先日、ロンドン郊外に住んでいるイギリス人カップル(30代)が日本へ旅行にやってきた。
浜松の観光案内をしながら、彼らが「日本の食」についてどう感じたのか、話を聞くことができたので、それについてはこの記事をチェックしてほしい。

今回は第2弾だ。
女性のリクエストである「さかい珈琲」に行って、日本とイギリスの「スイーツの違い」について2人から話を聞いたので、これからその内容を紹介していこう。
ちなみに、彼らから「超ハッピー!」を意味する「オーバー・ザ・ムーン(over the moon)」というフレーズを教わった。
「月を飛び越えるくらいうれしい」という分かりやすい英語表現だ。
そこまでではなかったけれど、2人は日本のパンケーキを食べて幸せな気分になった。
なお、ホットケーキとパンケーキの違いが気になる人はこの記事をどうぞ。


「さかい珈琲」自慢のパンケーキ
日本のパンケーキが「特別」な理由
ーー日本にカフェは7万軒ほどあるといわれている。
その中で、なんでピンポイントで「さかい珈琲」に来たかったのかな?
妻: パンケーキはアメリカにもイギリスにもあるけど、日本のものは「別枠」なの!
私は大のスイーツ好きで、リサーチしていたら、この店の評判が高かったから、絶対に行かなきゃって思った。
ーー日本と欧米じゃ、パンケーキがそんなに違うの?
夫: 全然違うよ。アメリカのは厚さ1〜2cmほどで、イギリスのものはそれよりもっと薄い。
ーーホントだ。
イギリスのパンケーキを知らなかったけど、クレープやインドのチャパティみたいに薄いんだ。
パンケーキが登場した明治時代には、「薄餅」と呼ばれていたけど、それはイギリスのパンケーキに近かったかもしれない。
妻: 日本のパンケーキはこの厚みとフワフワ感がすごい!
ほかの国のものとは明らかに違うから、「ジャパニーズ・パンケーキ」って呼んで区別しているの。
夫: ネットで初めて見た時は「こんなパンケーキがあるんだ!」って驚いた。
さっき、ウェイトレスが運んできたとき、実物を見てハッピーな気分になったよ。
ーーだから、皿を持ってパンケーキを揺らす動画を撮っていたのか。
妻: お皿を揺らして、プルプルさせる動画はSNSでよくあって、私たちの「日本でやることリスト」にも入っていたのよ。
夫: でも、どうして日本人はこんなパンケーキをつくり出したんだ?
ーー今、2人がしたことがその理由だよ。
10年くらい前から「インスタ映え」が重要視されるようになって、ビジュアルのインパクトを追求した結果、こういうスフレパンケーキができたらしい。
夫婦: そうなんだ。
確かに「ジャパニーズ・パンケーキ」は思わず写真を撮りたくなる!
ーー日本人は昔から、海外から伝わった文化を独自の価値観で改造することが得意なんだ。
オリジナルからかけ離れたものを「魔改造」っていう。
カレーもイギリス経由で入ってきて「日本式」に変わった。
「画像」を見ると日本のカレーは、インドよりもイギリスに近いことが分かる。
機会があったら、ぜひそれも試してくれたまえ。


インドのカレー&チャパティ
日英のケーキの違い
ーー「スイーツ好き」ということで聞きたい。
今回の旅行で日本のケーキやデザートを食べたと思うけど、それはどう感じた?
妻: イギリスのケーキは密度が高くて、ズッシリ重厚なのが基本。それに比べると、日本のケーキは空気が多くて軽い印象なのよね。
ーー本当だ。
日本のケーキは繊細だけど、イギリスのものは素朴で重量感がある。
妻: それに日本のケーキはサイズも小さめだから、食べごたえや噛みごたえを求める人には少し物足りないと思う。
夫: そうそう。
回転寿司店のアイスなんて「一口サイズ」だったね。
ーー日本のケーキでは食感が大事でも、「噛みごたえ」というのはあまり聞かないな。
話をまとめると、イギリスのケーキが「重武装した騎士」なら、日本のケーキは「忍者」みたいな感じか。
夫婦: 君は例えがヘタかな。

軽くて柔らかいショートケーキは日本流スイーツの代表例
「少しずつ、たくさん」が日本の最適解
ーー知人のナイジェリア人も「日本の食べ物は量が少ない」と言っていた。
レストランでウェイターが目の前に置いたものを見て、彼は「え? これだけ?」って二度見していたからね。
夫: 日本人は体格が小さいから、食事の量もそれに合ったサイズになったんじゃないかな。
ーーじゃあ、日本ではスイーツは軽量級で、中身もスカスカだから満足できなかった?
妻: まさか!
見た目がきれいで洗練されているし、味も良かったから満足度はかなり高いわ。
夫: 日本のスイーツが軽いのは、裏を返せば「多くの種類を楽しめる」というメリットでもある。
ーー発想を変えると、ポジティブに見えてくるんだ。
ロンドンのカフェでケーキとコーヒーを注文すると、2000円ぐらいするから、イギリス人なら、お金を気にせず日本の外食を楽しめるんだろうな。
妻: ケーキやアイスが食べ放題の「スイーツパラダイス」へ行ったとき、いろんな味を試せたから、日本のスイーツの良さを実感したの!
ーーたしかに、「スイパラ」にヘビー級のケーキは合わない気がする。
イギリスのケーキは、単体だと重いし口がパサパサしそうだから、アフタヌーンティーみたいに紅茶とセットにするとバランスがとれる予感。
イギリスにはそんなスイーツ食べ放題の店はないの?
夫婦: ホテルのブッフェでスイーツが食べ放題だったけど、それ以外では食べたことがない。

タイのマンゴーライス
お米がデザート?「ライス・プディング」という英国の食文化
ーーほかに文化の違いを感じたポイントってある?
妻: 日本人は「お米のスイーツ」に意外と馴染みがないみたいね。
イギリス定番の「ライス・プディング」の話をしたら、ホテルのスタッフに意外そうな顔をされたわ。
ーー白米を甘く煮るという感覚は、多くの日本人にとって未知の領域かもしれない。
夫: イギリスにもライス・プディングが苦手な人はいるけど。
ーーでも、外見が中身を裏切ることがある。
妻: たとえば?
ーーたとえばタイのマンゴーライス。
お米に甘いシロップをかけて食べるマンゴーライスを初めて見た時は、「タイ人の味覚は壊れているんじゃないか?」って思ったけど、食べてみたら予想を裏切ってすごく美味しかった。
破壊しないといけないのは、自分の先入観だって気づいた瞬間だったね。
※日本にもおはぎがあるし、「お米を使ったスイーツ」が無いということはない。


ライス・プディングのイメージ
「温かくて甘いミルク粥」みたいなデザートらしい。
ーーコンビニやスーパーで「プリン」を見たかな?
日本語の「プリン」は英語の「プディング(pudding)」の発音がなまったもので、もともとはイギリスのプディングのことだった。
でも、パンケーキと同じで、日本で独特に発展した結果、今のようなカスタードプリンになった。
夫: プディングはもともと肉料理だったし、食のカタチも時代と場所で変わっていくのが面白い。
夫婦: そう、とくに日本ではそれが激しい。
ーーそれは反論できない。

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