日本・中国・タイの「ゾウのウンチの使い方」 デザート、紙、薬、高級コーヒー

韓国最大の全国紙・朝鮮日報が香ばしいニュースを掲載した。(2025/04/23)

7万5000円コース料理のデザートに「ゾウの排せつ物」を提供、上海の高級レストランが営業停止に

ことし2月、上海で「エコ・キュイジーヌ」をテーマにしたフュージョン料理を提供するレストランがオープン。店内は植物に囲まれて霧が立ち込めていて、客は熱帯雨林にいるような雰囲気を楽しみながら食事をすることができた。そのレストランでは、ドリンク別で約7万5000円の高級ディナーコースがあり、次のようなメニューが提供されていた。
*( )は個人的な乾燥、いや感想。

・はちみつ味の氷(わかる)
・寄生植物の腐ったにおいを再現したスープ(限界)
・揚げた虫(竹虫)の料理(ノーサンキュー)
・ゾウのウンチを消毒して乾燥させ、粉々にして作ったデザート(拷問)

イギリスの有名な冒険家ベア・グリルスさんはテレビ番組でサバイバル術を披露し、ミミズやクモ、ナメクジ、蛇などを食べて見せた。このレストランは客にその追体験をさせたかったのか? しかし、上海の当局はこれらの食材を問題視し、レストランの営業を停止し、食品安全法違反の疑いで調査を始めた。
中国人、特に南部の広東人は食欲旺盛で、「2本足は人以外、4本足はテーブル以外すべて」というジョークがあるくらい、いろいろなものを食べる。そんな中国にも限度はある。揚げた虫ならOKかもしれないが、ゾウのウンチは限界を超えてしまったらしい。

そう言えば最近、日本のテレビ番組が「中国人はカラスを食べる」と事実をねつ造して大問題になった。

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しかし、最終結果はまだわからない。高級レストランで堂々と提供されていたメニューだから、事前に法律を確認していただろうし、調査の結果、ウンチのデザートがOKになるかもしれない。

 

江戸時代に来日したゾウ

 

上海のレストランの試みに敬意を表して、日本とタイの「ゾウのウンチの使い方」を紹介しよう。

ゾウは1日に200kg以上を食べ、1日50kgほどのウンチをする。これを無駄にせず再生利用できれば、地球に優しく、世界は少し明るくなる。そんなことで、ゾウが神聖な動物とされ、国のシンボルになっているスリランカで、世界初のゾウのウンチをリサイクルして紙を作ることに成功した。これが日本に輸入され、「ぞうさんペーパー」として全国の動物園やサファリパーク、水族館などで販売されている。
上野動物園では、飼育しているアジアゾウのウンチから栞(しおり)を作って来場者にプレゼントしたり、市原ぞうの国では「ぞうさんのウンチペーパー手作り教室」が開催されたりして、日本でもゾウのウンチの有効利用が進められている。
ゾウのウンチを再利用することは江戸時代にもあった。
ゾウが日本に来たとき、そのウンチを乾燥させて丸めた「象洞」(ぞうほら)という薬が作られ、天然痘や麻疹(はしか)に効くと言って販売する悪徳業者がいた。無知とは罪。当時の日本人はすっかりだまされて、このウンコ薬が大ヒットした。

江戸時代の医学:ゾウの“ウ〇コ薬”・世界初の全身麻酔手術

 

読者の皆さんは「ブラック・アイボリー(Black Ivory Coffee)」という、タイで生産されるコーヒーをご存知だろうか。
ゾウに果物と一緒にコーヒー豆を食べさせると、体内で15時間以上かけて消化され、苦みが取れて独特の香りのあるコーヒー豆ができるらしい。大量のウンチの中から豆を取り出し、洗って乾燥させ、焙煎すると素晴らしい質のコーヒー豆ができあがる。
手間と時間がかかり、生産量は本当に少ないから、今では世界でも最高級のコーヒーとされ、日本経済新聞の記事によると1杯1万もする。(2024年1月15日)

豆の価格は、2012年には2杯分で60ドルだったが、今では150ドルにまで上昇した。450グラムの箱入りは、1500ドル(約22万円)で売られている。

動物の糞から高級コーヒー、1杯1万円も 飼育環境に懸念

 

ゾウのウンチも消毒して乾燥させたら、感覚的には抵抗感があるかもしれないが、人体に悪影響はないのかもしれない。アイデアしだいで、排せつ物をデザート、紙、薬、高級コーヒーとさまざまなモノに変換できるのだ。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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