個人的に、どんなに嫌いな国があったとしても、その気持ちをコントロールできないと、周りにド迷惑をかけることになる。
先日、エストニアで開催されたフェンシングの国際試合で、男子団体戦のイスラエルが優勝した。2位はスイス、3位はイタリアで、表彰式が行われたときに“事件”が起きた。
イスラエルの国歌が演奏されている間、スイスの選手たちは国旗に背を向けたのだ。
これをパレスチナ問題への抗議と受け取ったイスラエル側は無礼だと激怒し、「スイスチームは恥を知れ」と公式に非難した。スポーツの場で政治的メッセージを持ち込むことは問答無用でアウト。スイスフェンシング協会は、選手たちの身勝手な行動がイスラエルを傷つけたことを謝罪し、準優勝の名誉を失った。
スポーツの世界を離れると、実際のところ、昔からイスラエルを嫌う人が多い。特に最近は、イスラム教徒がSNSでイスラエルのガザ侵攻について、「虐殺をやめろ!」や「イスラエルが滅びる瞬間を見てみたい」と怒りをぶちまけている。しかし、世界的に見ると、イスラエルよりもっと嫌われている国がある。
「ワールド・ポピュレーション・レビュー」が発表した「世界で最も嫌われている国」ランキングによると、上位5か国はこんな国々だった。
1位:中国
2位:アメリカ
3位:ロシア
4位:北朝鮮
5位:イスラエル
以下、パキスタン、イラン、イラク、シリア、10位にインドがランクインしている。
ソース:Most Hated Country 2025
ここでは、上位3か国の嫌われる理由を見ていこう。
まず、経済的・軍事的な大国であること自体が、人々の反感を買いやすく、不人気の大きな理由になっていると「ワールド・ポピュレーション・レビュー」は指摘している。それに加えて言えば、この3か国は外国の冷たい目線を気にせず、好き勝手に振る舞うことが多いから、それも嫌われる理由になっているはずだ。
日本は、ある意味、このオリハルコンでできたメンタルを見習ってもいい。
国別に見ると、次のような要因がある。
中国
・政府が多くの国内企業を支配しており、汚職が広がっている。また、「強制労働」の噂も絶えない。
・大気汚染への“貢献”が世界最大規模。
・中国政府は発展途上国にお金をどんどん貸し、その見返りに政治的、経済的な影響力を得ている。
・インターネットは厳しく規制され、事実上の検閲状態にある。
中国の「債務のわな」は有名で、知人のスリランカ人はそれに怒っていた。中国はスリランカに返済不可能な金額を貸し、その代わりに重要な港を99年間自由に使う権利を得た。その港には今、中国の旗が掲げられているという。その知人は、スリランカ政府が国を“売った”ことにも腹を立てていたけれど。
ロシア
・プーチン政権は独裁的で、政敵が不可解な死を遂げることが多く、それが批判を招いていた。
・シリアのアサド前大統領や北朝鮮の金正恩など、独裁的な国と仲が良かったことが他国から嫌われる要因となった。
・2022年にウクライナに軍事侵攻し、多くの国を敵に回した。
日本に住んでいたあるウクライナ人が横浜で戦艦「三笠」を見たいと言ったから、てっきり名物の「よこすかカレー」を食べたいのかと思ったら、全然ちがった。1905年の日本海海戦で、三笠を含む日本の連合艦隊がロシアのバルチック艦隊を撃破し、日本を勝利に導いた。その話を知って、「三笠」を見たくなったウクライナ人は多いらしい。
アメリカ
・自分たちの利益を優先し、国際情勢に過剰に関わろうとすることが、他国から敵意を招く主な原因になっている。たとえば、ベトナムやアフガニスタン、イラクなどへ軍隊を派遣し、大規模な戦闘を始め、多くの国から厳しい批判を浴びた。
・自由や人権を大切にすると言いながら、人権弾圧が噂される石油資源国の政権を支援する二重基準がある。
・アメリカはリーダーシップを発揮しているつもりでも、他国の人々には抑圧や威圧として映ることがある。
「最も嫌われている国」にアメリカがランクインしていることに、アメリカ人は驚くかもしれないが、アジアやヨーロッパの人々はほとんど驚かないだろうと、「ワールド・ポピュレーション・レビュー」は温度差を指摘している。確かにロシアと中国は冷たい視線に感づいていると思うが、アメリカ人は「まじで!」と素で驚きそう。この感度の低さも嫌われる要因だ。
アメリカの場合、中国やロシアと違って独裁的な要素はない。しかし、圧倒的な経済力や軍事力で他国に干渉し、その国や周辺国に迷惑をかけることで世界的に嫌われている。文化的には、銃やファーストフードへの愛着も嘲笑される要因になっているらしい。
中国、ロシア、アメリカは自国の利益を最優先していて、きっと外国から好かれようと思っていない。だから、「最も嫌われている国」のトップ3に入っていても、きっと気にしない。ポジティブに言えば、嫌われる勇気がある。この3か国が超大国でいられる理由も、そのあたりにあるのかもしれない。
コメント
コメント一覧 (1件)
> 中国、ロシア、アメリカは自国の利益を最優先していて、きっと外国から好かれようと思っていない。だから、「最も嫌われている国」のトップ3に入っていても、きっと気にしない。ポジティブに言えば、嫌われる勇気がある。この3か国が超大国でいられる理由も、そのあたりにあるのかもしれない。
ロシアは、軍事大国・領土大国(?)ではあるかもしれないが、経済的には超大国じゃありません。2022年の統計では日本のGDPが42,000億ドル(世界3位)、ロシアは22,000億ドル(世界8位)です。外務省のデータによる。ウクライナへ戦争を仕掛けたことも、下手すると「最後のあがき」になりかねない。
またこれらの3国は、広く全ての外国から好かれようとは思ってないだろうけど、決して「孤立を望む」という訳じゃない。いくつかの特定の国とは友好的な関係を築いていたいと考えているはずです。