【日中友好】日本から中国へ伝わった言葉や文化の具体例

これから、日本の大学で学んでいる20代の中国人男性の話を紹介しよう。
ここでは彼の名前を「王大人(ワンターレン)」として、ワン君に日本から中国へ伝わった言葉や文化について聞いてみた。

 

ーー12月の日本語能力試験まであと1ヶ月をきって、今、ワン君は全集中で勉強していると思う。インド人やアメリカ人などは漢字で死ぬほど苦労してるけど、その点、中国人はかなり有利。だから、日本語学校に通っていたあるタイ人は、中国人や台湾人のクラスメートを「チート」と言っていた。

確かにそれはあります。平仮名ばかりの絵本よりも新聞のほうが読みやすいですし、ほかの外国人に比べたら読解はラクにできます。でも、中国の漢字は簡体字で日本の漢字とは形が違います。それに、「勉強」や「我慢」みたいに、「なんでそんな意味になった?」と不思議に思う漢字も多いんですよ。

ーーそれは「日中あるある」だ。台湾人に「清楚」と言われて、誤解して喜んで恥ずかしい思いをした日本人もいる。

日本人のカン違い:中国語の「あなたは“清楚”ですね」の意味は?

それでも、日本語学習において中国人の漢字能力はスゴイ武器になる。ほかの人は竹やりを持って冒険に出かけるのに、1人だけ最初からエクスカリバーを持っているようなもの。

それは言い過ぎ、そこまでではない。

 

中国の漢字でもっとも複雑と言われる「ビャン」。

【ビャンビャン麺】中国語で最も難しい漢字はどうできた?

 

日本語の漢字を勉強していると、中国人として面白い発見をすることがあります。たとえば、中国語の中には、実は日本語由来の言葉がたくさんあって、「え? これも日本製だった?」と意外に感じる漢字があるんです。

ーー「自由」「科学」「観念」「哲学」「革命」といった和製漢語ね。幕末・明治時代、ご先祖がそんな西洋の言葉を日本語に訳して、中国人留学生がそれを学んで母国へ持ち帰った。
最近、ネットで、戦後になっても「人脈」「弁当」といった言葉が中国に伝わったという記事を見た。

「萌(え)」や「推(し)」といった新しい言葉は、日本から伝わったことは知っていました。でも、昔の和製漢語には知らない言葉が多かったです。「幹部」という言葉まで日本語だったと知って驚きました。

ーー日本と中国はお隣さんだから、古くから交流があった。古代には遣唐使が中国で学んで、近代にはそれが逆転したわけだ。

※「中華人民共和国」のなかで中国語は「中華」だけだったりする。

「中華人民共和国」の7割は“日本語” 日本から伝わった言葉とは?

 

ーー文化はどない? 日本から中国へ伝わった文化って何があると思う?

そう言われて思いついたのは、カラオケ、寿司、アニメ、コスプレですね。

ーーそれはきっとアメリカやドイツ、タイにも通じる。言ってみれば日本文化の四天王だな。中国ではカラオケが最強じゃないかな。

この四つの中で、年齢や性別に関係なく、中国人にいちばん馴染んでいるのはカラオケでしょうね。

ーー中国を旅行していて、「卡拉OK(カラオケ)」や「KTV」という看板を何度も見て、本当に中国社会に浸透しているな、と思った。「卡拉OK」のネオンサインを見て、「上下OKって性風俗の店?」と勘違いした日本人がいたって話を聞いたことがある。
中国のカラオケは日本と同じで個室で歌うスタイル? それとも、アメリカみたいにオープンスペースで知らない人の前で歌う感じ?

個室です。仲間や親戚と一緒に食べたり飲んだりしながら、みんな自由に歌う感じです。と言っても、私は中国でカラオケに2回ぐらいしか行ったことがないので、あまり知りません。

ーー日本のカラオケはどう思った?

行ったことがないので分かりません。友だちの中国人は「ちょっと古い感じがした」と言ってました。

ーーなるほど。中国人は派手な雰囲気が好きなんだろうな。

 

マレーシアの中国料理店

 

ーー中国には日本料理店がたくさんあって、吉野家やサイゼリヤも進出していて、いろんなメニューがある。でも、やっぱり寿司がいちばん人気なの?

ラーメンや天ぷらも有名ですけど、中国人がイメージする代表的な日本食といえば寿司じゃないですか? 中国では一般的に、食材に熱を加えて料理を作るんですけど、生食の寿司は、そんな食文化の考え方を変えたと思います。

日中の食文化の違い:水と生食の日本、火と油の中国

中国には冷えたご飯を食べる習慣もありませんし、寿司は中国料理の考え方とはまったく違って、すごく日本的です。

ーー「羹(あつもの)にこりて膾(なます)を吹く」と言うように、中国にも昔は生肉()を食べる習慣があったけど、いつの間にか消えたらしいよ

生肉を食べる文化も中国から日本に伝わったんですかね。

ーーそれは違うだろうね。日本文化の中には、中国文化にルーツをもつものがたくさんあるけど、料理は例外らしい。日中の料理を比べて、「料理に関する限り、日本人は縄文的であって中国的ではない」と言った中国人もいる。

そうなんですか。

ーー日中関係は古くて長いから、中国人が日本語を学ぶと、中国の歴史や文化を発見できる。それは日本人も同じ。ほかの外国人にはそんなサプライズはない。

 

余談

中国のカラオケについてネットで調べていたら、あちらには「割り込み(插队)機能」があるという情報を発見。これを使うと、予約リストの中に自分の歌をねじ込んで、他人より先に歌うことができる。
日本人の感覚だと自己中どころか、宣戦布告のような気がするが、中国ではほかの人もその機能を知っていて、すぐに歌いたいときは自分も使うから、ケンカになることはないらしい。
そういう感覚を日本へ持ち込むとトラブルになる。

 

 

中国 「目次」 ①

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【文化盗用】正月をめぐる中国人と韓国人の言い争い

【ルール厳守&正直さ】中国人が日本人を信頼する2つのポイント

日本語を学ぶ外国人が考える、漢字の4つのメリット

日本と韓国の違いは”脱・中国” かなと和歌で日本文化が始まる

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • ご存知のように、韓国は中国と2000年以上対立したり、500年以上は朝貢·冊封関係にあったため、世界でも珍しい漢字文化圏の国でした。それにもかかわらず現在の韓国人は日本人よりずっと漢字をよく分かっていないです。代わりに、日本が35年間統治して構築してきた教育、学問、医療、法律などの分野で「日本化された漢字」に慣れた状況です。ところが問題は韓国人がこの日本化された漢字用語を日本が作ったものだと知らないということです。
    韓国人が一番好きなスポーツである”野球”という言葉も日本が作ったものですが、この事実を知っている韓国人はおそらく10%にも満たないでしょう。

    それにしても···
    日本の首相の首を切ってしまうという風に言った中国総領事について、なぜ日本人は怒らないのか気になります。プライドが傷つくのではないでしょうか?

  • 現代の韓国人が漢字を使っていたら、日本人は旅行で筆談ができコミュニケーションがとれるので楽しくなります。文字を変えると過去がわかりにくくなります。韓国は今そんな状態ですね。
    中国総領事の発言についてはたくさんの人が怒っていますし、政府もどう対応していいか悩んでいるでしょう。困ったものです。

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