れ行き好調
当時から、ベトナムでは日本のサツマイモが注目されていた。
ベトナム産のサツマイモは1キロあたり約75〜149円なのに対し、日本産は空輸されることもあって約2687円と「高級品」だったけど、甘みや食感がベトナム産とは別物で、安心して食べられるため、高くても日本産を選ぶ消費者が多かった。
ベトナムでは健康を重視する人が多く、食ついては「信頼」が重要なポイントになるから、子どもも大人も日本のサツマイモの魅力にハマって家族用に購入する人もいるという。
ベトナム人がつくったモノを警戒するベトナム人はきっと多い。
ネットで調べると、ベトナムでは市場で売られているサツマイモが腐っていたり、虫に食われていたりすることが多く、日本なら売り物にならないようなものが平気で並べられていることもあるらしい。
20倍以上の値段でも売れるほど、ベトナム人にとって日本のサツマイモは魅力的なのだ。日本では同じものが安く手に入るから、あの留学生がサツマイモにハマって、毎日、飽きずに食べている理由もわかる。
戦時中には米の代用食として、サツマイモが重宝された。このまま米の高騰という「国難」が続けば、日本人の食生活もその時代に近づくかもしれない。
【最強 vs 最古】ベトナム人と日本人が自国の歴史で誇れること

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