今月の15日で、日本とアメリカの戦争が終わって80年になる。
それまで、日本人はアメリカ人やイギリス人を「鬼畜米英」と呼び、強く憎んでいた。
それはあちらも同じ。
アメリカは日本人を「ジャップ」と侮辱的な言葉で呼び、戦意や敵意を高めるために「人殺しのジャップが全滅するまで手を休めるな(=戦え)!」というポスターを作った。
戦争中は、相手に対する尊敬や友情は消え失せ、侮辱的で差別的な言葉が当然のように使われて、国民の憎しみが増すことは常識的にある。
しかし、それは時間が解決してくれる。
今の日本とアメリカは硫黄島で毎年、合同慰霊祭をおこなっているように、こうした暗い歴史を乗り越えて、大切なパートナーになっている。

最近、SNSであるウクライナ人が次のようなメッセージを投稿をしていた。
「Let’s hate Russia together ❤」
愛は憎しみ(ヘイト)の反対だから、「not hate but ❤」なら分かるとしても、普通なら同列に使われることはない。この場合はハートマークがあることで、かえってウクライナ人のロシアへの憎しみの強さが伝わってくる。
でも、よく見ると違った。「Russia」ではなく、投稿にはこう書かれていた。
「Let’s hate Ruzzia together ❤」
※「ruzzia」の正確な発音はわからないが、自動翻訳で「ルズィア」と出たので、ここではそれを使う。
「ruzzia」という言葉は、ロシアがウクライナを侵攻してから生まれた造語だ。当初は「ロシア」と「ナチス」の合成語で、ロシアをナチスと重ねて非難するためにこの用語が使われた。
でも、2022年以降、その意味が変わった。
「Z」は、ウクライナを攻撃するロシア軍の戦車に描かれたり、プーチン大統領を支持するシンボルになったりしたため、今ではウクライナの中でロシアの侵攻をバカにし、あざ笑う意味で使われているという(Ruzzia)。
ウクライナの人たちは、この言葉を次のように使っている。
「Today, ruzzia killed 8 people, including 1 child. Damn devils」
(今日、ルズィアは1人の子供を含む8人を殺害した。悪魔め)
「Ruzzia needs to return all children abducted during the war」
(ルズィアは戦争中に拉致したすべての子供を返すべきだ)
「more than 27 killed.. 9 children… ruZZia must be erased」
(27人以上が殺された…9人は子供だった…ruZZiaは消滅させなければならない )
※強調するためにわざと大文字にしている。
また、ウクライナでは、ロシア軍の兵士が市民を虐殺したり、性的暴行をしたりして国際法に違反する行為をすると、彼らを人食い怪物の「orc(オーク)」と呼び、その邪悪さや残忍さを強調している。
もちろん、日米の「鬼畜米英」や「ジャップ」のように、ロシア側にもウクライナに対する敵意や侮辱語があるはずだ。
しかし、両国の憎しみが無くなるには、80年では足りないかもしれない。
今のところ、両国が合同で慰霊祭をおこなったり、ウクライナ人が「Let’s love Russia together ❤」と書き込む未来はまったく見えない。

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