最近、ネットで「日本アゲ」の記事をいくつか見かけたから、こんな記事を書いてみた。
【最新版】東南アジアにとって、日本が“最も信頼できる国”の理由
【台湾人の思い】日本が他国を圧倒する人気で、高く信頼されている理由は?
日本は海外で人気があって、しかも信頼されているという情報を知ると、「圧倒的ではないか、我が軍は!」と喜ぶ人がいる一方で、そういうホルホルする人たちにムカつく人もいる。だからそんなニーズに合わせて、「日本スゴイ」という記事に注目が集まると、反対に日本の名誉を傷つけるような記事が出てくることもある。
今回は、ニューズウィーク詩がこんな記事を掲載した。(2025/04/13)
日本は意外にも…「世界で嫌われている国」ランキング、2位はアメリカ「度を超す」「特権意識」
「ワールド・ポピュレーション・レビュー」の調査結果によると、世界で最も嫌われている国は、1位が中国、2位がアメリカ、3位がロシアで、以下、北朝鮮、イスラエル、パキスタン、イラン、イラク、シリア、インドがトップ10に入っている。日本は世界で好印象を持たれていると思うかもしれないが、実は「嫌われる国ランキング」で12位とかなり高いーー。
ざっとそんな内容の記事だ。
日本をアゲてもサゲても、中身に説得力があって「ほ〜、そうなんだ」と参考になる情報があればいい。
その点、「COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)」のこの「日本ディスり系記事」はひどかった。
「台湾から一番好かれている日本」だが、世界の「最も嫌われている国ランキング」ではトップクラスだった
台湾では「最も好きな国」として76%の人が日本を挙げ、過去最高を記録した。しかも、2位の韓国(4%)、3位の中国とアメリカ(3%)と比べると、日本人でも戸惑うほどダントツの1位だった。しかし、記事では「国際社会は日本をどう見るか?」、「世界に目を向けてみるとどうだろうか」と書き、先ほどの「ワールド・ポピュレーション・レビュー」の調査結果を持ち出して、12位の日本を「最も嫌われている国ランキング」でトップクラスだと指摘している。
この記事に対する『ヤフコメ』の意見がこちら。
・殆どの日本人が外国人を拒み嫌っているのはネットを通じて伝わっていますので当然日本を嫌う人も増えるでしょう
・この記事は「台湾から好かれてるけど、世界中は日本を嫌ってる人が多いぞ」ってことでしょうか。
・日本が好きな人が多いのも嫌いな人が多いのもそれだけ日本という国の知名度が高いことの表れです。
・どの国が日本を嫌っているのかきちんと数字を出してほしかったですね。
・そりゃあ嫌われている国だと、経済大国か共産主義国になるだろうね。その中で12位なら、むしろ「その中では」嫌われてないと捉えても問題ない。
そうなると、日本が世界から嫌われている理由を知りたくなる。しかし、クーリエ・ジャポンの記事にはその重要情報が書かれていない。「ワールド・ポピュレーション・レビュー」のホームページにある調査結果(Most Hated Country 2025)の内容を見て驚いた。
ランキングは30位までしかなく、日本は「平均のやや上」に位置している。これで、世界トップクラスというのは言い過ぎで、悪意が感じられる。
重要な「日本が嫌われているワケ」については、「ワールド・ポピュレーション・レビュー」は、まず今の日本について否定的な意見を述べる人はほとんどいないと強調したうえで、こんな理由を挙げた。
「Japan is only truly hated by one single country—China—as a result of Japan’s treatment of the Chinese during WWII. However, because that one single country has more citizens than any other country in the world, Japan makes the “most-hated” list.」
(日本を本当に嫌っている国は一つしかない、中国だけである。それは、第二次世界大戦中に日本が中国人を扱った結果だ。しかし、その一つの国には、世界のどの国よりも多くの国民がいるため、日本は「最も嫌われている国」リストに入る。)
この調査がいつ行われたかは分からないが、現在、世界で最も人口が多い国はインドだ。
クーリエ・ジャポンの言う「国際社会」や「世界」は実質的に中国だけで、そもそも母数が少ないのに「最も嫌われている国ランキングで日本はトップクラスだった」と結論づけるのはあまりにも強引。どうしても読者を「日本=世界の嫌われ者」という方向へ誘導したいらしい。
しかも、クーリエ・ジャポンの記事にあるリンク先をクリックすると、ランキングのページではなく、「ワールド・ポピュレーション・レビュー」のトップページが表示される。英語で書かれていて、僕の力ではランキングにたどり着けなかった。別ルートから検索をかけ、やっと調査結果(Most Hated Country 2025)に到達することができた。あの難しさだと、多分ほとんどの人は途中であきらめるだろう。意図的に解約を複雑にするサブスクのような嫌らしさがある。
『ヤフコメ』を書いた人たちは、世界の多くの国が日本を嫌っていると誤解し、「one single country—China」という事実に気づいていない。
日本をアゲたりサゲたりする記事の質はさまざまだが、今回の記事は近年マレに見るほヒドイ内容だった。
ちなみに、「COURRiER Japon」という名前から、てっきりフランスのメディアかと思ったら、これは講談社が発行するオンライン雑誌で、内容は「講談社の独自の編集部によって編集されている」というものだった(クーリエ・ジャポン)。
いろいろと誤解を生じやすいメディアだ。
「世界で最も知的な国ランキング」で日本は Fantastic! だった
「世界ベストツーリスト」の日本人が、外国でしてはいけないこと

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