世界における韓国の知名度、存在感の大きさはどのぐらい?

 

このところ、世界における韓国の知名度や存在感、影響力はスゴイらしい。
4年前、ハンギョレ新聞にはこんなコラムがあった。(2020-10-17)

米国製・日本製を追い抜いたK-POP…文化は水のように流れる

1980〜90年代、韓国の多くの歌手が「オーマイジュリア」、「シーズン・イン・ザ・サン」、「あなたのキスを数えましょう」といった日本の曲を歌っていて、コラムの筆者が放送局に入社したころは、「日本の歌をコピーしなかった歌なんかあるのか」と言われていた。
それがいまでは大逆転。
韓国の歌手が日本のオリコンチャートを総なめにし、超大型会場でコンサートを開けば、チケットが完売することは目新しいことではなくなった。アメリカを見れば、ビルボードのシングルチャートでもBTS(防弾少年団)1位と2位を独占した。文化だけでなく、半導体、家電、自動車、携帯電話、船舶といった分野で、もはや韓国製は品質において米国製や日本製を追い抜いた。
水は高いところから低いところへ流れるように、韓流文化という流れが韓国から世界中に流れている。
もちろん、これはコラムを書いた人の意見だ。

この快進撃は続き、3年後には、中央日報の記事のコラムによるとK-POPは世界を掌握した。(2023.01.16)

世界を席巻するK-POP、韓国産業化の成功公式を辿ってきた

今年になると、ヨーロッパにおける韓国の存在感がまったく変わったと、朝鮮日報の記者がコラムに書いている。(2024/03/10)

ドイツで目の当たりにした韓国の光と影

十数年前にヨーロッパを旅行した時は、「日本から来たの? それとも中国?」と聞かれ、「コリア(韓国)と答えると、南か北かと聞かれることもあった。
それがいまでは、街で「韓国人ですか?」、「韓国人と友だちになりたいです」と声を掛けられる。
カフェで友人と韓国語で話していると、店員が「カムサハムニダ」と話しかけてきたり、スーパーの店員が韓国人だと気づくと、「(韓流ドラマの)トッケビが好きです」と言ったりする。
そんな経験をして、筆者はコラムにこんなことを書く。

こちらが何もしていないのに「韓国人」という理由だけで好感を抱いてもらえるということに、戸惑いながらもとてもうれしい気持ちになった。

 

ただ、韓国人には注意しないといけないことがある。
世界の人たちが韓国ドラマをよく見て、韓国語を理解するようになったから、最近は現地の韓国人のあいだで「うかつに韓国語で悪口を言ってはいけない」と言われているという。

以上が「光」で、「影」の部分とは、激しい競争や過酷な労働などで韓国が嫌になって、海外へ移住する人が多いことを指す。
しかし、日米を追い抜き、世界を席巻したわりには残念な現実がある。

 

2022年2月にロシアの軍事侵攻を受けて、いまも必死で戦うウクライナ。
そんなウクライナを応援するネットユーザーが、SNSにハングル文字のメッセージと一緒にこんな画像を載せて、物議をかもす。

 

刃物を首に当て、血が流れている部分はこちらでモザイク処理した。

 

最近、北朝鮮がロシアに味方して、1000人以上の兵士を送り込んだことがわかり、世界的なニュースとなった。
そうした北朝鮮の軍人はウクライナにとっては「敵」だ。
だから、ウクライナのネットユーザーが「返り討ちにしてやる」という意図で、ウクライナの首都キーウを指さす北朝鮮軍の兵士に、後ろからウクライナの軍人が首にナイフを当てる画像を作り、戦意高揚のためにネット上に流す。
しかし、この人物は南北をカン違いして、ポスターにハングルで「韓国人の兵士よ、俺たちがおまえの首を切ってやる」と書いてしまった。

しかし、韓国はウクライナの味方で、これまでさまざまな援助を行ってきた。今回も北朝鮮の動きについてロシアに抗議し、ウクライナへ155ミリ砲弾などの追加支援を検討しているところだ。
(韓国の兵器で北朝鮮軍と戦うとなると、南北の「代理戦争」になる)
上の画像には「それは誤解だ!」といったツッコミが相次いで、「韓国人の兵士」が「北朝鮮の兵士」に訂正された。

韓国も北朝鮮も同じ民族で、同じハングル文字を使い、英語では「サウス・コリア」と「ノース・コリア」だから、外国人にはごちゃ混ぜになってしまうことがある。
正式名称は、北朝鮮が「Democratic People’s Republic of Korea」で、韓国は「Republic of Korea」だから、第三者の外国人には分かりにくい。

 

海外で街を歩けば、「韓国人ですか? 友だちになりたいです」と声を掛けられるなど、「韓国人」という理由だけで好感を抱いてもらえることもあれば、韓国と北朝鮮の違いが分からない人もいる。依然として、十数年前と変わっていない地域もあるのだ。
友人のアメリカ人が韓国で英語を教えることになって、それをニューヨークの高校で教師をしていた母親に話したら、「それはサウスかノース、どっちのコリア?」と質問された。
世界的には「コリア」と聞いたら、いまでも「それは南か北か?」と聞き返す人の方が多いと思う。

韓国のメディアの報道は読者サービスで、かなり盛っていることがよくある。大谷選手が韓国を「好きな国の一つ」と言うと、メディアは「韓国は最も好きな国」と報道したように。

「言ってません」 韓国の日本報道はわりと事実とちがう

日本の基準ではこれは「誤報」だ。
世界における実際の韓国の知名度や存在感は、きっと韓国メディアの報道とポスターを描いたウクライナ人の間にある。ヨーロッパで韓国の知名度や存在感が大きくなったのは、韓流文化が水のように流れたこともあるのだろうけど、韓国から移住してきた人たちの影響もあるのでは?

 

 

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2 件のコメント

  • 1910年に大日本帝国が朝鮮を併合した当時、朝鮮は世界最貧国の一つでした。
    当時、世界の植民地を経営していたイギリス、フランスなど西欧諸国は朝鮮に関心がありませんでした。その理由は朝鮮には欲しがるほどの製品も資源もなかったからでした。そんな国が、今は世界10大水準の経済強国になったので、途方もない発展をしました。
    しかし、これからは発展が遅くなりそうです。国民の考えが怠惰になってきていて、働くことよりもっと多くのことを願う気持ちが強くなりました。実際、経済は依然として日本に遅れていますが、国民の年収水準は日本を追い越しました。非常に不吉な兆しです。

  • 韓国は世界の中で急速に力をつけ、有名になりました。日本は良くも悪くも戦前から、それなりの存在感があり、外国の歴史教科書にも登場します。
    韓国メディアは大げさだと思いますが、欧米のとくに若い世代ではよく知られていますね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。