現在の日本人が使っている日本標準時(東経135度の時刻)は、明治時代に誕生した。
詳しいことはこの記事をどうぞ。
今と違って、大日本帝國の時代には2つの時間(標準時)があった
経度が1度ずれると、4分の差が生まれる。東京と福岡では経度が約9度違うから、およそ36分の差があることになる。
太陽の移動は全人類にとって平等だから、国内のそれぞれの地域で時間が違うというのは、世界中で同じこと。19世紀、イギリスでは鉄道が敷かれると、それが大きな問題になった。地域の住民はローカル時間を大切にして、ロンドンの時間に合わせることを嫌がったため、鉄道の運行ではロンドン時間が採用されることになった。その結果、イギリス国内には鉄道時間とローカル時間の2つの時間が存在し、不都合が生じたため、結局は全土がロンドン時間に統一された。
【中央 vs 地方】1840年、世界で初めてイギリスが鉄道時間を導入
明治時代の日本ではこんな対立はなく、時間の「天下統一」がスムーズにできた。その理由は、イギリスとは違って、中央政府が地方に大きな権限を持っていたからだろう。もともと住民が地方の時間に愛着を持っていなかったかもしれない。

海外にいる外国人とオンラインで話すとき、まず時間を合わせなければならない。このとき、時差の大きさによって面倒さが違う。たとえば、日本とイギリスでは9時間(サマータイムでは8時間)の時差があるから、平日に話すことができないこともある。
その点、韓国はすごくラクだ。
韓国の標準時は日本と同じ東経135度を基準にしていて、日本との時差はないから、国内と同じ感覚で話ができる。でも、韓国にはそれを「屈辱的」と感じる人もいる。
大韓帝国(1897年~1910年)の時代、首都の漢城(現ソウル)を基準にした時間を使っていて、日本より約30分遅かった。
しかし、鉄道の運行は日本人が主体だったため、日露戦争が始まった1904年から日本時間(標準時)が使われることになった。つまり、イギリスのように、現地時間と鉄道時間の2つの時間が存在したことになる。そしてイギリスと同じく、それでは不便だったため、日本は1908年に鉄道時間を韓国の時間に合わせることにした。
しかし、1910年に日本に併合されると、韓国(朝鮮)でも日本時間を採用することが決められ、日本との時差はなくなる。
韓国では、日本時代の影響を「残滓(ざんし、“残りカス”の意)」と呼び、社会から一掃する動きが今でもある。
戦後になって独立した後、1954年に李承晩大統領が日帝残滓を取り除きたいと考え、アメリカの反対を押し切り、国内の時間を大韓帝国時代の時間に戻した。
朝鮮王朝時代、外交的には中国の従属国だった朝鮮は、中国と同じ元号を使っていた。そんな屈辱から、「同じ時間を使う」ことに敏感だったかもしれない。しかし、1961年に、再び日本と同じ時間(東経135度基準)に変更された。
世界はイギリスを基準にして、ほとんどの国では1時間単位の時差がある。でも、大韓帝国時代の時間だと、30分単位になってしまい、これでは、国際的な飛行機や船の運行で不都合が生じてしまう。
そんな理由で、韓国は不本意ながら、日本と同じ時間を使うことになったという。また、在日米軍と在韓米軍が共同作業を行う際、時差があると支障が出る可能性があるため、アメリカ側が韓国に日本と合わせるよう要求したという説もある。
しかし、東経135度の子午線(北極と南極を結ぶ縦線)は日本を通過しているが、朝鮮半島にはない。日本に合わせた時間を使うことは、韓民族の自尊心が許さないという人たちもいる。
中央日報の記事(2001.08.20)
「日本に合わせた30分」標準時間を取り戻す
ある市民団体が「韓国の歴史が日本時間で記録されてはなりません」と訴え、日本に“奪われた”標準時間を取り戻そうと活動していた。彼らは韓国の標準時間を取り戻し、「世界に韓国独自の時間があることを知らせたい」と願っている。
李承晩大統領も同じ気持ちだったはずだ。
この記事から約25年が過ぎた今、韓国の時間は相変わらず日本と同じだ。このことについて、韓国の人たちはどう思っているのか? できれば、ソウルを通る子午線に合わせた時間を使いたいのか? 知人の韓国人に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。
「今のままでいいです。『屈辱的』と感じるのは一部の愛国者だけで、一般の国民は何も感じていません。それを強調されると、嫌な気持ちになるかもしれませんけど。それに、韓国独自の時間ならソウルじゃなくて、東経132度に合わせた時刻がいいですね。独島がそこにあって、『独島は我が領土』という有名な歌の歌詞にも出てきますから。」
国民の多くは気にしていないようだし、韓国は力をつけて国際社会との関係がますます深まっているから、この日帝残滓はもう取り除くことができないだろう。

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