台湾の人たちは日本が好きで、現地で日本の人気はとても高い。
そのことについては、ここで何度か記事で書いたから知っていたけれど、最新の「好き度」は想像を超えていた。
「日本台湾交流協会」が台湾人を対象にアンケート調査をおこない、最近、その結果を発表した。(台湾における対日世論調査)
それによると、「最も好きな国はどこか」という質問に、「日本」と答えた人の割合は76%で、過去最高を記録し、そのあとに2位の韓国(4%)、3位のアメリカと中国が続いた。
「好きな国ランキング」を今までいくつも見てきたが、今回は1位と2位の差がとんでもなく大きかったので、最初は見間違えたかと思って二度見してしまった。2位以下はもう“誤差”のレベルで、台湾の人たちは世界を大きく、「日本とそれ以外」と認識しているらしい。
「今後、台湾が最も親しくすべき国や地域はどこか」という質問でも、「日本」が70%で、こちらも過去最高を更新した。しかも、前回(2021年)より24ポイントも増えて大幅にアップしている。2位はアメリカ(13%)、3位は中国(11%)という結果。
でも、「台湾に最も影響を与えている国や地域」では、1位がアメリカ(48%)、2位が日本(30%)、3位が中国(19%)だった。
日本に焦点を当てると、日本に親しみを感じている人は81%で、前回より16ポイント増えている。特に若い世代ほど、日本に対する親近感が強い。また、71%の人が「日本を信頼できる」と答えて過去最高を記録し、日台関係について「良好」と答えた人は77%で、こちらも過去最高だった。
この結果には日本のネット民もニッコリ。
・嬉しいねぇ
相思相愛ってやつか
・台湾はきれいな中国
・台湾は日本の可愛いい妹や
それにくらべて・・・
・台湾の新幹線に乗って田畑風景を見ていると、ここは日本ではないかと思ってしまう
・台湾は、「話し合えばなんとかなる」という希望を持つことができる
だから妥協点が見つかるまで根気よく付き合える
なんで台湾では日本がこんなに人気で、強く支持されているのか?
上のアンケートを読むと、その理由が見えてくる。
台湾の人たちが日本を信頼する理由として、「自由、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値観」が66%でトップに挙げられた。台湾をサポートしていることや、地理的に近く、共通する文化が多いことも信頼できる重要ポイントになっている。
共産主義を掲げる中国と違って、日本と台湾は自由民主主義を採用していて、社会の価値観や考え方は基本的に同じだから、安心感がある。台湾は1895年〜45年まで日本の統治下にあり、その時期に食文化や言葉などでさまざまな影響を受け、今でもそれが残っている。韓国と違ってそれを「残滓」として嫌うことなく、台湾人は日本時代の建物をリノベーションして、古民家風のカフェなどにして、それが古くて新しいスポットとして人気を集めている。
日本が台湾を「サポート」していることについて、最近台湾人からこんな話を聞いた。
中国政府は「正統性を持つ国家としての中国は中華人民共和国だけ」と考え、台湾は国内にある一つの「省」にすぎないと主張している。しかし、台湾ではその考えを嫌い、中国と一緒にされたくないと考える人が多い。
日本は中国政府が唱える「一つの中国」の原則を守り、公式には台湾を中国の一部として扱っている。しかし、実際には中国と分けて考えることがある。
たとえばオリンピックだ。台湾は「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」と、“中国国内にある都市”といった微妙なニュアンスで参加している。だから、オリンピックで「TAIWAN」という表示はできない。でも、東京五輪の開会式でNHKのアナウンサーが「台湾です」と紹介したことに、台湾では「ありがとう!」と感謝する人が続出した。
【一つの中国】台湾が東京五輪でよろこび、北京五輪で怒ったワケ
いま、大阪で開催されている関西万博では、台湾のパビリオンが体験できる。
ここでも、台湾は「国」として参加することはできず、「台湾」の名前も使えない。そのため、「民間企業」がパビリオンを出展している形になっている。その名前は「TECH WORLD(テックワールド)館」で、実質的にはこれが台湾パビリオンだ。ここでは、台湾のお家芸であるデジタル技術を使った展示がされていて、台湾文化の魅力を体験できる。
日本は「一つの中国」に反して中国を怒らせたくないから、「民間企業が出展している」と明確に伝えるよう台湾側に伝えたという。
台湾の人たちにとっては、これは屈辱的な対応で不快に感じているはずと、そう思ったのだけど、友人の台湾人の意見はまったく違った。「TECH WORLD」の「TW」は台湾を意味していて、実質的に台湾が「タイワン」として万博に参加しているようなものだと言って、日本に対しては、台湾を参加させてくれたことに感謝しているという。台湾にとっても、これは外交的な成功らしい。その“証拠”に、中国側は「こざかしい動きだ」と不快感を示した。
日本は「台湾は中国の一部である」という原則を守りつつも、台湾を中国と分けることがある。それが日本にとって「危険」なことは、台湾人が誰よりもよく知っているから、日本がリスクを覚悟してこうした対応をするのを見ると、台湾の人たちはとても喜ぶ。これが日本への信頼や好印象に大きく影響していることは間違いない。
コメント
コメント一覧 (2件)
> 日本は「台湾は中国の一部である」という(中華人民共和国との国交回復時に交わした約束の)原則を守りつつも、台湾を中国と分けることがある。それが日本にとって「危険」なことは、台湾人が誰よりもよく知っているから、日本がリスクを覚悟してこうした対応をするのを見ると、台湾の人たちはとても喜ぶ。これが日本への信頼や好印象に大きく影響していることは間違いない。
それはその通りだと思います。
でも残念ながら、その状況がいつまでも続くとは限らない。(できるだけ長く続いて欲しいのですが。)
その状況が壊れた時、われわれ日本人はどう考え、どう行動するのか、今から考えておくことも無駄ではないと思いますよ。そういうの、多くの日本人は嫌がりますけどね。
まあ、私はそれほど先が長くないにしても、今の若い人達はその時どうするのかな・・・?
「台湾有事」は日本にとって大きな問題です。
そのわりには、あまり議論になっていない気がしますが。