1910年から45年までの日帝強占時(日本による朝鮮統治)は暗黒時代だったーー。
と韓国では一般的に考えられているけれど、必ずしもそうではないことを浅川巧(あさかわ たくみ:1891年 – 1931年)が証明してくれた。
浅川の話をする前に、日韓併合の直前に朝鮮半島を訪れた日本人の感想を紹介しよう。
その日本人の名前は荒川五郎という。
彼は幕末に生まれ、1904年(明治37年)に衆議院議員に当選した後、朝鮮を視察し、そこで見聞きしたことをまとめて「最近 朝鮮事情」という本を出した。
それを見ると、「朝鮮に山無しといっても差し支えない」と書いてある。
山が無いとは?
「山高きがゆえに貴(たっと)からず、樹(き)あるをもって貴しとなす」という言葉があるように、山にとって重要なことは高さではなく、たくさんの木々があることだ。
人間も同じで、見た目がリッパなだけではいけない。
荒川の印象では、朝鮮半島の山ははげ山ばかりで、緑豊かな山が無いから、先ほどのような感想を持った。
その理由について、彼は「朝鮮の山には虎が多かったから」という話を聞く。
虎は家畜だけでなく、人も食い殺す。
虎は山に生息していたから、人びとは虎を恐れて山に入ったり、山を通って別の場所へ移動することができなかった。
それで、虎の害を除くために、“やむを得なく”木を切り取って平らにしたから、山々がことごとくはげているのだ。
しかし、これはウソ。
朝鮮には床下暖房のオンドルがあって、燃料として大量の薪(まき)を必要としていた。
それで、民衆が見境なく木を切り倒したから、はげ山になってしまったのだ。
荒川はこう書いている。
伐っては使い、取っては焚き、そうしていかに禿げようが全く構わず、植林など更に考えないどころか、我が先と競って伐り取って、どうなるかなど顧みなかったものであるから、それで遂に今日のような哀れな有様になって至る。
「最近朝鮮事情 現代から見た朝鮮とは (Kindle 版)」
「虎から人を守るため」という説について、荒川は「こじつけた説であろう。馬鹿馬鹿しい」と一蹴する。
こんな言い訳も、 「山高きがゆえに貴からず、樹あるをもって貴しとなす」の一例かも。
朝鮮の昔の家
日本の統治時代、その本部であった朝鮮総督府は、現代の韓国では「悪魔の城」のように憎まれている。
1914年に朝鮮へ渡った浅川巧は、総督府で山林課職員として働きはじめると、朝鮮半島のはげ山を残念に思い、植林事業に全力で取り組んだ。
それだけでなく、彼は朝鮮芸術を愛し、陶磁器や家具などを収集し、そのコレクションを仲間と創設した朝鮮民族美術館に寄贈する。
浅川は、
・朝鮮半島の緑化に大きな貢献をした。
・朝鮮の民芸品の保存にも貢献した。
・死後、自分を朝鮮の土地に埋めてほしいと遺言を残した。
という3点で、現代の韓国でも敬意を集めている。
彼についてくわしい情報はこの記事で。
浅川の熱意や努力によって、「朝鮮に山無しといっても差し支えない」という状態は、具体的な規模は分からないが、現代の韓国の人たちから感謝されるほどには改善された。
1931年4月2日、浅川が40歳で亡くなると、生前の願いに沿って葬儀が行われ、彼はいまでもソウルの公共墓地(忘憂里公園墓地)で眠っている。
韓国では毎年、彼の命日に追悼式が行われていて、昨日も、日韓の関係者が参加してそれが執り行われた。
日本の朝鮮統治によって韓国が発展したのだ! と主張するつもりはないが、完全な闇ではなかったことは指摘させてほしい。
韓国の歴史教科書が間違っているという理由の一つは朝鮮滅亡の原因が日本にあると教えることです。朝鮮は自ら近代化を成し遂げ、強大国として発展することができたのに、凶悪な帝国主義日本が朝鮮を強制的に併合させたというニュアンスで叙述しています。そのため、現在の韓国人は朝鮮が滅びた理由を知らずにいます。19世紀~20世紀初頭の国際情勢も知ろうとせず、ひたすら凶悪な日本が朝鮮を強制的に取ったと考えています。
それで韓国人は日本に対する無限の敵愾心を持つようになるのです。
しかし、実際には朝鮮は500年間も自らを発展させることができず、むしろ歴史的には後退していました。隣で日本が近代化を助けようとしても聞かず、むしろ日本にとって絶対的に危険なロシアと手を組んで自らを保護しようとしました。当時のロシアは西欧列強の牽制を受ける危険な国家でしたが、惡手をしてしまったのです。そのような内容は韓国の教科書は全く教えません。
ただ、凶悪な日本が美しい朝鮮を強制的に飲み込んだとだけ教えています。
いま朝鮮末期の本を読んでいます。
当時の西洋人も、朝鮮王朝に政治をまかせることはできないと判断しています。
政治の腐敗がすさまじく、国民は圧政に苦しんでいましたが、韓国の歴史教科書にはその記述がありません。
「突然、悪者として日本がやってきた」という印象を受けます。
> 朝鮮滅亡の原因が日本にある
そのこと自体は歴史的事実です。日本が併合するまで、李氏王朝の朝鮮国は清や日本の保護国となりながらも一応「独立した一つの国」だったのであり、日本の占領・併合によって朝鮮国(及び改称した大韓帝国)は消滅したのですから。
> 凶悪な帝国主義日本が朝鮮を強制的に併合させた
凶悪(?)かどうかはともかく、当時の世界列強国が繰り広げていた帝国主義的覇権競争の一環として、大日本帝国が朝鮮国を併合したのは事実です。
歴史教育として間違っているのはそこじゃない。
> 朝鮮は自ら近代化を成し遂げ、強大国として発展することができたのに
そんな願望を歴史に持ち込んでも意味がありません。当時の東アジア地域の情勢においては、朝鮮国が自ら近代化を成し遂げるための「時間的余裕」は、朝鮮国にも、日本にも、与えられなかったのです。世界情勢に目を向けず自らの地位にしがみつくだけで、自立の努力をしなかった(足りなかったor方向を誤った)当時の朝鮮国政権の判断ミス。
歴史という学問は事実の記述を基本とするべきです。感情や願望を持ち込んで、事実とフィクションの区別をつけずに教えるのは大きな間違い。反日教育や韓国万能起原説の間違いの根本はそこであると思います。
歴史的事実の原因を他国へ責任転嫁するだけという間違った歴史教育は、事実の認識と対処が困難な愚民を増やすだけです。