ニュージーランド人の体験談|均質的な日本社会をラクに生活生きるには?

知人のニュージーランド人男性、オリバーは日本に15年以上も住んでいる。
彼の体感では、日本の夏のほうが湿度が高く、ニュージーランドの夏は日差しが強い。不快指数が高いのは間違いなく日本の夏だ。
また、「社会」の違いについても話を聞いたので、その内容を以下の記事にまとめた。

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日本をよく知る彼からみると、日本とニュージーランド社会の最大の違いは「多様性」にある。
たしかにニュージーランドの国民は、ヨーロッパ系を中心に以下のようにバラエティに富んでいる。

欧州系(67.7%)、マオリ系(17.7%)、太平洋島嶼国系(8.8%)、アジア系(17.2%)、その他(1.1%)(2023年)

「太平洋島嶼国系」というのは、ニュージーランドの近くにあるサモアやトンガ、フィジーなど、南太平洋の島々にルーツを持つ人たちのこと。
上の数値を合計すると100%を超えてしまう。
これは、ニュージーランドでは混血が進んでいるから、1人で複数の民族を選択した結果だろう。

ソース:外務省HP「ニュージーランド(New Zealand)基礎データ

一方、日本人の民族集団は「大和民族」と「アイヌ」の2つしかない。
*日本政府は沖縄の人たち(琉球民族)を先住民族として認めていない。

今回はニュージーランド人の視点をとおして、日本とニュージーランドの社会的な違いについて書いていこう。

    ニュージーランドの街中で人種の多様さに驚く日本人( by AI画伯)

目次

均質的な日本社会で感じる息苦しさ?

ーーニュージーランドは多様性にあふれた国だから、さまざまなタイプの人たちがいる。
でも、オリバーが日本に来たとき、同じ肌や髪、目の色をした人間ばかりが歩いている光景を見て衝撃をうけたんだよな?

オリバー:それは雑にまとめすぎだね。
ニュージーランドでも田舎に行くと、「白人ばかり」という環境はある。
でも、日本では都市部でも、同じ見た目の人間がたくさん歩いていたから、ニュージーランドとの違いを感じたんだよ。

ーーじゃ、「内部」はどうなんだ?
日本みたいな均質的な社会で生活していると、息苦しさとかを感じたりするのか?

オ:ないね。そう感じるのは、夏になって湿度の高い空気を吸うときだけだ。
そう聞いて、意外に思うかい?
日本の社会には暗黙のルールや「一定の型」があるから、それを理解して守れば、楽に生活することができるようになる。

タトゥーへの意識の違いと日本のルール

ーーそれは、たとえば「本音と建前」みたいなやつ?

オ:それもそうだし、僕にとってはタトゥーだな。
僕の腕には来日する前から大きなタトゥーがあった。
日本でタトゥーは違法ではないけれど、それがあると温泉に入れないなど、生活においてさまざまな制限を受けるだろう?

ーーだな。それで、日本に住んでいたインド人が驚いていた。
彼がスポーツジムに入会しようとしたら、タトゥーの有無を確認されて、「日本人のタブー意識がそこまで強いとは思わなかった!」ってね。
インド人もビックリだよ。

オ:日本の社会には、入れ墨やタトゥーには「反社会的勢力の象徴」っていうイメージが根付いているからね。
だから、僕が英会話スクールで教えていたときは、生徒を怖がらせないよういつも長袖を着て隠していたんだ。
そのルールさえ守っていれば、かなり自由を認めてもらえたから、英会話のレッスンはやりやすかったね。

ーーニュージーランドでは、タトゥーはまったく問題ないのか?

オ:「まったく」ではないけれど、日本に比べたら広く受け入れられていて、タトゥーをしている人はよくいる。
でも、場所や種類、職種によって見方は違う。
僕みたいに腕や足にタトゥーがあって、長袖・長ズボンで隠れるくらいなら問題ない。でも、タトゥーが顔にあると、ホワイトカラーの仕事は難しくなるだろうな。

ーー顔にタトゥーがあると、日本だとブルーカラーでも難しそうだ。ブレイキングダウンならあるいは。
でも、タトゥーといっても種類によって見方も変わるんだろ?

オ:そのとおり。
顔に入れているタトゥーが攻撃的なデザインだと、嫌悪する人は多い。
でも、先住民(マオリ族)の「Tā moko」(モコ、タモコ)と呼ばれるものならOKだ。あれは先住民の大切な文化であり、アイデンティティの一部だからね。

*以前、日本でラグビーのW杯が開催されたとき、ニュージーランド代表「オールブラックス」の選手は日本人に配慮して、長袖でタトゥーを隠した。

口の下に「モコ」を入れている女性
ニュージーランドでは、同じような入れ墨をした女性が外務大臣になったり、全国放送のニュースで司会を務めたりした。

温泉のルールと「勝手な判断」を嫌う日本社会


オ:温泉ではほかにも細かいルールがある。
人前で裸になるのはすごく恥ずかしいから、下着を着けたくなる外国人もいるけど、それはNGだ。
湯船に入るときは「かけ湯」をしないといけないし、タオルを湯船に入れてもいけない。

ーー台湾人の女の子がそれで驚いた。
日本を旅行中に温泉に入りたいと思ったけど、「全裸」はハードルが高すぎる。
それで、水着で入れる施設を探したけど、見つからなかったと残念がっていた。
台湾の温泉だと水着が普通だから、日本でそれがNGになる理由がわからなかったみたい。

オ:「衛生」のために、日本では全裸がお約束になっているって僕は聞いたけどね。
正直、水着と裸にどれだけの違いがあるのか分からない。
とにかくルールを守っていれば、誰かに注意されることもなく、温泉を楽しむことができる。あれは本当にリラックスできるからね、僕は大好きだよ。

ーー最近はタトゥーOKの温泉が増えたし、検索サイトの「Tattoo Japan」もあるしな。

オ:15年前と比べると、僕にとっては嬉しい変化だ。
それにしても、その台湾人女子が事前にしっかり調べたのは正解だったね。日本の社会ではね、「自分の頭で考えない」ということも重要なルールなんだよ。

ーーまるでロボットみたいだな。

オ:そう聞こえたのなら、言い過ぎた。
「自分で勝手に判断しない」ってことだよ。
これは例え話だけど、「水着で問題ないはずだ」と思い込んで温泉施設へ行って、中で着替えようとすると揉めるだろ?
「お金はちゃんと払った」とか「外国人だから分からなかった」という主張を日本人は本当に嫌う。

ルールを守れば日本は快適

ーー「日本人はルールに細かいし、それから外れた行動にも厳しい」って、これまでいろんな外国人からも聞いたよ。

オ:僕も最初は「自分流」でやろうとするから、摩擦が生まれてストレスを感じた。
でもね、暗黙のルールを理解すると、その場ではどう振る舞えばいいのかが分かる。
そうすると、日本の社会では、予想外のイレギュラーが発生しにくいから、生活が楽になるんだ。

ーーでも、そうすると「一定の型」に押し込められるような息苦しさはないのか?

オ:最初はね。でもそれに慣れたら、快適に暮らすことができる。
ニュージーランドに比べると日本の街はきれいで、電車は時間に正確だし、人びとは礼儀正しいからね。

ーー温泉と同じ理屈か。

オ:社会の基本的なルールを守ることが先で、自由はそのあとにくる。それはニュージーランドも同じだ。
ただ、日本の場合、それがとても細かいから外国人には分かりづらい。

ーーさまざまな民族がいるニュージーランドと違って、日本は日本人が約97%を占める「純度」の高い国だからな。

オ:その均質さが、日本をユニークな国にしているんだよ。

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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