これから登場するのは、日本文化に興味があるアメリカの黒人男性で、かなり「クセ」のある人物だ。
日本ではアメリカにいる黒人を一般的に「アフリカ系アメリカ人(African American)」と言うけれど、彼はそれをひっくり返して、自分を「アメリカ系アフリカ人(American African)」と呼んでいる。
彼はアフリカにルーツを持っていることを誇りに思い、アメリカの奴隷制度を憎んでいる。その延長で、アメリカという国や白人に対してはかなり厳しい見方をしている。
今回は、かなり個性の強そうな彼から聞いた話を箇条書きのように短く書いていこう。もちろん、これは彼の個人的な意見で、それ以上でも以下でもない。
・ヨーロッパのキリスト教徒は、歴史的に許されない罪をおかした。白人はアフリカのほぼ全域を植民地にして、そこに息づいていた伝統的な信仰を否定し、キリスト教を押し付けて多くの人を改宗させた。彼らが破壊したことによって、永遠に失われてしまったアフリカの文化は本当に多い。
・ヨーロッパ人がアフリカでキリスト教を広め、人びとを改宗させたことには、宗教的な理由だけではなく、政治・経済的なものもあった。
彼らは聖書に書かれていることは神の意思だと“ウソ”をついた。聖書の「レビ記」には、奴隷を正当化する内容があって、文字を読めなかったアフリカ人はそれを聖職者から読み聞かされ、自分たちが白人の奴隷になることを神の意思だと信じ、その運命を受け入れるように誘導された。
そうすれば、アフリカ人が反乱を起こす確率が下がり、その分、白人たちは安心して暮らせるようになる。
・また、そうやって洗脳されたアフリカ人は盲目的にしたがうようになり、ヨーロッパ人にとっては都合のいい労働者となった。自分たちの貴重な伝統文化を否定して、キリスト教を信じている黒人を見ると、わたしは悲しくなる。
・聖書には異教徒を奴隷にしても、殺してもいいという内容があり、いまイスラエルはその記述にもとづいてガザで「虐殺」をおこなっている。神がイスラエル人に土地を与えたとき、そこにいる人も動物も殺していいと言ったから、今彼らはそれを実践しているのだ。
聖書は永遠に過去になることはなく、いまも人びとの行動を規定している。
・俺が日本の神道や禅、中国の陰陽思想が好きな理由は、キリスト教のように、自分と異なる人間は支配していいというバカげた主張がないからだ。
木や石などに神が宿ると考えるから自然を大切にし、精神的に修業をすることで自分を成長させることができる。神道、禅、陰陽思想には、他人を奴隷として所有できるという邪悪な考え方はなく、とても素晴らしい教えがある。
※スリランカはイギリスに支配されていた。スリランカでは伝統的に「白」を聖なる色と考えていて、ヨーロッパ人は肌が白かったから、「聖人」と考えて進んで支配を受け入れた人も多かったという。
・アフリカの歴史でそんな話は聞いたことがない。アフリカ人にとって、黒は知恵や霊的エネルギーを象徴するスピリチュアルカラーで、人びとは夜を尊いものと信じていた。しかし、ヨーロッパ人に考え方を変えられ、黒は邪悪な色で、夜は不吉だと信じるようになった。
・現代のアフリカでは、「白」が特別視されることがある。メラニンが不足していて真っ白に見えるアルビノの人について、呪術医が「彼らの肉を食べると幸せや健康になれる」と主張して、それを真に受ける人々がいるから、アルビノの人たちを殺害する事件がいまでも起きている。これもヨーロッパ人の支配と関係があるかもしれない。

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