2、3年前、日本の会社で働いている韓国人と話をしていたとき、彼は「たしかに昔はゆるかったんでけど、今の韓国は“パクり”に対してすごく厳しくなりました」と言った。
先日、それが本当だとわかる出来事があった。
韓国で2013年から連載されていた人気ウェブ漫画『ウインドブレーカー』が突然打ち切りになった。その理由は盗作だ。
読者から「この場面は日本の漫画とそっくりだ。作者はパクったんじゃないか?」という疑いの声が上がり、作者が『東京喰種トーキョーグール』などをトレーシング(絵や写真を写し取る行為)したことを認め、謝罪した。
日本の作品を“パクった”ことが明らかになり、『ウインドブレーカー』の連載は打ち切られた。それだけではなく、これまでの13年分の話もすべて削除されて、見られなくなってしまった。そして、ウェブトゥーン側は読者に返金することを決めた。
これまでも韓国で「パクリ騒動」は何度もあった。でも、こんなに早い対応と厳しい処分は記憶にない。
冒頭の韓国人から、いま韓国は「文化大国」を目指していることや、中国企業が韓国のゲームやマンガを“パクる”問題があったため、盗作についてとても敏感になっていると聞いた。『ウインドブレーカー』の件は一段落ついたけれど、日韓の漫画「パクリ疑惑」の検証画像を見ると、問題はまだまだありそうだ。
できることなら、こんな前向きな動きをもっと進めて、日本の伝統文化の「盗用」についても厳しく目を向けてほしい。
以前、韓国メディア『私たちの文化新聞』にこんな記事があった。(2022.05.01)
전통차, 입하 전후 딴 잎으로 가공한 것이 좋아
(伝統茶、立夏前後摘んだ葉で加工したものが良い)
記事の中に、「日本の緑茶は、私たちの茶の木が日本に渡って、長い間そこの土着化過程を経て緑茶(ヤブキタ種)になった」という見逃せない一文がある。
そして、日帝強占期(日本統治時代)に、茶の木が日本から逆上陸し、韓国で植えられるようになったと書いてある。この記事が強調しているのは、「したがって、緑茶を私たちが拒否することはない」ということだ。
韓国の緑茶が日本から来たと知ると、おいしく飲めなくなる人が出るから、こんな話が出てきたのだろう。
日本統治時代には、韓国の各地に日本の桜が植えられた。そう思うと、花見を楽しめなくなるから、韓国で「日本の桜は韓国が起源」という主張が長く続いていた。しかし、その説は間違いだと判明し、韓国では失望が広がったことがある。
韓国には、「日本にある優れた文化は、我々のご先祖が伝えてあげた」という見方が常識的にある。そして、特定の日本文化が世界的に有名になると、その起源を主張しはじめて、日本人の忍耐を試してくれる。
昨年、ある韓国メディアは、日本の茶道は韓国から伝わったと書いた。
桜に続いて、お茶でもそんなことを言いはじめたと知って、日本のネット民はこう思った。
・心底あほらしんだけど、声闘が通ってしまう場面もあるのは事実
・これが証拠はないけど心証では確実ってやつか
・マータハジマータ
・普通こういうこと主張するときって、半島でお茶を嗜む習慣があったという
史料なり文献なりを最低一つくらい示さない?
・悩みなさそうで羨ましいな
日本にお茶が伝わったのは、平安時代に遣唐使が中国から持ってきたことからだ。その後、栄西(1141-1215)が宋から禅宗とともに日本にお茶をもたらし、日本でお茶文化が発展した。つまり、朝鮮半島とは関係ない。
記事には、「私たちの茶の木」が日本に渡って、緑茶(ヤブキタ種)になったと書いてあるだけで、重要な根拠が何も示されていない。
その理由は簡単、そんなものは無いからだ。
「やぶきた」という品種は、日本で栽培される茶の75%を占め、日本茶の代表的な品種になっている。「静岡茶」や「宇治茶」などは場所が違うだけで、品種は同じ「やぶきた」だ。「やぶきた」は明治時代に、静岡の杉山彦三郎が発見し、育成した品種だから、韓国とは1ミリも関係がない。
今の韓国は知的所有権に敏感で、漫画やゲームなどで「パクリ行為」をすると、厳しい罰を受けることになる。こうした態度をさらに進めて、日本の伝統文化の起源を主張して「盗用」することをやめてもらえれば、日韓の友好も進展するのだが。

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