【運命の1週間】徴用工問題で、韓国民が初めて知った事実

 

もうすぐトンデモナイことが起こる…、と予想される日を「Xデー」という。
元徴用工訴訟について日本企業の資産が現金化されたら、それは日韓関係の「終わりの始まり」となる。
韓国最高裁が今週中にも、そのトリガーとなる重大な決断をするようだ。

中央日報の記事(2022.08.29)

最高裁が原告の三菱重工業の再抗告を棄却すれば、韓国内の資産売却による現金化手続きが開始される。日本の激しい反発を鑑み、両国関係は破局に突き進む可能性もある。

日本企業の韓国内資産現金化、運命の1週間…韓国外交部、裁判所決定後への備え

 

もちろんこれは決定ではなくて、あくまでも「その可能性が高い」ということ。
ただ韓国政府にはいまのところ、徴用工問題を解決する妙案は無いから、もう最高裁が発表する「Xデー」を想定して、その後の衝撃を最小限におさえる方策を考えているらしい。

いまのユン政権はブン前政権とは違って、日韓関係の改善をとても重視している。
原告の意見を聞きながら、この問題の解決案をまとめるために「官民協議会」を発足させたし、ユン政権が努力していることは日本の政府やメディアも認めるところ。
ただこの問題は、日韓請求権協定ですでに解決していたのに、今になってそれをひっくり返した韓国側に解決の責任がある。
解決案を韓国政府が提示するまでは、日本としては話を聞くだけで具体的には動けない状況だ。
ユン政権もガンバッテいるけれど、原告側や国民の理解を得るのはむずかしく、案をまとめることができていない。
といっても日本としても、国と国との合意や国際法に反するような譲歩をすることはできん。
だから、韓国政府の求める「誠意」には応じられない。
国民と日本の板挟みになっているユン政権はかなり“詰んで”いる。
だからこそ、現金化決定後の日韓を考えているのだろうけど。

 

「両国関係は破局に突き進む可能性もある。」

日韓関係がそれほど緊迫するなか、日本企業で働く韓国人に話を聞いてみた。
すると意外にも、「国民の関心は低いですね」と言ってこう続ける。

「元徴用工裁判が国内で話題になることはあまりありません。それよりも物価です。いまはいろんなモノの値段がどんどん上がってますから、みんなそれを心配しています」

と、一般の韓国人に日韓関係は圏外にあるようす。
「運命の1週間」とは何だったのか。

彼と話をしていて、「ですよねー」と思ったことがある。
徴用工問題をめぐるメディアの報道で、1965年の日韓請求権協定で韓国が日本から、ばく大な経済支援金を受け取っていたことを初めて知った韓国人が多かったという。
学校の歴史教育では、そんなことを1ミリも教えていない。
あったとしてもそれは超例外で、一般の国民はそんな話を知らない。

韓国ではどんな歴史を学んでいるのか?
高校生の歴史教科書を見てみると、35年もの間、日本に植民地支配されていたため、韓国経済は日本経済に隷属し、資本や技術も日本に独占されていたと書いてある。
つまり、日本のせいで韓国は正常に発展することができなかったと。
しかし、国民の必死のガンバリで経済は大発展した。

当時、わが国は資本、原料、技術などを十分に整えられなかった。しかしこのような困難な状況でも、持続的な経済開発計画を成功裏に推進することによって、わが国の経済は画期的な発展を達成することができた。

「韓国の歴史 (明石書店)」

 

そして、国民総生産では世界10位圏に入ったと誇らしげに書く。
この経済成長を「漢江の奇跡」という。
でも、無から有を作り出す奇跡を起こせるのは神さまだけ。
人間のすることにはすべてタネや仕掛けが、そうなるだけの理由と過程がある。
朝鮮統治の責任を認めた日本は5億ドルという、当時としてはすさまじい額のお金を渡し、韓国経済の成長を下支えした。

日本から支払われた3億ドルの無償提供資金を、韓国経済発展のための国内投資資金に回したことで半世紀で世界10位圏の経済大国に発展し、その恩恵を受けた韓国企業は巨大な財閥に成長した。

漢江の奇跡

 

本来なら、このお金は元徴用工の人たちへも渡すはずだったのに、韓国政府は経済発展のために使ってしまう。
その選択は間違っていない。
それで世界的な経済大国に発展したのだから、いま政府や企業が原告側にお金を渡せばいい。
すでに約束の金額を支払った日本としては、“二重取り”は認められないのだ。

 

「漢江の奇跡」の経済成長はもちろん、韓国国民の努力によるもの。
でもまず間違いなく、ほかの歴史教科書でも日本の経済協力金についての記述は無いし、先生も教室で生徒にこの事実を教えていない。
先生が知らない可能性もある。
意欲や計画だけで経済が発展することはないのだから、別の要因があったことを韓国の歴史教育で教えるべきだ。
ネットの反応を見た知人によると、徴用工問題をめぐる報道の中で、この「不都合な真実」を初めて知って驚いた韓国人はけっこう多い。
「漢江の奇跡」での“日本隠し”については知っていたから、ボクとしては「だよねー」といまさら感。

彼は個人的に日本と韓国の歴史について勉強していた時に、隠されていた経済支援金の存在を知った。
その時はやっぱり、衝撃を受けることは避けられなかったらしい。
彼はそれまで、韓国はベトナム戦争に参戦したから、その見返りにアメリカからお金をもらって、それを基に「漢江の奇跡」を実現させたと考えていた。
あれは100%、韓国国民が成し遂げたものだと思っていた。

 

「歴史を忘れた民族に未来はない」と韓国はいつも日本に忠告してくれる。
これはホントそのとおり。
日本からばく大な支援金を受け取ったこと、そしてその使い先をちゃんと国民に伝えていれば、国民感情はここまで悪化していなかったはず。
「運命の1週間」という緊張のトキを迎えることもなかっただろう。
日本へ「誠意」を求めるまえに、韓国にはやることがある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。