ことし1月、サッカーのアジアカップで、日韓のU23代表が準決勝で試合をおこない、日本が「1−0」で勝利した。
もし結果が逆だったら、日本のメディアは「韓国に敗北した」とたんたんと事実を伝えただろう。
しかし、韓国は違う。
韓国メディアの朝鮮日報はこの敗北を受けて、「自尊心を大きく傷つけられた」と報じたのだ。
韓国側は日本を強く意識しているから、勝つと大喜びをして、負けると精神的に大きなダメージを受けてしまう。
韓国は何かにつけて日本と比べるから、日本では「比較疲れ」を感じる人が多い。
しかし、それにウンザリするのは日本人だけではない。
「隣は何をする人ぞ」──日本を気にする韓国
「秋深き 隣は何を する人ぞ」
秋が深まって静かな夜に、ふと隣人の様子が気になる。
江戸時代に松尾芭蕉が詠んだこの素朴な句は、今の日本でも共感を集めて人気が高い。
さて、秋だけではなくて、日本のことがいつも気になるのが我らの隣人、韓国だ。
韓国の人たちは「日本より上か下か?」に強い関心があり、韓国メディアもそんな気持ちに応えるような記事をよく載せる。
個人的には、韓国メディアの報道を見て、日本のパスポートの「パワーランキング」や、サッカー日本代表の世界ランキングを知ることが多いから、たまに感謝している。
日本が気になって、コンビニやカフェの日韓比較をするのはいいとしても、日本が基準になって、「それより上か下か」で物事を判断することにはややウンザリしてしまう。
つい先日も、政府レベルでそんなことがあった。

東京が一番下にあるのはきっと偶然ではない。
エネルギー危機でも「日本より上」と発言
いま中東情勢が原因で、世界的に石油不足の不安が広がっている。
こんなときに大切なのは「正しく恐れる」ことで、SNSで不安や恐怖をあおる連中にだまされてはいけない。
韓国でもそんなことがあったから、政府は国民に対し冷静な行動をするよう訴えた。
それは各国の政府がしていることだろうが、韓国の場合、他国とはちがった独自性がある。
大統領秘書室長は、前年に比べて石油が4月に59%、5月には69%確保されていると言った後、「日本よりも我々の方がはるかに良い状況だ」と強調したのだ。

日本ならそんな言い方をしない。
日本政府は国民に対し、世界トップクラスの備蓄量があり、年を越えて原油の供給を確保できるめどがついたということを根拠に、「現時点で石油や電力の供給に問題はない」と説明した。
こういう場合、日本には隣国と比較して自国を位置づける発想がないから、韓国はまったく出てこない。
現実はどうなのか?
それに、韓国政府の認識は正しいのだろうか?
そもそも日韓では「体力」が違う。
日本の石油備蓄量は232日分であるのに対して、韓国の発表では208日分ある。
しかし、韓国の数字には「トリック」があって、石油製品の輸出を考慮すると実質的には約68日分しかないのだ。
社会の様子を見ても、韓国のほうで大きな混乱が起きているようだ。
プラスチックメーカーが生産量を大幅に減らしたことで、国民のあいだではごみ袋の買い占めが広がっただけではない。
ゴミ捨て場にあった他人のゴミ袋を開け、中身を地面にぶちまけて袋だけを奪う出来事も発生し、全国的なニュースになった。
また、大韓航空は燃料費高騰の直撃を受けて、緊急経営体制に移行すると発表。
さらに政府は、「石油化学製品の原料などの買い占め・売り惜しみ禁止および緊急需給調整に関する規定」を発表し、罰則を背景に管理を強化した。
日本政府はまだ買い占めや売り惜しみを禁止していない。
韓国国内の反応は?支持と批判
韓国政府は「日本よりはるかに良い状況」と胸を張っても、その根拠をはっきりと示していない。
韓国を「上」と位置づけることが決まっていて、それに合う都合のいいデータを切り取ったのだろう。
韓国では昔から、政府やメディアがこういった発表をするから、日本ではそのたびに疲労やウンザリ感が広がる。
しかし、ネット上の反応を見ると、こんなふうに喜ぶ韓国人もいる。
「イ・ジェミョン政府最高。よくやってますね❤」
「政府の努力に大韓民国国民は感謝しています」
「本当によかったです~~~^^ 応援と支持をします」
ただし、こうやって拍手を送る人はおもに与党の支持者で、すべての人がそう思っているわけではない。
ボクが見た範囲では政府の対応に対し、以下のような冷めた目で見る国民のほうが多かった。
「뭐가 낫다는거? 웃기고 있네」
(何が良いって? 笑わせるなよ。)
「진짜 그게 낫다고 생각하니 나라꼴이 이지경인가보네요.」
(本当にそれが良いと思っているから、国がこんな有様なんですね。)
政府が適切に対応しているかについて、国民にとって一番分かりやすいのはガソリン価格だ。
それに注目し、「この韓日戦で負けた」と指摘する人もいた。
「3월 유가 폭등 때도
한국 +200원↑ vs 일본 +20~30원↑ (10배 차이)
정부 정책이 기름값을 결정하는 시대…
일본: “국민 주머니 지키자!”
한국: “국민 세금으로 메꾸자!” 😂」
3月の原油価格急騰の時も
韓国 +200ウォン↑ 対 日本 +20~30ウォン↑(10倍の差)
政府の政策がガソリン価格を決める時代…
日本:「国民の財布を守ろう!」
韓国:「国民の税金で穴埋めしよう!」 😂
韓国国民の3つの批判パターン
政府に批判的なコメントはとても多かったので、それをタイプごとに分けてみた。
韓国の人たちの複雑で多彩な考え方が見えてくると思う。
1. 「比較の無意味さ」への批判
最も多かったのは、日本と比べることには「意味がない」という指摘だ。
「日本の状況がどうであれ、我々の生活が苦しいことに変わりはない。他国を基準にするのではなく、自国の絶対的な安定を語るべきだ」
「日本よりマシだと言えば、国民が安心するとでも思っているのか? 比較対象がいつも日本なのは、コンプレックスの裏返しに見える」
「何かあるたびに日本を引き合いに出して国民の感情をあおるのは、無能な政治家の常套手段だ。今は実利に集中してほしい」
2. 「政府の自画自賛」への嫌気
エネルギー危機という深刻な事態で、政府が成果を誇示しようとする姿勢に不満を感じる人もいた。
「政府の役割は自慢ではなく、最悪の事態に備えることだ」
「いちばん大事なことは絶対量と安定供給だろう?」
「いつも『しっかりやっている』という自己評価ばかりで、具体的なリスク管理のシナリオが見えてこない。数字の操作ではないかと疑ってしまう」
あるネットユーザーは政府の発表をただのパフォーマンスととらえ、「K-自画自賛」と自虐的な書き込みをした。
この表現は初めて見た。
3.「対日感情の利用」への嫌悪
政権が国民の「反日」感情を利用していると考える人も多い。
「まだ危機が去ったわけでもないのに、早々に『日本に勝った』と祝杯を挙げている場合か。」
「また日本と比較して精神勝利かよ…今のガソリン代を見て言え」
※「精神勝利」とは、実際は負けているのに勝ったと思い込むこと。

国民に「日本より上」と思わせることで、反日・克日の感情をここちよく刺激し、韓国が直面している厳しい現実から目をそらせようとする。
「속이는(あざむく、ごまかす)」という韓国語を使って、政府やメディアが「国民を扇動している」と書き込んだ人はそんなやり方に怒っているのだろう。
メディアに対する韓国民の不信感も大きく、「フェイクニュースではなく、本当のニュースを聞かせてほしい」と批判する声もあった。
比較をやめると、日韓はラクになる
「日本よりはるかに良い」という政府の発言に対する批判を見ると、韓国が「日本を意識しすぎている」ことへの冷笑的な反応が目立つ。
「比較病」と言う人もいることから、日韓を比べて「上か下か?」で判断することにウンザリするのは日本人だけではないのだ。
与党支持者には「日本より良い」という言い方が通じやすいが、それ以外の人には「生活苦を無視した政治ショー」に見えることが多い。
「日本と比較して政府が自画自賛しても意味がない。それよりも、物価高やガソリン代の高騰をどうにかしてくれ」というのが国民の代表的な意見だ。
ある韓国人はこう言った。
「日本との比較で優越感に浸らせる手法は、もう今の世代には通用しない。政府はもっとプロフェッショナルな報告を出してほしい」
韓国が自国のことに全集中して、日本と比べることが減るという意味で「日本離れ」が進めば、どっちの国民もラクになる。
日韓関係も未来志向で進むはずだ。
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