今の日本では有名な「八田與一(よいち)」はきっと残念なほうだ。
その名前を聞けば、2022年に大分県で死亡ひき逃げ事件を起こし、逃亡中の八田與一を連想する人が多いと思う。
ここで登場するのはそんな容疑者ではなく、台湾人に感謝され、日本と台湾のきずなを深めた偉人の八田與一だ。
かつて台湾の南部・嘉南平野は、雨が降らず日照りが続き、深刻な干ばつが何度も発生し、農民たちは水不足に悩まされていた。
しかし、日本の台湾統治(1895〜1945年)が始まると、そこに救世主が現れた。それは胸に7つの傷がある漢(おとこ)ではなく、八田與一という技師。
彼がそこで大規模なダムを建設し、不毛だった嘉南平野を台湾最大の穀倉地帯へと変えたことで、困窮していた住民の生活も豊かになった。
ダムの建設中、労働者が安心して働けるように宿舎や病院を建設したことから、八田の人間性がわかる。
知人の台湾人は学校の歴史の授業で八田與一について習った。彼は歴史教科書に載っていて、台湾では誰でも知っているレベルの偉人らしい。
台湾で八田與一は尊敬や感謝の対象となっていて、毎年5月8日の命日には追悼式典が開かれる。
NHKニュース(2025年5月8日)
台湾 日本人技師の追悼式典 頼総統“さらなる連携強化に期待”
ことしの式典では頼清徳総統が出席し、「ダムは田畑をかんがいするだけでない。さらに貴重なのは台湾と日本の人々の心も満たしていることだと深く感じている」と八田の功績をたたえ、日本と台湾の関係について「友人のようであるだけでなく、家族のようだ」と強調した。
それに対し、日本側(日本台湾交流協会台北事務所)の代表は「今日の日本人の責務は、八田技師の精神につらなって台湾の皆さんと手を携え、全力を尽くすことだと確信している」と述べた。
一方、そんな日台の蜜月が気に入らない国もある。中国の陳報道官は記者会見で、「日本の植民地統治を美化している」と台湾の頼総統を非難した。
八田與一と彼の追悼式典については、これまで何度か記事で取り上げてきたので、もちろん知っていた。日本と台湾の関係は、一般の日本人よりは知っていると自負しているけれど、きのう台湾メディア『自由時報』が報じたこの内容は初耳だった。
今天是「大正&民國114年5月14日」 掀起台日網友以經典迷因狂歡
今日(今天)は、大正と民国では114年5月14日になるから、日本人と台湾人がお祝いをしたという。
な… 何を言ってるのか、わからねーと思うが、おれも何のことかわからなかった…。ということで、順を追って説明しよう。
まず現在の台湾では、辛亥革命で清王朝が滅亡し、中華民国が誕生した年の1912年を元年とする「民国暦」が使われている。この暦によると、ことし2025年は114年だ。
そして、日本統治時代に使われた大正時代で換算すると、今年は大正114年になり、民国暦と一致する。
ボクがまったく知らなかったのは(いやマジで)、「114514」という数字だ。
日本と台湾で有名なゲイビデオがあり、それに出てくる野獣先輩が「いいよ! 来いよ!」というセリフを言う。それが心に刺さり、語呂合わせで「114514」の数字で表されるようになったという。(王道商業銀行)
(この話を知っているのは、日本と台湾の本当に一部の人たちだろうけど)
2025年5月14日は、大正114年5月54日、民国暦114年5月14日と、「114514」で完全に一致する。それを記念して、台湾と日本のネットユーザーが「お祝い」をしたという。
昨年あたりから、この奇跡的な偶然に気づいていた日本人と台湾人がいて、この日を待ち望んでいたらしい。
当日、それを祝福して、自分の銀行口座に114,514台湾ドルを入金したり、台湾ドルから日本円で114,514円に両替したりした人もいた。
この記事を作成中、グーグルに「民国」と打ち込んで検索したら、候補に「民国114年5月14日」がトップに出てきてビックリ。
日本と台湾の関係の深さはボクの想像以上で、「家族のようだ」という頼総統の言葉は事実だと証明された。
大正・民国暦114年5月14日、11時45分45秒をカウントダウンして、お祝いをする台湾の人たち。
民国歴114年5月14日11時45分14秒の王道銀行にて pic.twitter.com/N3ZwJwE6GC
— 三蔵法師@スカイメイトでダイヤモンドメタル修行 (@triplognikki) May 14, 2025
コメント