【被害者コスプレ】韓国民としては必要な指摘でも、日本人はウンザリ

1945年8月9日、長崎市に飛来した米軍機が原子爆弾を投下し、街は焦土と化し、約7万4千人が死亡した。
その直後、あるアメリカ人が長崎市で撮影したのがこの一枚。

 

 

ここは火葬場で、はだしの少年は死体となった弟を背負い、遺体を焼く順番を待っている。これは原爆投下の悲劇を伝える一枚として、世界的に有名になった。

【8/9・長崎】日本人なら知っておきたい「焼き場に立つ少年」

 

ネット上には、日韓が好きな日本人と韓国人が集まって、グルメや観光情報などを投稿して両国の友好を深めることを目的にしたグループがいくつもある。その中の一つで、最近、『焼き場に立つ少年』のことを知って心を打つ抜かれ、涙が止まらなかったという韓国人がいて、ぜひこの話をみんなに知ってほしいとポストした。

*その投稿で気になったことがある。
周囲にいた大人が少年に、疲れないように背中の弟を下ろしたらどうかと言ったところ、彼は「重くない。この子は私の弟だ!」と涙を流して言い返したことに、この韓国人は涙腺が崩壊したという。そんな話は聞いたことがないけれど、韓国ではそういうことになっているのかもしれない。

この投稿にほかの韓国人はどう思ったのか、日本語に訳した文を以下に紹介していこう。

 

・本当に胸が痛くなる。
自分の欲望を満たすために戦争を起こす政治家たちは、自分の子どもを戦場に送ってほしいですね。
・感情移入に国境は関係ありません。背中の赤ちゃんはきっともう虹を渡っていますね。日本のテレビ番組で見た記憶があります。
・あんな若さで犠牲になったなんて胸が痛いです。戦争は誰のためのものか。悲しい写真です。

こうした日本に対する同情が集まると、必ずと言っていいほどの確率で次のようなことを言う人が出てくる。

「일본은 이런 사진들로 피해자 코스프레를 하고 있다는 걸 잊지말아야 합니다.」
(日本はこのような写真で、被害者コスプレをしていることを忘れてはいけません。)

この人は、日本は韓国や中国、東南アジアで多くの罪のない人を虐殺したのに、加害者が被害者の“フリ”をしていると非難した。もちろん、これは彼の主張でそれ以上でも以下でもない。しかし、韓国ではこんな歴史認識が常識的にある。
このコメントに別の韓国人がこんな反論をした。

・それは過去ですよね? 日本は補償を十分にして、膝をついて30回以上も謝罪をしました。
では、中国はどうなんですか? 現在の中国は韓国の大気を汚染しているのに、一度でも謝罪と補償をしたことがあるのでしょうか?
年配の人たちはいつも過去を指摘します。これからどう生きていくのが重要なのに、なぜ過去ばかりを考えるのですか。

この指摘に怒る人たちがこちら。

・お粗末な考え方で言い訳をするな。中国と日本は違うんだよ。
・いまだに旭日旗を掲げ、拡声器で軍歌を流しながら、堂々と街を歩いている連中がいる。そんな国がしっかり反省しているとは思えない。
・「許し」はそれを与える側がするもので、謝ったからといって無条件に許すべきではありません。 あなたが十分だと思っても、許せない人がいるのなら、「許せ」と強要することはできません。
・日本の全国民がそうなの? あなたは少数派を多数派と考える間違いは犯してるみたい。ㅉㅉㅉ
・どちらにも痛みがあったとしても、加害者と被害者では立場がまったく違います。日本の民間人も戦争の被害者かもしれませんが、罪もなく虐殺された人々と、戦争を起こしたために受けた苦しみは同じではありません。
帝国主義の侵略戦争を今でも「大東亜戦争」と呼び、戦争を美化して、日本だけが原爆の被害者であるかのように恨んでいる日本の右翼がいます。悪いのは、そのような無知な人々だけだと言いたいですね。

すると、謝罪イラナイ派と必要派の中間のような意見が出てきた。

・日本の軍国主義者と何も知らない被害者は区別しなければなりません。特に大人によって、被害を受けた子どもたちがそうです。

 

韓国語には、日本語の「コスプレ」を使った「피해자 코스프레」(被害者コスプレ)という言葉がある。これはよく使われる用語で、韓国のネット事典のナムウィキには「被害者でない人が被害者であるかのように行動することを言う偽装術」(被害者のコスプレ)という説明がある。
韓国では日本の歴史認識について語るとき、この言葉が登場することがある。たとえば、全国紙の中央日報はこんな記事を掲載した。(2017.08.18)

イ・ジュンイク監督「日本の戦争映画、加害者でなく“被害者コスプレ”の作品が多い」

韓国の映画監督が、歴史をテーマにした日本の映画には加害者だったという視点が少なく、被害者意識を強調した「被害者コスプレ」と感じる作品が多いと指摘した。
これは監督の個人的な感想だが、韓国では一般的な認識だ。

『焼き場に立つ少年』の投稿に対する韓国人のコメントを見ると、これを「被害者コスプレ」と考え、日本人は自分たちが犯した蛮行から目をそらし、被害者として同情を集めようとしていると非難する人が一番多かった。
日韓の友好を願う人たちが集まるグループでもそんな傾向が強い。もっとも彼らからしたら、両国の真の友好関係を築くためには、日本が韓国に心からの反省や謝罪をすることが必要だから、それから目をそらす「被害者コスプレ」は許せないと信じているはず。
韓国社会にはさまざまな意見があるけれど、こんな見方や考え方が常識のド真ん中にあるとみていい。

この記事を書くためにネットで情報収集していると、こんな日本人を見つけた。

「韓国在住です。日本は戦争被害者のコスプレをしてると言ってくる韓国人にうんざりです。」

日本人からしたら、これが当然の反応。でも、韓国でこんなことを言うと、「加害者と被害者では立場がまったく違う」と反論が返ってくる。だから、日韓関係はむずかしい。

 

 

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 根本的に韓国人が勘違いしているのではないか、と思うのは、日本と朝鮮は秀吉の侵攻以降戦争したことはない、ということ。したがって戦争被害者ということはあり得ない。被害者コスプレはむしろ韓国人ではないか。慰安婦がどうの、徴用工がどうの言い出すかもしれないが、どちらも日本人扱いされたからこそのことで、その内容もこちらで何度も指摘されているように、事実に基づかない思い違いと言わざるを得ない。勝手に中国や東南アジア諸国の気持ちを代弁しないでほしい。

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