【日本の治安】インド、バングラデシュ人が絶賛する背景にある闇

先日の9月25日、スマホに詐欺メールがきた。
「【至急】2025年国税調査ご協力のお願い」というタイトルで、その日のうちに回答しないと、50万円の罰金が科せられる可能性があるというメールを、国が国民にするわけない。

 

 

市民の日常生活に、さまざまなトラップを仕掛ける悪いヤツもいる。しかし、日本の治安の良さは世界でもトップレベルだから、基本的には安心して過ごすことができる。
以前、インド人とバングラデシュ人と一緒にハイキングをしたとき、そんなセキュリティの話を聞いたので、今回はその内容をお届けしよう。
ちなみに、バングラデシュは1947年に独立するまで、千年以上もインドの一部として存在していたから、社会の事情や人々の考え方はよく似ている。

 

ハイキングの途中、コースのすぐ横にこんなミカン畑が広がっていた。

 

この光景を見て、インド人がこんな話をする。

「インドでは考えられません。柵がなくて、誰でも簡単に入ってミカンを取ることができるじゃないですか。インドでこんな果樹園があったら、すべて盗まれてしまいますよ!」

バングラデシュの意見もまったく同じ。

日本の生活について、2人が「すばらしい!」と絶賛したのが最上級の治安の良さ。
たとえば、彼らが日本に来て間もないとき、コンビニの駐車場に買い物袋がカゴに入ったままの自転車が置かれているのを見て、異様に感じた。
でも今では、自分も荷物を入れたまま、安心してコンビニで買い物をするようになった。自分のセキュリティ意識が「ゆるゆる」になったことが分かるから、いつか母国に戻って生活することに少し不安を感じている。

こうして木にミカンがたくさんついているのを見て、それを支える日本人のモラルの高さにあらためて感心していた。

 

以前、日本に住んでいたインド人女性と話をしていて、母国との一番大きな違いを聞いたところ、彼女もすぐに「治安」をあげた。彼女が日本に住みはじめたある日、夜の9時に1人でコンビニへ買い物に出かけた。27年間の人生で、そんな時間に1人で外出したのは初めてだったから、とても感動したという。
この状況は、バングラデシュもきっと同じだ。

 

バングラデシュで乗った三輪タクシーは、乗客が通行人に荷物を盗られないように「鉄製のオリ」が付けられていた。前にもあるのは、アブナイ乗客からドライバーの安全を守るためだろう。

 

(これは偏見につながるかもしれないが)日本に比べて、インドやバングラデシュでは一般的に盗みのハードルが低い。
だから、彼らは日本で感動したし、逆に日本人がバングラデシュやインドへ行くと、きっとセキュリティの面でカルチャーショックを受ける。受けない人がいたら、日本のどこで生まれ育ったか聞いてみたい。
バングラデシュに行ったとき、日本人女性が経営する宿でこんな話を聞いた。

その日本人女性は現地の女性を雇って料理や掃除をしてもらい、男性スタッフには門番をまかせていた。ある時、門番が入口で女性スタッフのバッグの中身をチェックしているのを見かけたから、「あなたは何をしているの?」と問い詰めた。すると、男性はこう答えた。

「彼女が宿の物を盗んでいないかチェックしているのです。マダム、この国ではこれは必要なことなんです。」

女性スタッフもそれに同意していたので、その日本人女性は何も言えなかったという。
彼女はバングラデシュに来ころ、相手を疑うと信頼関係を築けないと思っていたが、バングラデシュに住んでいた日本人先輩から「そんな日本の常識は捨てないといけない。ここでは性善説が自分を滅ぼす」と注意された。
しばらく住んでバングラデシュの社会が分かってくると、門番の対応は正しく、女性スタッフがいつも疑いを晴らすことで、信頼関係が築けると考えるようになったという。

 

宿の安全を守っていた門番

 

カール・ペーテル・ツンベルク(1743年 – 1828年)

 

江戸時代、スウェーデン人のツンベルクが日本にやって来た。彼は長崎の出島で医師として働き、江戸で徳川家治に謁見するなどして1年ほど日本に滞在していた。日本の社会について、ツンベルクが感心のは治安の良さで、彼はこう記した。

「日本ほど盗みのない国はほとんどないだろう。強奪はまったくない。窃盗はごくまれに耳にするだけである。」

このような素晴らしい伝統は、しっかり守って未来の日本人に引き継いでいきたい。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 「日本ほど盗みのない国はほとんどないだろう。強奪はまったくない。窃盗はごくまれに耳にするだけである。」

    この文を読んで思い出すことがあります。1653年にヘンドリック·ハメルが朝鮮に漂流してきた時、朝鮮人たちは難破したハメルの船から物を盗んで逃げました。後に朝鮮の官吏たちに発覚して、厳しい鞭打ちを食らったんですね。
    ハメルが13年間の朝鮮抑留から脱出して日本に到着した時、日本人はハメル一行を温かく迎えてくれました。ハーメルはありがたくて日本人にプレゼントをあげたかったのですが、値段の高いものがなくて朝鮮から持ってきたお米でもあげようとしたのですが、日本人は受け取ろうとしなかったそうです。
    その際にも朝鮮人は人を騙し、詐欺を働いて人を困らせる傾向が強かったということが「ハメル漂流記」によく描かれています。

  • 「ハメル漂流記」で朝鮮はかなり悪く書かれていますね。朝鮮人がハメルたちを「日本のスパイに違いない」と疑ったことで、彼らの待遇はより悲惨になりました。

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